魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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美晴!!無事に通りますように!!(作者が祈ってどうするよ!?)


二次オーディションへの通過権

 

 

 

 

 

 

 

 

 満面の笑顔のまま、アクロバックな動きも取り入れたヒップポップダンスやブレイクダンスを魅せつける美晴。ダンスレッスンで教えている際、美晴の柔らかい身体と女性らしさを兼ね備えた身軽さを見抜いていたRYUが美晴に助言したものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それまでは鈴蘭のように大人の女性を意識したダンスを習っていた美晴だったが、背伸びしようとして、余計に美晴に合っていないという違和感が露わになっていた。それをダンスレッスンですぐに感じたRYUが、美晴の持つ明るい性格と笑顔を最大限に活かせるヒップポップダンスやブレイクダンスを融合させたものに変更させたのだ。

 

 RYUがそう助言した時は、美晴も突然すぎて戸惑ったが、一回だけRYUが見本として見せた振付を自分でやってみたら、一瞬でこれだ!と思うほど自分にピッタリな事を実感した。天然すぎる性格で、「年の割には子供っぽい」と周りに言われ続けてきた美晴はいつのまにか少しでも大人になろうとしていた。芸能事務所も自分以外のアイドルやスタッフは他に移籍してしまって去って行ってしまった。金星社長を支えるには、今の自分じゃだめだと無意識に考え、行動した結果だったのだ。

 

 

 「やはり、美晴にはこっちの方が美晴らしいと思うぞ? 無理して背伸びする必要は無い。美晴は十分いいところがある。その長所をより生かしていけばいい。」

 

 

 踊り終わって、胸の縁がすっと空いた気がした美晴。その美晴の素直な笑みを見て、そう話しかけたRYU。

 

 

 そのRYUにますます感謝を感じた美晴は、いつかはRYUに認められるくらいになりたいと思う。

 

 

 

 

 

 ★★★

 

 

 

 

 あの時のRYUの言葉を支えに自主練もしてきた美晴。

 

 

 そして今はまさに、あの時のRYUの言葉を思い出しながら、今の輝いている自分に愛情を持って、それをめいっぱい表現する。

 

 

 踊っている自分は楽しい!

 

 踊っている自分が好き!

 

 踊っている自分を見てほしい!

 

 

 そんな気持ちで運動量も激しいはずなのに、笑顔を浮かべたまま踊る美晴。その行動が審査員たちの心を掴んでいく。

 翔琉は、さっきまでの見惚れていた表情とは一変して、驚愕と同感、そして仲間意識を感じてガッツポーズをして応援していた。

 

 見学する参加者たちも笑顔で見守り、身体でリズムを取り始めている。

 

 

 美晴のダンスは会場全体に影響を与えていた。

 

 

 それを踊りながら、見ていた美晴は自分のダンスでみんなが笑顔になり、楽しい気分になってくれているという状況が嬉しくなった。そして、最後の締めくくりに気合を入れて飛ぶ…!

 

 

 「な! バグ宙!しかもひねりを入れてきやがった…!」

 

 

 翔琉がまさかレベルの高い捻りを入れてくるとは思っていなかったのか、大声で驚愕を表す。美晴も練習では成功率が半々だったため、やるかどうかは最後まで考えていたが、RYUが見てくれていると思うと自然と力が湧いてきて、絶対に成功してみせる!と挑戦した。

 

 

 その美晴の想いは届き、大技は無事に成功する。

 

 

 着地と同時に回転して勢いを殺していき、決めポーズを決めると徐々に拍手が沸き起こった。

 

 

 「あの子、凄いな!!」

 

 

 「まさかあそこまで修得しているとは思わなかった!!」

 

 

 「これはますます見ごたえがあるオーディションになるぞ!」

 

 

 どこからか聞こえてくる絶賛の声も沸き起こり、美晴は息を整えながらも笑みを崩さずにお辞儀する。

 

 

 審査員の席からも拍手が起き、大澤監督は何度も頷きながら拍手する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、一次オーディションが終わり、次の二次オーディションへの通過者を選定していく。その結果は、審査員全員の納得いく選定だった。

 

 

 再び並んで自分の番号が呼ばれるのを必死で願う参加者たち。

 

 その緊張した雰囲気の中、大澤監督の口から通過者が発表されていく。

 

 

 「それでは、二次オーディションへの通過者を発表させていただきます。まずは…」

 

 

 大澤監督に選ばれた参加者たちが次々と発表されていく。選ばれたものはほっと安堵したり、うれし涙を流したりした。

 

 

 「11番、天童鈴蘭。」

 

 

 鈴蘭も呼ばれて優雅なお辞儀をする。そこに浮かぶ表情は当然というものだった。

 

 

 そして最後の枠として選ばれたのは…

 

 

 

 「25番、日暮美晴。」

 

 

 美晴の名が呼ばれ、美晴は自分が通過した事を理解し、心からの笑顔を振りまく。

 

 

 「以上が二次オーディションを通過する皆さんです。オーディションは昼を挟んで二時間後に開始します。」

 

 

 大澤監督がそう告げると、審査員たちを連れて隣接する部屋のドアに向かって歩き、姿を消した。その後ろには、名残惜しそうに鈴蘭を盗み見る翔琉の姿もあった。

 

 そして最後に席を立ったRYUは、子犬の表情で自分を見る美晴と目が合い、思わず苦笑いになりそうになったが、労いの意味を込めて微笑を浮かべて、ドアの奥へと消えていった。

 

 

 




やった~~!!美晴が一次をクリアしたよ~~!!

めちゃ喜んでいるうち。

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