魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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新キャラの榊…、良く見かける俺様キャラが度を越した感じの奴なんだよね~。こいつがこれからどう関わって来るのか…。


無責任なオーダー

 

 

 

 

 

 

 

 

 RYUは明らかに脅迫をしている榊にサングラス越しから嫌悪感たっぷりの視線を投げかける。完全に自分の思い通りになると思っている彼をますます関わりたくないと思う一方だった。

 しかしその一方、美晴が涙を堪えながら、笑顔を作り続けている姿が目にはいる。

 

 

 「だ、大丈夫です、RYUさん。 私の事は考えずにお引き取り下さい。予定があるんですよね? 間に合わなくなったら大変です! 私はまたオーディションを受けますから。」

 

 

 怖い思いをしているのに、それを必死に抑え、RYUを逃がそうとする美晴。その手は強く拳を握りしめ、力がこもっている。その姿を見て、RYUはボサボサした灰色の髪を掻く。それからしばらくして、身体を向きなおし、榊とそのお付きに鋭い視線を向けて話す。

 

 

 「悪いが、俺に依頼するなら、事務所を通してからにしてくれ。俺個人で仕事を受けるのは禁止されているからな。」

 

 

 「おや?君はもう事務所に所属しているのかい?それは残念だ。君をぜひうちにスカウトしたいと思っていたんだけどね~。」

 

 

 オーバーな手の動きで残念がる榊。そのリアクションを見ながら、RYUは白々しい演技をする榊を見透かしていた。

 

 

 (知っているはずなのにな。美晴から聞いたんだろ?ではなければ、美晴の事を”後輩”なんて呼ばない。…というより後輩なのは俺の方だがな。)

 

 

 RYUは先程の榊の会話を思い出しながら心の中で突っ込む。

 

 

 「まぁ、しょうがない。決まった事だし、スカウトの件、今回はそれで手を引こう。そして仕事の依頼についてだが、ちゃんと事務所の方に正式に依頼したから、問題ないはずだ、違うか?」

 

 

 そう言って、取りだしたのは情報端末に映し出された電子ペーパー。そこには今回のCM出演での契約書が記されていた。出際の良さに思わずRYUは感心してしまう。性格的には好ましくない人物だが、どうやらビジネスの腕は本物らしい。…手段はこの際目を逸らすとして。

 

 

 その書類に目を通そうとした時、RYUに通信が入る。それを榊に視線を向けたまま、電話に出るRYUの耳に入ってきたのは、知っている人物であり、今から確認がてら連絡したかった相手だ。

 

 

 『達也殿、今お時間はよろしいですかな?』

 

 

 「今、ちょうど連絡しようとしていた所だ。問題はない。」

 

 

 電話の相手にやや不愛想な口調で話す。それを聞いて今近くに人がいる事を教える。それを正確に理解した相手は、用件をすぐさま告げるのであった。

 

 

 『そうでしたか、よかったよかった。それならもうお耳に入っているとは思いますが、仕事の依頼が入りました。 CM出演のオファーのようです。金星社長から連絡を受け、奥様が許可をいたしましたので、遠慮なく仕事に励んでください。

  では、御武運を。』

 

 

 いう事だけは言ったと言いたげな声色で電話を切った相手に対し、RYUは心の中で「勝手に引き受けないでください、叔母上…。」と電話を終えた執事の葉山さんに紅茶を淹れてもらっている真夜のほくそ笑む姿を思い浮かんだRYUは、もう逃げ場はないと分かり、抵抗を諦める事にした。

 

 

 「……わかった。 仕事は受ける。」

 

 

 「おお~~!!本当かい!それは嬉しい知らせだ!!それでは私は会議があるからね! 今日はここで失礼するよ! …また君とゆっくり語らいたいものだ!わ~~~~はっはっはっは!」

 

 

 RYUの承諾を聞き、高笑いして数人の御付を連れて横切って去っていく榊を振り返りもせず、脱力してしまって廊下に崩れ落ちる美晴の傍へ歩み寄るRYUは、無責任なオーダーを受け、更にスケジュールがハードになるのであった。

 

 

 




本当に達也のスケジュール、どうやって調整しようか…。

あ、今日はバレンタインでしたね! はい、達也様!チョコです!

「ありがとう、受け取らせてもらうよ。」

はいどうぞ!これを食べて、疲れを取ってください!!

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