魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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やはり深雪を騙すのは、骨がいるのかな?

チャレモ…、全勝できなかった…。物凄く落ち込み中。


我ながら良きアイデア

 

 

 

 

 

 

 

 一旦、制服を着替えるために帰宅し、愛車のバイクに跨り、ナビを使って、交通法に反しない程度のスピードを出して予定の場所まで向かう。

 着替えると言っても、白と緑のブレザーから黒革のライダージャケットへ、制靴もブーツに変えただけだが。学校から直接事務所に向かわなかったのは、警戒心からだ。もし魔法科高校の制服で出歩いて、どこかで変装を終えても目立つ格好なのだから、突然現れたら不自然だろうし、さっきまでいた高校生はどこに行った?となる可能性だってある。それにRYUはあくまで一般人という設定を真夜から与えられている達也。非魔法師であるため、魔法を使ったりしてはいけない。そして魔法科高校生であるという事実も知られてはいけない。だから、外で直接着替えるよりは、家でそれなりの格好で出かけた方がまだいい。そう判断しての達也の行動だった。

 

 そして、事務所前に着いたのは、四時半頃だった。

 

 既に交渉が始まって五時間以上は経過している。葉山さんが前日に教えてくれた事務所について軽く頭に入れた情報によれば、あっさりと提携決定していてもおかしくない。完全に自分の失態だとため息を吐きそうになるのを我慢し、バイクのエンジンを切って、ヘッドマスクを取る。そこには、ボサボサになった灰色の髪をした達也がいた。しかし、この髪はカツラではない。達也自身の髪だ。

 カツラを被ると、ヘッドマスクを取る際に一緒に取れるかもしれない。それにカツラは葉山さんが持っている。服装はなんとかRYUが来ていてもおかしくないものにしてみた。それにメイクもこの前にしてもらった記憶を頼りに自分でやってみた。だが肝心の外見の一番注目を受ける髪が黒髪ではばれてしまう。そこで、達也は自分の髪の色素を分解魔法で抜かし、灰色にしたのだった。

 

 改めて自身の髪をバイクのサイドミラーで確認し、上手くできている様を見て、達也は、

 

 

 「…これからはこれで行くか。(カツラ)取れる心配をしなくて良い。」

 

 

 と我ながらのアイデアにそこそこ満足する。そして達也は急いでいるが、決して走ったりはせずだるそうな演技をしながら、ビルの中にある事務所へと向かって行くのであった。

 

 

 事務所前に着き、ドアを開ける前に中の様子を聞き耳立てて聞いていると、話し合いが聞こえてくる。その内容は提携するにあたり、真夜が定めた条件の確認事項や説明だった。…まぁ話していると言っても、真夜ではなく、葉山さんと恐らく事務所の社長なんだろう。

 真夜が面倒くさくなって、葉山さんに説明を譲ったのだろうと達也は思った。紹介するまで時間稼ぎをしてくれた葉山さんに少しだけ感謝しつつ、達也は呼ばれる合図を待つ事にした。既に達也が到着した事は葉山さんにも間接的に伝えてある。

 

 

 そして葉山さんも理解していた。真夜が話し始めた事で、そろそろだと覚悟を固めた達也は、何も疑いようなく御願いを聞き入れようとする金星達にため息を溢しつつ、真夜の言葉を聞き、歩き方を意識して、ドアを開ける。

 

 

 「そう?ありがとうございます。では早速お願いしますわ。………入ってきなさい。」

 

 

 入って、しばらくしてから直接会うのは初めての二人が悲鳴を上げ、驚愕する。

 

 

 「「ああああああ~~~~~~~~~!!!!!」」

 

 

 「き、君はもしかして…!」

 

 

 「…………り、り、RYU~~様!!?」

 

 

 二人のこの食い付きっぷりに達也もまた違う意味で驚愕しつつも、それを唇を吊り上げ、軽く笑みを浮かべる事で隠し、アイドルRYUとして少しの間過ごすのであった。

 

 

 

 

 

 




ふふふ…、達也も頑張れ~~!!

…でも深雪を騙すのは難しいかな?

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