魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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このキャラも一応やっておかないと、アイドルと絡んできますので…。


手掛かりの捕獲

 

 

 

 

 

 

 

 ロバート=孫による小和村真紀襲撃作戦の失敗は、すぐに周公瑾の知る所となった。

 

 作戦が成功していれば娘の変わり果てた姿を撮影して裏切り者の元へ届けるべく待機していた部下が周にそれを伝えた。

 

 

 (炎上して墜落中の飛行船が消え失せた……。そんな真似ができるのは)

 

 

 あいにく映像は撮れなかった。部下の報告も要領を得ないものだったが、周は空中で消え失せたという内容から、作戦を邪魔した者の正体を正確に推測していた。

 

 

 

 

 

 ★★★

 

 

 

 

 

 報告をした部下も心当たりがあったのか、通信で報告する傍らで手を震わせていた。それは仲間を失った事による怒りによる震えではなく、ただ単に跡形もなく飛行船ごと消え失せたのを目の当たりにした素直な恐怖による震えであった。

 

 そして余談になるが、部下は周への報告を終わらせた後、周のいる隠れ家に戻ろうとしてビルの屋上から去ろうとした所を突然の立ちくらみに襲われ、身体が言う事を聞かないと悟った時にはすでに遅し。部下はそのまま前倒れし、意識を失った。

 

 

 「彼の言ったとおりだったね。こんな屋上で天体観測じゃないだろうし。」

 

 

 「それならこれを持っていませんよ、少佐。」

 

 

 気軽な雰囲気で話しながらも場違いな話をするのは、真田と響子。

 

 去り際に達也がずっと飛行船を見ていた部下の視線を感じ取り、念のためにと響子たちに伝えていたのだ。

 

 

 「あの一瞬でここの位置を把握するとは、いいデータが取れたよ」

 

 

 「はいはい、分かりましたから少佐も手伝ってください。私一人で運ばせるつもりですか?」

 

 

 部下から小型銃を二丁押収し、意識がない部下を連行しようとする響子が真田に意地悪く話しかける。

 

 

 「君の『避雷針』で捕えているんだし、慌てる事もないと思うんだけどな~。」

 

 

 「あら、少佐はか弱い女性に大の男を一人で運べと仰るのかしら?酷いですね~。」

 

 

 真田は響子からジト目で見られながらも心の中では「君がか弱いなんて言うほどの女性ではないと思うんだけどね。」と呟くのだった。

 

 

 「大丈夫だよ、さっき応援を呼んでおいたから。ほら、来たよ。」

 

 

 そう言った真田が指差す先に柳が現れた。

 

 

 「ったく、俺を呼ぶくらいだから手応えがある奴かと思ってきてみれば、藤林が確保済みじゃないか。俺が来た意味あるのかよ?」

 

 

 「おや、そんな事言わないでくださいよ。これでも柳さんが必要だと思ったから私がお願いしたんですよ?」

 

 

 「なんだ、藤林が応援を呼んだのか? まぁ、そこの奴が呼んでいたら、絶対に来ていなかったがな。」

 

 

 「あれ~? 柳君は人の好き嫌いで任務を放棄するつもりかい?」

 

 

 「俺はお前と相性が悪いんでな。」

 

 

 柳と真田の緊迫した空気が流れる。しかし、そこは響子が止めに入り、不服はあるものの、柳が部下を肩に担ぎ、その後を響子と真田が着いて歩き、風間の元へ向かうのだった。

 

 

 軍の基地へと戻る前のほんの少し前の出来事である。

 

 

 




この部下はこの後どうなったかは知らないや。まぁ、周も切り捨てるつもりだったとは思うけど。

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