ここからいかに達也をアイドルとして輝かせるかが懸かっている…!うう……緊張するな~~!!
突然の電話から救いの手が差し伸べられ、舞い上がって喜ぶ金星社長と美晴。手を握り合って、ぐるぐる回っている様は、まるではしゃいでいる子供のようにも見える。
「社長!!おめでとうございます!………ところで、なにがあったんですか?」
美晴がそう言うのも当たり前である。電話が終わってすぐに金星と喜びの舞を踊っていたのだ。理由も聞かずに金星の『驚け!』という言葉に驚き、一緒に喜んでいたが、さすがに気になってきたため、タイミングを計って聞いてみたのだった。金星も美晴の言葉でようやく自分が説明もしていなかった事を思い出し、佇まいを正してから咳払いして気合を入れてから、美晴の顔を見て、話しだした。
「美晴ちゃん…、僕たちの努力が実を結んだよ…!
僕たちのこの芸能プロダクションに提携を申し出てくれた方が現れたんだ!そのための話し合いを今度の土曜日に行いたいと先程の電話で言われてね~!あ、もちろん即決だけどね!
ここで一気に挽回するチャンス!だから、美晴ちゃんにも悪いけど僕のサポートをしてもらいたいのだけど、いいかな?」
「はい!大丈夫ですよ。 願ってもいないチャンスですからっ!その土曜日………と言えば、四月二十八日ですね。良かった~!!何とか今月末までには何とかなりますね、社長!」
「ああ! これで僕たちが生き残れるよ!」
「……あ! どうしよう…! 社長…、今気づいたんですけど…。その……、提携を申し出てくれた方と話し合いするんですよね?」
「そうだよ、それがどうしたの?美晴ちゃん?」
「…って事は、その土曜日の話し合いでうちと提携するかどうかを決めるから、まだ正式にうちが助かったと言えるのでしょうか?」
「……………はっ!!」
美晴の指摘でその可能性に気づいていなかった金星が衝撃を受けた。
そうだ、提携をするかどうかも兼て話し合いをするのだ。もし自分達の対応が悪ければ、「この話はなかったことで…。」と断られる可能性もある。…というかその可能性が高い。
「そ、そこまでは考えてなかった…。な、なんとか提携を結んでくれるようにしないと…!」
「はい、頑張りましょう!!ではまずは……」
提携を結んでもらうために何をするべきか悩みができたと思ったら、美晴が突然着替えだし、エプロンや手袋を身に付けだす。
「ど、どうしたの?美晴ちゃん!?」
「はい、まずはこちらにそのお客様がいらっしゃるのでしたら、綺麗にしておこうと思って…。」
「ああ………、確かに…。」
美晴が箒を取りだしてごみを集めようと知るところを止め、話を聞いた金星は物凄く納得する。なんだって、この芸能事務所は………足の踏み場がないくらいに者が床に散乱していて、とても人が入れそうなレベルではない。今まで誰も訪れようとはしなかったため、この状態を放置していたが、さすがにこれはまずいと悟る。(そもそも一体どうすればこのような事態になるのか…。)
…という訳で、金星も袖を捲って、一緒に掃除を始め、自分達の救世主となってくれる人を歓迎するために事務所の大掃除を始めるのだった。
「土曜日まで数日だけだから、何としても間に合わせないと!」
「そうですね…。この際だから、床もワックスかけますか?社長?」
「そうだね、全部ピカピカにしちゃおう!」
二人だけで掃除しながら心は嬉しさに包まれていたが、美晴の純粋さと金星のドジさが合わさって、床が全てスケート場のようにツルツルとなり、立っている事すら困難な状態になるまでワックスをかける…。
(金星は箒を使って立ち上がり、足をガクガクしながら事務所内を歩くが、一歩踏み出すだけが精いっぱいですぐに転んでしまう。そのお蔭で顔面からの店頭を繰り返し、顔は腫れまくっていた。…ちなみに美晴は事務所内でもスケートができると喜び、スケート靴をどこから持ち込んだのか、それを履いて、優雅に室内を移動するのだった。)
そうして、ついに待ちに待った土曜日。
緊張の面持ちで訪れを待っていた救世主が姿を見せる…!
天然キャラのこの二人…。本当に大丈夫なのかな…?