魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

272 / 453
…あれ?アイドルを目指す話のはずだよね?なぜに革命とか、誕生会とか、そんな話になった?




大革命家、達也の登場!

 

 

 

 

 

 

 

 「…………みんなして、僕に何か恨みでもあるの?」

 

 

 「うぅ………私も、こ、こんな目に遭うとは思わなかったよ~。」

 

 

 「す、すみません…! 私にはお二人を助ける事は…できません!」

 

 

 「いや~、なんというか…、まさかここまでとは俺も正直思わなかったぜ…。」

 

 

 「何を今更言っているのよ、ミキは。あんたもこれくらいの事で同情するんじゃないわよ!まずは自分の心配をしたら~?」

 

 

 「エリカも自分の心配した方がいいと思うわよ?」

 

 

 「え?……あ!」

 

 

 「…深雪、容赦ない。」

 

 

 「さすが深雪姉さまです。お見事です。」

 

 

 「ふふふ、水波ちゃん、ありがとう。でもお兄様には到底及ばないわ。」

 

 

 「その”達也”に痛い目に遭っているんだけどね!」

 

 

 「ん? なんだ幹比古、早くしろ。こっちは準備できている。」

 

 

 「…………何もないような雰囲気で、先を煽られるとなぜか

気が重くなってくるよ、達也。」

 

 

 「これくらいの事でなぜ気が重くなるのか理解できないんだが?」

 

 

 「ミキ~、達也くんに小言言っても無駄よ。いい加減腹を決めなさい!男ならビシッとしておくべきでしょ!?それとも好きな人の目の前で恥を掻きたいわけ?」

 

 

 「な!? エリカ!い、いい加減な事言うなよ!それに僕の名は幹比古だ!」

 

 

 「それくらいの意義込みを見せてほしいものだけど~。」

 

 

 「…………っああ~~~、分かったよ! 」

 

 

 

 

 皆で囲んで輪を作り、全員が真剣そのものの表情で見つめ合う。幹比古とほのかは苦しみを滲ませた表情も含んでおり、その二人の表情を見て、他のメンバーがからかったり、憐れんだりと見守っていた。

 そしてついに、幹比古が腹をくくったのか、決心を固めた表情を取り、手から札を数枚取り出すと、輪の中心に思い切り叩きつけて、宣言するのだった。

 

 

 

 

 「これでどうだ!? ”革命”!!」

 

 

 渾身の一撃を浴びせたと思い、今度こその自分の勝利を脳裏に浮かべる幹比古。しかし……

 

 

 「幹比古、悪いな。”革命返し”に、”八切り”に、”1”だ。」

 

 

 「……………え?」

 

 

 

 達也があっという間に勝利宣言の如く、不敵な笑みを浮かべて抜ける。

 

 

 「では私も。”2”で上がりですわ。」

 

 

 「はいは~~~い!私は”トリプルK”からの、”J返し”で”5”あがり!!」

 

 

 「ご、ごめんなさい!!”4”で上がります!」

 

 

 「”3”で、”タブル10”で上がり…。」

 

 

 「”タブルQ”で上がります。」

 

 

 「よっしゃ!俺も上がりだぜ!」

 

 

 「………よ、よかった!”革命”からの、”J返し”で”1”の縛りで上がれました~~!!」

 

 

 「ええええええ~~~~~~!!!??」

 

 

 

 幹比古以外全員が嬉しそうな顔をして、騒ぎ合うのを、ただ一人だけ手に札を持つ幹比古だけが目を丸くして、現実逃避するのであった。

 

 

 

 

 何をしていたかというと、バーズデーケーキをみんなで食べて盛り上がった後、せっかく幹比古が持ってきたレトロな遊びをしようという事になり、主役の達也もそれに応じたため、全員で遊ぶことになった。

 その遊びというのが、トランプだった。

 

 しかも、”大富豪”…。

 

 

 先ほどからみんなで10回以上はやっているんだが、未だに幹比古は勝つ事がなく、いつも大貧民になるのだった。(9人でしているから、大大大大貧民になるんじゃ?どんだけ”大”がつくんだよ!!)

 ほのかも負け越しが続いており、いつも幹比古とほのかが残り、ほのかが先に上がるという現状も起きていた。

 

 

 「何で僕だけこんなに負け続けないといけないんだよ…。」

 

 

 「さぁ~? タイミングの問題なんじゃない?」

 

 

 「何のだよ…。」

 

 

 「”革命”するタイミング?」

 

 

 エリカが首を傾げて考えながら答えるが、幹比古はそんな事はあり得ないと思っていた。毎回自分が革命を起こしている訳ではないし、みんなの札の状況を見ながら、自分の有利を計るタイミングに札を出すなんて不可能だ!…と幹比古は一掃した。

 

 

 「……ミキ、今『そんな事あり得ないだろ』って思ったでしょ?」

 

 

 「え!?」

 

 

 「やっぱり…、言っとくけどね~、そんなんだからいつまでも大大大大貧民のままなのよ! 達也くんを見習ったら?」

 

 

 「た、達也は次元が違い過ぎるよ! だって…、一回も負けていないばかりか、ずっと大大大大富豪だよ!?」

 

 

 そう…、幹比古の言うとおり、”大富豪”を始めてから達也は一度も負けていなくて、舞かい一番に上がるために”大大大大富豪”の称号を我が物にしていた。初めは深雪以外驚いていたが、徐々にそのあまりにも桁が違い過ぎる勝利にドン引きし出した所で、『達也の強さは次元を超えている』と遠くを見る目で受け入れていったのである。だから、今更ながら達也の異常な強さを見習うどころか、勝負する事さえ放棄した幹比古にエリカは嫌気が差してきた。

 エリカは鋭い視線を双眸に宿し、根性を入れ直そうかと思ったその時、達也が仲裁に入る。

 

 

 「エリカ、そこまでにしたらどうだ?幹比古もよくわからないが、好きで負けている訳ではないし、毎回同じ結果だと飽きてくるだろう?

  今度は違うものをしないか? 」

 

 

 「……達也くんはそれで良いの?」

 

 

 「俺は構わない。せっかく幹比古がたくさんレトロなゲームを持ってきてくれたからな。他のも遊ばないともったいないだろ?」

 

 

 達也が微笑を浮かべ、エリカに応える。その達也の表情から、勝負に面白味を見出しているような印象を受けたエリカは、幹比古に迫っていたのを止め、輪の中に戻る。深雪達もそろそろ飽きてきたのか、達也の意見をすんなり受け入れた。

 

 

 

 

 こうして、”大富豪”では、達也が”大大大大富豪”の称号を手にしたまま終わったが、達也の勝利はまだまだ続き、”ババ抜き”や”七並べ”、”神経衰弱”等々のトランプの遊びを全て勝利を収めるという人間離れな脅威を見せつけ、エリカたち喉肝を抜き、ドン引きされるのだった。(深雪は「さすがお兄様です!!」と目を輝かせて尊敬していた。)

 

 

 まさにただの遊びに革命を起こしたとも言える、達也の手腕が疲労された時だったのは言うまでもない…。

 

 

 




達也ってどんだけ強いんだよ! 説明しよう!(独自解釈だけど!)

達也は観察眼に優れているから、カードの使い様とか枚数とか、表情とかを細かく観察する事で、みんなの手札を予測したりできているんだよ。だから次に自分が何を出せば勝てるか頭の中で計算しているから、一番に上がれるんだよ!!
…決して『精霊の眼』を使っているとかじゃないからね!イカサマなんてしてないよ!

………逆に凄すぎて口が開きっぱなしだよ~~~!!

 ちなみに神経衰弱は達也がみんなの後に引いたら、一気に札を取っていって、一回で終わり、エリカとレオに「もっと空気読んで」と突っ込まれてました…。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。