魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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さてさて…、大半はタブルセブン編を終わらせたので、ここからがアイドルの見せ場だよね?



深雪VSピクシー

 

 

 

 

 

 

 

 

 十三束との模擬戦も終え、服部をはじめとする部活連のメンバーと別れ、深雪と共に生徒会室へと戻った達也は、自分のデスクに座り、通信機能を立ち上げた。

 

 他の生徒会メンバーは割り当てられた自分の仕事に切磋琢磨している。深雪は慣れた手つきで書類を目に通し、チェックしていく。ほのかと泉美は新しく生徒会へ入ったため、一生懸命仕事を覚えている最中だ。なお、達也も今年から生徒会へ所属する事になったが、前々から生徒会へは出入りしていたし、風紀委員会では面倒な事務仕事を摩利から押し付けられていたため、生徒会の仕事はたった一日で覚えてしまい、逆に一人で仕事を難なくこなしてしまうレベルを発揮していた。これにはさすがにあずさも五十里も驚愕と焦りで固まった。

 

 そのあずさと五十里は今何をしているのかというと、入学して一か月経とうとする一年生の実習での上達度データを見ながら、一年生達の演習室使用許可申請書と共に照らし合わせ、打ち合わせしている。来月に控えた中間試験にいい成績を残したい生徒(主に一科生だが)が初めての実習試験に向けて練習を名乗り出たからだ。校内での無許可の魔法使用は禁止されている。部活以外での魔法使用をするなら、申請が必要。そしてそのために演習室を使いたいなら生徒会へ申請しないといけない。妥当な規則だが、あずさと五十里は二人一緒に頭を悩ませていた。

 

 

 「う~~ん…、どうしましょ?五十里君。何がいい提案ないですか?」

 

 

 「僕も考えているんだけど、難しいかな?まさかここまでとは思わなかったから。去年もそうだったの?」

 

 

 「いえ! 去年もそうだったなら、何かしらの対策はしてますよ~!でなきゃ、これで悩んだりしません!」

 

 

 半分涙が目に浮かび、嘆いているあずさを五十里が慌ててなだめにかかる。

 

 

 先ほど帰ってきた達也と深雪は何を悩んでいるのか理解できずにいた。しかし気になりつつも口には出さなかった。達也は自分に回ってこない限り手を貸さないので、二人のやり取りを完全にシャットアウトし、目にも止まらないスピードでキーボードの上を達也の指が駆け抜けていく。深雪も達也がまったく気にせずに仕事に入ったと思ったため、仕事に集中する。

 

 しかし二人の行動はすぐに破たんする。

 

 あずさと五十里の悩みを話題に深雪に話しかける後輩がいたからだ。

 

 

 「深雪先輩、お疲れ様でした! お飲み物を用意しましょうか!?」

 

 

 「大丈夫よ、泉美ちゃん。私は見学していただけ。お兄様にこそ用意しなければ。お兄様、コーヒーをご用意いたしましょうか?」

 

 

 「いや、大丈夫だ。御前のその労いだけで十分だ。」

 

 

 「そ、そうですか?ではお飲みになりたくなった時は深雪に言ってくださいね?すぐにご用意いたしますから。」

 

 

 『それには異議を申し上げます。お飲み物をご用意するのは、私の役目です。更に言いますと、この部屋でのご主人様(マスター)への給仕はすべて私に一任なされております。例えご主人様(マスター)の妹君だとしても、御譲りできません。』

 

 

 泉美が深雪との話題のために繰り出した話がなぜか達也へと渡り、それが生徒会室の一角で待機していたピクシーの感情を活性化させてしまった。

 

 

 「あら、ピクシーさんの仕事をお取りするつもりはありませんよ?ですが、お兄様の御心を和ませるのは妹の特権でしょう?それを止められる謂れはないと思うんだけど。」

 

 

 『深雪様はこの場でなくても甘えられるではありませんか?私はご主人様(マスター)の御傍にいたいだけです。そしてそれが叶うのは、この部屋だけ…。私がこの部屋にいる限り、ご主人様(マスター)の世話は私が全て引き受けます!私はご主人様(マスター)へ忠誠を誓った身。ご主人様(マスター)へ絶対なる愛を尽くすと決めていますから。』

 

 

 胸に手を当てて、達也に瞳を潤ませて笑顔を向けるピクシーに深雪が達也との間を割って入り、視線を遮る。

 

 

 「そうね、貴方がこの部屋で給仕をする事は認めているし、悔しいですけど御譲りしてますわ。でも、お兄様との時間をどう使おうかはあなたに異論を言われる筋合いはないでしょう?」

 

 

 『あります。私の仕事を取ってまでご主人様(マスター)と戯れるのはお止め下さい。それなら、私がご主人様(マスター)の御世話をしながらお時間を頂戴いたします。』

 

 

 このピクシーの言葉で今まで笑顔でいた深雪の何かにスイッチが入った。その瞬間、深雪とピクシーの間で見えない稲妻が走る。

 

 この様子に、あずさと五十里は自分達の悩みなんて吹き飛んでしまい、この状況を何とか治めてほしいと達也へ救いを求める目を向ける。ほのかは羞恥心を感じて顔を真っ赤に染め、絶対に達也と視線を合わせまいと俯く。泉美はというと、ロボットに「ご主人様(マスター)と呼ばせている達也へ蔑みと非難と憎しみを混じらせた視線で見つめてくるのだった。自分が尊敬と憧れを持つ深雪へ持ちかけた話題がなぜか達也を巡った展開を呼び、深雪が達也にぞっこんな一面を見たため、嫉妬を抱いてもいた。

 

 

 そんな生徒会メンバーから視線を一身に受ける達也は、盛大にため息を吐きたくなるのと、本格的に頭痛を感じるのではないかと突然巻き込まれたこの状況に頭を悩ませるのであった。

 

 

 (何でこうなるんだ?)

 

 

 

 

 




アイドルじゃない~~!!
まだ続いていました~!!オリジナルだけど、先にすすもう!

はい…、そうしようとしたんだけど、書いてたらいつの間にかこうなってた…。


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