魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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…ええと、タイトルなんだけど、こんな言い方、達也は絶対しないよ、絶対だよ。

「あ、やっぱりばれてしまったみたいだね、そうだよ僕が言ってみたかったんだよ~?」


 あ、やはり八雲でした。

試合の内容はカットする方向で。


喰らえ!徹甲相子弾!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 「司波君はそれで良いの?」

 

 

 「ああ、問題ない。」

 

 

 十三束が制服の上着を深雪に預けただけで、CADを点検する達也に問いかける。自分のように戦闘服に着替えるのなら、それでも構わないと思っていたからだ。しかし、達也は上着を脱ぐ以外はすべて制服のままで、それで模擬戦を受けると言う。本人がそう望んでいるのだから強くは言えないが、もっと防御バンドなり身に付けてもいいのにと心の中で呟く。そうすれば、怪我の心配に多少気を回さずに闘いにだけ集中できると気づかない内に十三束は意気込んでいた。

 

 

 

 (着替える暇はない。早く片をつけるとしよう。それに戦いでは戦闘服に着替える準備を与えられるほど甘くない…。)

 

 

 十三束の心の声とは対照的に達也は冷静な思考を繰り出していた。いや、冷静というよりは冷酷か?十三束は男同士の拳のぶつけ合いという”闘い”が意識の中心にあるが、達也は実際に経験してきた”戦い”での命の取り合いの感覚を意識の中心に捉えていた。そしてそれは、達也にとって『負ける』という事がどういう事かを再認識させ、思考を冷まさせるのであった。

 

 

 「靴は脱いだ方がいいか?」

 

 

 「いや、そのままで構わないよ。」

 

 

 本気で蹴っても問題ないと十三束が意思表示し、達也も所定の位置へ赴く。

 

 

 審判は引き続き、服部。

 

 

 「二人とも、準備はいいか? それでは、始めっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時に床を蹴って動き出す十三束と達也。

 

 

 達也に突進する十三束の攻撃を達也が躱し続け、さばいていく。しかし、徐々に達也も攻撃を捌ききれなくなり、攻撃を繰り出す。

 

 

 (やはり十三束には分解は通用しないか…。これはどうやら考えてみる必要がありそうだ。)

 

 

 そんな攻防をしながら、達也は十三束の呪わしい体質である相子の鎧を『術式解散』で吹き飛ばした。

 

 

 

 捌ききれなくなっても、『精霊の眼』で十三束の相子を見ながら勝機を見いだせる機会を探っていた達也。目の前の十三束と近距離で戦いつつ、冷静な分析を行い、自分の得意魔法が通用しない相手が現れた事で、新たな魔法を作りだす必要性を考えるのであった。それは、本能的に思った事なのかは定かではないが。

 

 だからか、達也は「セルフ・マリオネット」となった十三束へ止めをつけるため、力を隠す為ではなく、勝利をつかみ取るために。意識の奥底では生きるために…。

 

 不十分な鎧にも阻まれるかもしれない得意魔法である『分解』ではなく、不十分な鎧ならば確実に撃ち抜く事の出来る魔弾を達也は選んだ。

 

 

 元々パラサイトのような人外を敵として修業した高圧高硬度の遠当て「徹甲相子弾」(八雲が達也の話を聞かずに勝手に命名した)が達也の手から放たれる。

 

 

 

 硬く硬く…、圧迫された相子弾は、武闘人形と化した十三束を貫き、その影響で十三束は後方へ身体を飛ばし、受け身が間に合わず、軽い脳震盪を引き起こす。

 

 

 「勝者、司波!」

 

 

 それを確認した服部が、達也の勝利を宣告した。

 

 

 

 その瞬間、達也の張りつめていた緊張の糸を解き、戦闘意識を閉じ、元の高校生へと意識を変えた。

 

 本来、模擬戦ではこんな命のやり取りを考える様な、死と直面した状況を考える達也ではなかったが、分解が通用しない十三束と手合せした事で、達也には分からない危機感を思わせたのかもしれない…。

 

 

 

 

  




達也が勝ちましたね…。

分かっていたけど。独自解釈入れちゃったけど、分解って誰でもできる魔法ではないし、内心達也も分解魔法を自分の存在として思っていた所があると思うんだよね。「これがあるからこそ、今の俺がいるんだ」的な?
だから、それが通用しない十三束と戦ってみた事で、これから先分解が通用しない相手が出てきた時の本能的な危機感が出てしまうのではないかとうちは思ったわけですよ。
…長くなってしまいましたな。ブラックな達也の内心解釈してすみません!!

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