うちらにとってはお馴染み展開だけど…、どう思うかな…?
「つ、疲れた~。今日の特訓もハードだった。」
息を切らしながら、ギルドの地下に創設されているイメージシチュエーションアクティブルームで御神とホムラによる猛特訓を受けていたくろちゃんとちゃにゃん。
終了した時は、既に日は傾き、ほかのギルドメンバーは夕食を食べていた。くろちゃん達も美味しそうな食事を目の前に涎を垂らしながら、テーブルに向かう。
「それにしても、くろちゃんもちゃにゃんもギルドに入った時と比べて格段にレベルアップしたんじゃないか?」
「そうだね。この調子なら、魔法試合にも参加できるよ。」
絶賛されたくろちゃんとちゃにゃんは互いの顔を見合わせ、嬉しそうに笑った。食事という名のメンバーとの団欒も一通り済んだ頃、ギルドの玄関の扉が開く。
「ただいま~。 仕事終わらせてきた~。 食べ物~。」
腹の虫を鳴かせながら、帰ってきたミナホはチャチャッと夕食を食べると、気合を入れ直し始め、
「じゃ、お風呂に入ってくる。」
とみんなに行ってから、2階の大浴場に向かった。
それを見たちゃにゃんは今日は早めに寝るため、風呂に入ろうとミナホの後を追って浴場に向かった。
その姿を見送ったメンバーは慌ただしくなった。そして、それを待っていました!というかのようなタイミングでマサユキがステージに現れる。
「よし! 今日も来ました!! この時間!! 待ちに待ったこの時が!!
NST!! 出動準備ができ次第、目的地へ向かう!!
隊員は速やかにこの場に集結せよ!!」
マサユキの号令を聞き、ホームズ、御神、ホムラがステージに集まる。3人は左右に小型カメラを着けた眼鏡を装着し、愛用のCADまで、点検し始めた。マサユキは、何かのリモコンを弄って、確認している。
それを見て、どこかに殴り込みにでも行くのかと思ったくろちゃんは近くにいたギルドメンバーのサガットに尋ねてみた。
「これからどこかに行くの?」
「え? あ、うん。これからギルド内で攻防戦が起きるよ。これは、ROSEにとっては一種のお約束とでもいうのかな? 」
そう言って、サガットはくろちゃんの耳元で詳細を話したら、目をキラキラに輝かせて、瞬発的な動きでステージに行き、マサユキに参加を表明した。
マサユキはニヤッと不敵な笑みを浮かべ、「来ると思ったよ…。」と呟き、歓迎した。ほかのメンバーも納得の表情で迎えた。
「では、これより、出動する。今回は、ホムラっちがこちらに回ってくれた。目標はミナっち、ちゃにゃん、RDC!! どんな手段でも構わない!! 今度こそ、目に物を拝むぞ!!」
「「「「おおおお~~~!!!」」」」
「では、参る!! 覗きし隊!!(略して覗き:N、し:S、隊:TのNST)ファイト~!!」
こうして、変態(このギルドではヘムタイと呼ぶ。)が集まった覗き集団が獲物を狙って、風呂場に向かっていった。なお、くろちゃんは、興奮で鼻血を出しながら、突き進む。マサユキも既にカメラを録画モードにして、鼻下伸ばしてターゲットに向かう。二人は生粋の変態(ヘムタイ)素質だったのだ。
その二人を見て、やっぱり同じにおいだったとギルド全員が自分たちの予感が当たった事に納得と若干の呆れが入り混じった目で見届けた。
★★★
一方、その頃。
『精霊の眼(エレメンタル・サイト)』でマサユキ達の動向を視ていたミナホはまたか…と湯船につかりながら、ため息を吐いた。今日のこっちの仲間はちゃにゃんとRDC。戦力としては対抗できるが、正直、今回は耐えられるかどうかわからない。いつもNSTを行動不能にしているが、覗きの執念が違うのか、マサユキだけはいつも最後の関門になってしまう。それを防ぐのにも苦労が絶えないのに、今回はくろちゃんまで参加するのだ。観察するあたりでも、二人の体質はまるで同じ。これまで連戦連勝してきたミナホもこれには呻き声を上げずにはいられなかった。
「…、二人とも、来たよ。 今回はパワーアップしているから、くれぐれも気を抜いてはだめだよ!!」
「返り討ちにしよう。」
「は、はい!! 純情乙女を守って見せます!!」
防水加工したCADを手に、3人は湯船から出て、防衛準備に入った。
再び、NSTサイド。
「今回は勝てそうな予感。ばっちり録画するぞ!」(●REC)ジ~~~~~~
壁に沿ってかに歩きをしながら進む中、ミナホ達が仕掛けた第一トラップフィールドに近づいてゆく。
こうして、何とも言えない変な意地の攻防戦が始まった。
…後篇に続く。
(●REC)最近よく見る代物だわ。