魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

251 / 453
実験開始!! さぁ、神田達よ!度肝抜けてみろ~~!!


成功の雄叫びと黄色い声

 

 

 

 

 

 

 

 「実験を開始します。」

 

 

 拡声器でアナウンスする達也のしっかりとした大人な声が広がり、校庭に集まった生徒達の応援やお喋り、実験の考察等が止め、静まりかえる。

 そして一部の生徒達が失神しそうになったが、生徒と教師が固唾を呑んで見守る中、達也の合図で実験が始まった。そしてその合図でさえもやはり一部の生徒達がよろめきを見せるのであった。

 

 

 「ちょっとしっかりして…! 折角の司波先輩の実験が始まるのに!!」

 

 

 「だ、だって~…! あの、身体に響く様な大人びた達也先輩の声を聞いたら、もう腰が…!」

 

 

 「わ、私も~! もう眩暈が…、ヤバすぎる…!」

 

 

 「司波先輩ってあんな声だったんだ…。いつも遠くから御姿を拝見するだけだったから、初めて聞いてみてドキドキしたわ…!」

 

 

 「ああ~~!! なんで録音機器を持っていないのかしら~!! 司波先輩のお声を記録できたというのに~~!!」

 

 

 …と、拡声器でよく聞こえた達也の声に萌えて、よろめく一部の女子生徒達の声が小声で繰り出されていた。その中には、去年の新人戦で達也がCAD調整に関わった女子生徒達も含まれていた。

 

 

 そんな達也の声に酔いしれている女子生徒達にはお構いなしに(実験に集中していて目にはいらないとも言える)実験が続けられる中、次々に魔法が成功していく。

 球形水槽内に淡い光が生まれ、その光は明るさが増しながら一分、二分と輝き続ける。

 その輝きに見学している生徒や教師の間で無言のどよめきや目を大きく見開き、口が開きっぱなしになるという事態が駆け抜ける。……球形水槽の光がまるでダイヤのような輝きだと顔を真っ赤にしてうっとりと眺めている乙女たちもいたが。

 

 

 

 「実験終了」

 

 

 しかし、実験開始から三分後、達也の口から実験の終了が告げられた。重力制御魔法が維持されている限り容器が割れる事はないとはいえ、魔法による補強効果を除けば容器本体の耐圧性能はそろそろ限界に近づいていたのだ。球形水槽の限界を『精霊の眼』を通して知り、これ以上は無理だと判断したため、ストップをかけた。だが、眩い光が徐々に消えていく様が乙女にとっては儚く散っていく美しい花のように思えて、しょうがなかったのだった。それでも魔法を学ぶ生徒であるが故、私的な理由で実験の継続を願うものではないし、実験のデータも取れた。乙女な観点のフィルターを外し、実験結果が発表される瞬間を待つ事にしたのであった。

 

 

 そこに、分析機の前に陣取ったケントから甲高い声で簡易測定の結果が告げられた。それにより、見学の輪のあちこちに興奮を隠せぬざわめきが生じだした。

 

 労いの視線を深雪達に向けた後、達也があずさにマイクを手渡そうとする。それを、あずさが首を大きく振って押し返そうとする。実験を提案した達也こそが結果報告をするべきだと思うあずさと、生徒会長としてここは代表であずさにしてもらいたいと思う達也との静かな攻防戦が始まる。(これ以上自分の存在を記者達に探らせたくないという裏の考えも達也は持ち合わせていたが。)

 しかし、五十里がにこやかに笑って達也をサポートした事で、達也の方に軍配が上がり、あずさは泣きそうな顔でマイクを受け取った。何度も深呼吸し、マイクを口元へ持っていく。

 その仕草を息を忘れるくらいに結果を待っていた生徒や教師が「ついに…!」と唾を呑み込んで耳に全神経を注ぎ込む。

 

 そしてついにあずさはこの場に立ち会った全ての生徒や教師に向けて宣言する!

 

 

 

 

 「常駐型重力制御魔法を中核技術とする継続熱核融合実験は所期の目標を達成しました。『恒星炉』実験は成功です。」

 

 

 

 

 

 「「「「「「「「「「わああぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~!!!!!」」」」」」」」」」

 

 

 「「「「「「やった~~~~~!!!」」」」」」

 

 

 「さすがだぜ、成功させちまった!!」

 

 

 「これは快挙ですよ!! 」

 

 

 「凄い! みんな、お疲れ様~~!!」

 

 

 校庭で、校舎で、一斉に歓声が上がった。それは暴力的なまでに熱狂的な歓声で、『魔法』の可能性と未来を称える雄叫びにも聞こえた。

 

 

 「遣りました、やりましたわ! 司波先輩…、本当にすごいです!」

 

 

 「当たり前ですわ! だって、達也様ですから!!」

 

 

 「うんうん!! やっぱりここに入学してよかった…。達也様の凄さをこんなに間近で拝見できるなんて…。私…、感動で胸が一杯…。」

 

 

 「ちょっと何を泣いているのよ~。…って、私もだけど!! よかったね!無事成功したもんね!! 」

 

 

 「達也様の恒星炉実験が成功した事で、また”三大難問”の一つが解決すれば物凄い快挙だし、魔法師の未来も広がるに決まってるわ!」

 

 

 「その時は絶対に達也様の御力になれるように、私ももっと勉強するわ!!」

 

 

 「あ、ずるい! 私も!! 絶対に負けないんだから!!」

 

 

 …等といった、達也の恒星炉実験が成功した事で、更に達也の魅力に磨きがかかり、女子生徒達から黄色い声が上がったのだった。

 

 

 




実験に私的な考えは危険だよ~。でも、そう思うのも分かる!
そしてますます達也は学校内で人気になる。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。