魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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はい、お待たせしました!今日からアイドル編、再開です!
そして、原作発売されましたね~。でも、今日は雪で出かけるには困難で、バタバタして買いに行けず。そして、くろちゃんから「達也の上半身裸はヤバかった」…だと!!

待て~~!!まだ言わないで!そして、物凄く気になる~~!!

妄想だけで悶えてしまっているうち。…今日は眠れないだろうな~。(そう言いつつ、寝落ちするパターン)


予定変更

 

 

 

 

 

 

 

 「じゃ、行ってくる。留守は頼んだぞ。」

 

 

 「はい、お兄さま。行ってらっしゃいませ。」

 

 

 「畏まりました、深雪お姉さまの事はお任せください、達也兄さま。」

 

 

 週が変わり、土曜日になった朝、達也は深雪と水波の出迎えを受けて、愛車のバイクに跨り、出掛ける。今日はFLT開発第三課で研究の日だ。これは前から決まっていたので、深雪はいつも通りに達也の前にだけ見せる可愛らしい笑顔で見送る。達也も微笑を浮かべ深雪に応える。そして司波家を後にした達也は、バイクを走らせ、市街地を巡る。

 そんな中、連絡が入った事を知らせる着信音が流れる。相手は、これから会う事になっている牛山からだ。達也はヘルメットに内蔵されている通信機能を起動させ、連絡を受ける。

 

 

 「はい、どうしました? 牛山さん。」

 

 

 『あ、御曹司!! すいません!いま、どちらに居られますか!!?』

 

 

 「今、そちらの研究所に向かっている所ですが?」

 

 

 妙に落ち着きを失くしている牛山の声の後ろでは、更にあたふたして走り回っている研究員たちの悲鳴やら叫び声やら嘆きと怒りがBGMのように流れていた。

 

 

 「……何があったんです?」

 

 

 『いや~…、その、どうやら部品の発注にミスがありまして、本日の試作品を製作するに当たり、支障が出来てしまいまして~…。申し訳ありません!』

 

 

 『いや、自分が悪かったんです!主任が謝る必要は…』

 

 

 『黙っていろ、テツ! 御曹司の天才的頭脳を駆使したソフトを使えるように形にするのが俺の仕事だ! それを俺がちゃんと確認しなかったばかりに御曹司に迷惑をかけてしまったんだ!お前達のミスは全て俺の責任だ! ぐたぐた言っている暇があるなら、さっさと伝手を辿って部品を仕入れろ! なんとしても掻き集めろっ!御曹司に恥掻かせんじゃねぇ~ぞ!!お前ら!!』

 

 

 『『『『『『『『『『はいっ!!』』』』』』』』』』

 

 

 第三課の熱き展開が電話の向こうで繰り広げられているのを苦笑しながら聞いていた達也は、「俺は別に恥なんて思わないがな…。」と自分のために力を尽くそうとしている第三課のみんなの顔を思い浮かべ、和む。それと同時にある人物に対して小さな嫌悪感を抱いたわけだが。

 

 

 『あ、すいません!御曹司と電話していた事を忘れてしまってました!』

 

 

 「問題ありません。我を忘れるほど皆さんが悔しがっているのは分かってますから。俺の方から少し通しておきます。」

 

 

 『……え?』

 

 

 「本部の者の嫌がらせで、わざと発注されなかったんですよね? 第三課は本部にとって目の敵にされてますから。相変わらずですが。」

 

 

 『ははは…、やっぱり御曹司には敵わないですね~。ええ、そうです。本部に確認したところ、そのような発注の打診は受けていないと言われましてね~、こちらは書類も渡していたってのに…。御曹司の言うとおり、相変わらずいけ好かねぇ~頭でっかちな連中ですよ!!』

 

 

 達也が既にお見通しだと理解した牛山は本当の理由を話す。達也は同意の返事はしなかったが、印象的には牛山達側に同意していた。だが、牛山は言った後で、その”頭でっかちの連中”の中に達也の父親が重役として入っている事を思い出し、慌てて弁解する。達也が父親と上手くいっていない事はなんとなく気づいているものの、詳しい家庭事情などは知らないし、達也にとっても一般的な父親という意識は持ち合わせていないため、謝られても牛山には何の得もない。

 

 

 「いえ、牛山さんの言うとおりですから。気にしないでください。ところで、その発注はいつ頃に届きそうですか?」

 

 

 達也は牛山が連絡してきた本題を聞き出す。

 

 

 『はい、そうですね~、……………早くても午後三時頃に準備できそうです!それで申し訳ないんですが~、その時間まで待っていただいてもよろしいでしょうか?第三課総動員で速やかに準備しますんで!!』

 

 

 「それでしたら、俺も行って手伝いますが?」

 

 

 『いえ、部品の発注はこっちの担当ですよ! 御曹司は思う存分魔法研究してくださいや。俺達は御曹司の類まれな才能を世に出せればそれで良い!あんたの下で働けるだけで俺達は幸せなんで!』

 

 

 後ろからも頷いたり、雄叫びが聞こえる。第三課一同の声を聴き、今自分が行っても却って彼らに悪いと踏んだ達也は、牛山の意見を呑む事にした。

 

 

 「分かりました。それではくれぐれも無理はしないでください。あくまで試作段階のものを何点か製作してみるだけですから。過労で倒れてしまっては本末転倒ですよ?」

 

 

 『な~に、この仕事が原因で過労でぶっ倒れても大丈夫ですって、御曹司!皆して”この仕事で全うできることが本望!もういつ死んでもいい!”って言うのが口癖ですんで!それではこれで失礼します。予定より早くに終わりそうでしたら、ご連絡いたしますんで。』

 

 

 こうして牛山が電話を切るまでにまた声を張り上げて、研究員たちに指示する声をBGMとして聞いた達也は、通信機能を切って、バイクを方向転換する。時間が出来てしまったため、達也は行き先を変更した。それが帰宅するのなら深雪が大層喜びそうだが、達也が向かった先は、ゴールデンスター芸能プロダクションだった。

 

 

 今日は、美晴のCMオーディションの日だ。

 

 

 時間ができた事だし、応援でも言っておこうとしたほんの出来心だった。

 

 

 「それにしても、牛山さん達…、あそこまで考えているとは思わなかった…。」

 

 

 独り言のように先程の牛山さんの最後の言葉を聞き、若干熱すぎる第三課の熱意に困惑した表情をヘルメットで隠しながら、事務所に向かう。

 

 しかし、これがきっかけで達也は巻き込まれる事になるとは、想像できなかった。

 

 

 




達也はこうでなくっちゃ! 巻き込まれ気質をフル発動だね!


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