魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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いよいよ達也の誕生会がスタート!
さて何をさせようか…。軽くキャラ崩壊させるか…。くくく…。


ほのかと水波の初対談

 

 

 

 

 

 午後五時。

 

 

 

 

 一足早くに雫の家に着いた深雪と水波は雫の家に仕えるお手伝いさんに案内され、パーティー会場となる応接間へと案内された。

 

 

 「こんばんは、雫、ほのか。今回、招いてくれて嬉しいわ。」

 

 

 応接間に入り、深雪が既にパーティーの準備をしていた雫とほのかに声を掛けた。後ろに控えている水波はそのまま無言でお辞儀をする。

 

 

 「ううん、こっちも来てくれて嬉しい。」

 

 

 「深雪~!ちょうどよかった~! 絡まって身動き取れないの~!」

 

 

 それに対し、雫とほのかは安堵した表情で深雪達に助けを求めた。改めて二人を観察した深雪は苦笑するしかなかった。水波は若干呆れている。

 なんとほのかの身体に飾りが巻き付いており、それを取るのに二人とも苦戦していた。

 

 

 「ほのか、どうすればこんな風に絡まるのかしら? いくらなんでも身体が全身縛られるようにはならないはずでしょ?」

 

 

 「うう……、最初は足に絡まっただけだったんだけど、解こうとしたらどんどん絡まっちゃって……。」

 

 

 「なんとか解こうとしたけど、固く絡まっているところもあって、解くにも時間がかかる。切ろうと思えば切れるけど…、それだと飾り付けが間に合わない。」

 

 

 困った口調で話す雫といまだに縛られて身動き取れないほのかを交互に見て、深雪も困った表情をすると、後ろで傍観をしていた水波に振り返り、尋ねるのだった。

 

 

 「水波ちゃんならこれをほどく事は出来るかしら?」

 

 

 「……はい、できます、深雪姉さま。」

 

 

 ほのかを縛る飾りを観察した水波はできると宣言した。それを聞いて安堵した深雪は水波に任せ、雫と一緒に距離を取って、まだ終わっていない場所の飾りつけを再開するのだった。

 

 

 「え?ちょっと、雫~? 深雪~? ちょっと待って…!」

 

 

 自分から離れて楽しそうに会話しながら飾りつけしていく二人にほのかは焦りを感じる。できれば、解放されるまで傍にいてほしかったのだ。

 予定の時間が迫ってきているので、自分のミスで滞った準備を二人が間に合うように手を動かしているのは分かっている。しかし、この状況の自分が後輩である水波と初の対談をするという事態に羞恥心を感じずにはいられない。だからせめて仲介してほしくて、傍にいてほしかった。

 ほのかの救援は残念ながら霧散し、気まずい雰囲気がほのかと水波の間に流れる。

 

 

 「あ、あの……、水波ちゃん…? ごめんね? こんな事させて。」

 

 

 「いえ、大したことではありませんから。光井先輩が気に病む事はないと思います。三井先輩は少々慌てがちな方だと聞いておりますので。」

 

 

 「え!? 誰から!?」

 

 

 まだそんなに話した事もないのに、自分の事を知っている水波に驚くほのか。一方で水波はどう答えるべきか迷っていた。ほのかの情報は実を言えば、ここに来る前に深雪の友人の情報をまとめたデータを渡され、その中にあった事を言っただけだ。達也からも深雪からもまだそこまで聞いていない。本来なら達也か深雪のどちらかに聞いた事にすれば問題ないが、ほのかが達也を好いているのは、データだけでなく、入学してからの約1ヵ月の行動を見れば分かる。達也がほのかの印象を悪く見ていると受け取れば厄介事になるのは容易に想像できる。対して、深雪も同様に友人関係が気まずくなるのではと考えてしまい、水波の頭の中に浮かんだ対応策は消えてしまった。

 だから……

 

 

 「……同じクラスの子がそのように話していたかと思います。慌てがちな面があって心配になるけど、真っ直ぐに行動する所は惹かれる、と男子生徒が話していました。」

 

 

 「え、そうなの? 私って一年生からも注目されていたの?」

 

 

 「はい、光井先輩は容姿も魔法力も優れておりますので、魅力的に見えるのでしょう。」

 

 

 嘘はついていない。実際に水波のクラスの男子生徒達がそのような事を話していた事をなんとなく覚えていたのが幸いし、伝えてみただけだ。それが、ほのかが赤面するとは思わなかったが。

 

 

 「わ、私は、私には達也さんが…、す、好きなので!! その子のき、気持ちに応える事は…できません…!!」

 

 

 「……………」

 

 

 縛られながらなぜか告白したほのかに水波は何が起きたか、一瞬理解不能になった。今の流れでなぜ告白するのか?水波はそう思うと、これ以上は会話が持たないと判断し、手早く飾りを解き始めた。元々、四葉本家でメイドの嗜みとして編み物を習得していた。毛糸が絡まる事も多多あったので、その時の毛糸の解き方と酷似する飾りの解きは水波には造作もない事だった。

 そうして、たった五分でほのかを解放した水波。

 

 

 「あ、ありがとう、水波ちゃん。助かりました。」

 

 

 「いえ、では私はこれで。」

 

 

 お辞儀すると、水波はほのかをその場に残し、深雪の元へと素早く向かうのだった。それを見送って、ほのかは肩を落とす。

 

 

 (もっと気の利いた話をすればよかったな~。「達也さんのカッコいい所」とか、「達也さんの好きな食べ物」とか…!深雪のいない間に達也さん情報をゲットできるチャンスだったんじゃ!!)

 

 

 後の祭りとばかりに、今になって気づいたほのか。

 

 再び聞こうにも水波が既に深雪とパーティー準備をしているのを見て、水波ともっと仲良くなるのを決めたほのかであった。

 

 

 

 

 




水波から達也の好みとか聞き出そうとするほのか。ほのかにしては積極的だな~。
いつもは雫に背中押されないとアタックできないのに…。

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