魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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オーディション再開!!…でもちょっとややこしい事が起きそうな予感。


二次の課題

 

 

 

 

 

 

 

 

 ★★★

 

 

 

 

 大澤監督が言ったとおり、RYUが呼びに行き、数分経った後、会場に二次参加者がRYUの後をついて入ってきた。その時色々と会場を準備していたスタッフや審査員たちの目が呆気にとられて一点を見ていた。

 

 その集中した眼差しの先には、RYUが立っている。

 

 しかし、向けられている視線の意味合いは好意的ではなく、不満や羨ましさ、妬みが混じった負の感情だった。

 

 向けられている視線には当然RYUも気づいていた。…というより隠す気もないのだろう。こういう感情の視線はよく向けられるし、慣れている。(病院に行く事になった呼び出しスタッフなら間違いなくあともう一つ胃に穴を開けるかもしれないが。)

 

 しかし、視線に乗った負の感情には敏感に察知できるが、なぜ自分がそんな視線を受ける事になったのか、RYUには理解できなかった。寧ろ、呼びに行く彼らに代わって呼びに行ったのだ。無事につれてきたなら最低でも安堵するなり、礼を言いに来たりするのがふつうだろう。ところがそんな事は一切なく、入ってきた瞬間から目を見開いて、羨ましそうに目を細めて見てくる。

 

 かれらが自分を見てくる理由が気になるRYU。それでも今は時間が欲しい。

 

 ふと湧き上がった疑問を意識から除外し、審査員席に設けられている自分の席に座る。

 

 そのRYUに大澤監督を挟んだ向かい側に翔琉がブツブツと恨み言を小声で口にする。それは何か言っているな~という程度の声量だったが、訓練で聴力も優れているRYUは向かい側に座っている翔琉の恨み言をはっきりと耳にした。そしてその恨み言を聞いた事で先程思った疑問が解消する。

 

 

 「………何で入ってくる時、女の子たちを一列にさせて入ってこさせるんだよ!しかも全員姿勢が良すぎるって! 思わずRYUという主に仕えるメイド達の行列を見た気分になったじゃないか! あいつの堂々とした態度もそれに拍車かけているようだったし!

 ………絶対にあいつには負けられねぇ~!!」

 

 

 「翔琉君、そろそろもどってくれないかね?」

 

 

 「……うぁ?…あ、ああ。じゃ、二次始めようぜ? 大澤さん!」

 

 

 ブツブツ呟く翔琉に大澤監督が指示すると、審査員としての翔琉が舞い戻ってきた。それを見て、RYUが『単純だな』と思ったのかは分からないが。

 

 

 何はともかく、こうして参加者全員そろった事だし、二次審査を始めた方がいい。

 

 

 大澤監督が参加者たちの顔を見渡して、一回だけ頷くと口を開けて、大声で呼びかける。

 

 

 「それではこれより二次オーディションを始めます。一次を通過した方々おめでとうございます。

 

  その調子で皆さんの一面をもっと見せてください。」

 

 

 「「ありがとうございます!」」

 

 

 「良いですよ。では二次での課題は……プリンセスだな。」

 

 

 突如として告げられた課題に覆いに驚く参加者たち。

 

 

 これには脱力気味になっても仕方ないなと大澤監督の大雑把なところが愛される謂れなんだろうなと他人事のように聞いたRYUだった。

 

 

 




やべ…、ねむ~。

”プリンセス”だけ言われても課題になってない!? 具体的にはどうするのだろうか。

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