魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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車内で仕事の話…。今後の展開ともつながりが~~!!


淑女(真夜)の本懐

 

 

 

 

 金星との交渉も終わり、四葉本家へ車を走らせる中、真夜は葉山さんが用意した甘さ控えめなチョコケーキを食べていた。

 そのまま葉山さんが仕事の報告や各分家や使用人に与えている任務の状況説明を次々と伝えていく。今は、先日の反魔法師運動を助長させるマスコミに対する動きの動向や今後について話していた。

 

 

 「…引き続き、黒羽殿にはジャーナリスト達の密会に警戒するようには伝えていますがこの前のような怪しげな動きは表面的には見られないようです。」

 

 

 「という事は、密かには動いているのですね? 反魔法師運動は…。」

 

 

 先程まで高笑いしていた真夜だというのに、完全に冷ややかな視線を持ち、妖艶な笑みを浮かべ、気怠そうな声で葉山さんの報告に答える様子は四葉家当主としての真夜そのものだった。

 

 

 「はい、大方の報道各社は思う所はあるものの、皆、自粛しています。これも達也殿がご披露された実験の影響ですな。」

 

 

 「達也さんとしたら、ここからが本腰だったのでしょうけど、百山さんがうまく利用したお陰で手間が省けたようね。だからあの子も今日から早速アイドル活動に専念できるのだけど。」

 

 

 「ですがまだ懸念はあります、奥様。

  今回の件で報道各社が反魔法師に対して動きを抑えられたとはいえ、黒羽殿の報告では『裏との繋がりを持つ者が浮かび上がってきている』とのこと。もしかすれば……」

 

 

 「ええ、理解していますよ。そのための達也さんをアイドルに仕立て上げましょうって話になったのですから。

  最近は特に魔法師への風当たりが酷くなっていく一方ですからね。」

 

 

 意味深な事を言った真夜は、葉山さんから受け取った情報端末から調査報告を読んでいき、それと一緒に送付されていた一枚の写真を開いた。その写真には長髪の若い男性が写っていた。

 

 

 「この者が去年の横浜事変での黒幕ですか…。なかなか人を食ったような笑みをする人ね…。 貢さんもよく入手成功してくれました。大変だったでしょう?」

 

 

 「私も同じことを言いましたが、黒羽殿は『これくらいの事は大したことではありません。ですが、いまだに当主様のご期待に応えられていない私がふがいないばかりです。』とそれはそれは悔しそうに仰られておりました。」

 

 

 「ふふふ…、貢さんは仕事に対してまじめすぎる部分がありますからね。まぁ、裏を返せばそれが確実な成果につながっているのだけど。

  ………もしかして、達也さんの実験の後に聞いたのかしら?」

 

 

 「はい、案の定の反応でした。昔から黒羽殿は達也殿に対して敵意なものがありましたので、本音が少々出てしまわれたのでしょう。」

 

 

 「達也さんを妬ましく思っても無駄な事よ。達也さんに出来ない事なんてないのだから…。」

 

 

 達也と比べること自体が馬鹿らしいと言外に告げた真夜の言葉に葉山も納得していた。

 

 実は黒羽家には去年から写真の青年…、周公瑾をできれば生け捕り、できなければ屍を持ち帰るように任務を与えていた。周公瑾が日本の魔法師の印象を悪化させ、日本の弱体化を狙っていた。しかし、その元となっているのは、四葉家の弱体化だ。日本全体を狙っているというのなら、政府に手を貸すだけで済むが、標的が自分達だと言うなら話は別だ。四葉家に刃向い、手を出そうものなら処分するのみ…。真夜もそう判断し、周公瑾の捕獲を指示していた。それでも未だに捕まらないのは、それだけ相手も捕まらないように動いているという事だ。…四葉の諜報力をも躱せるほどに。

 だから、貢が任務を遂行できていない事を責める事はない。雲隠れしている相手を追うのは至難の業だ。更に自分達の網を潜り抜ける相手ともなると、慎重になってくるのは仕方ない。

 

 真夜も葉山もそう思っている。だから、難易度の高い任務を与えている貢が自分の仕事と達也の実験での成功とを比べても意味がない。

 

 

 「でも、達也さんが報道業界の動きを散り散りにしてくれたお蔭で、貢さんもまたそろそろ動けるでしょう…。」

 

 

 真夜は公瑾の写真を見ながら、自分の前に血まみれで届けられる様を想像してほくそ笑むのだった。

 

 




マッドサイエンティストのようになった真夜…。
そして達也の恒星炉実験の裏に隠されていた事が出てきました…。これが達也にアイドルさせる事とどうつながるのか…?

続きは~~また明日!!

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