魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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やっぱり達也の誕生日プレゼントの所とかは外せないのね!?
でも、ほのかも深雪も原作で描かれているし、うち的には違う人をターゲットにしてみるよ!!

前からもしや…?とは思っていたんだよね~~!!


張り切る雫

 

 

 

 

 

 

 

 最終リハーサルも順調に終わり、あずさと五十里が後始末と戸締りを引き受けてくれたので、達也は深雪、ほのか、水波、泉美、香澄を連れて歩く状態で生徒会室へと移動した。

 

 

 「お帰り。」

 

 

 出迎えてくれたのは、留守番を頼まれて今まで務めを果たしていた雫だった。本当は、巡回を名目に最終リハーサルの見学もしてみたいとも思っていたが、自分が様子を見に行く事で乱れて怪我をしてしまったらまずいと思ってもいた。(特にほのかが心配で)それを察したかどうかは分からないが、達也に自分達が空けている間何が報告が来るかもしれないからと、留守番を頼まれた時は内心ほっとしたのは事実だ。責任感は人並み以上の雫は、これでようやく踏ん切りがつき、達也たちを見送った。

 

 無事にリハーサルが成功した事を雰囲気で理解した雫は、労いの言葉を掛けてくる深雪に「気にしないで」と首を振り、異常がなかったことを伝えて、親友に顔を向けた。

 

 

 「ほのか、あれは?」

 

 

 雫に言葉少ない問いかけをされたにも拘らず、途端に「うっ………」と怯んだ表情を見せるほのか。やはり長年親友だっただけに、すぐに何の話なのか理解している。ほのかが魅せたこの表情に、雫は「やれやれ」と呆れ顔になる。

 

 

 (ほのかのために、プレゼントも一緒に選んだ親友として、ここは後押しするのが一番。)

 

 

 いまだに渡す勇気が持てずにいるほのかを力づくで達也の正面へと連れて行き、向かい合わせた後、ほのかのバッグを見つけて綺麗にラッピングされた小箱を取りだし、ほのかの手に握らせる。そして、背中を押してもっと接近させ、心の中でエールを送る。こうでもしないと、ほのかは緊張のあまり、用意したプレゼントも渡せずに帰りそうで、結局落ち込むほのかを慰める事になる…、と想像できる。それならここで覚悟を決めさせて、渡した方がすっきりするし、自分としても慰めるより「よくやった」と褒める事が出来る。

 

 ほのかはそんな雫のアシストを受け、ついに自分に覚悟を決めさせ、初々しいイベントを繰り出す。

 

 

 「あの、達也さん!」

 

 

 「今日、達也さんの御誕生日ですよね!」

 

 

 ギュッと目を瞑って小箱を両手で差し出し、達也が答える間もなく、ほのかの言葉が続く。息づきしているのかも疑わしい早口になっている。

 

 

 「つまらないものですが一所懸命に選びました! どうか受け取ってください!」

 

 

 「もちろん受け取らせてもらうよ。」

 

 

 生徒会室で様々な緊張の色が窺い見れる雰囲気の中、無事にほのかは誕生日プレゼントを渡せて、脱力しそうになる。

 

 

 (よく頑張った、ほのか。

 

 

  …………次は私の番。)

 

 

 雫も意を決し、ほのかの隣に進み出た。

 

 

 「達也さん、今度の日曜日、空いてる?」

 

 

 「時間は?」

 

 

 突然の話の振りに、達也も戸惑いを覚えたが、会話が滞りなく成立するほど、一瞬に事態を収拾した。

 そんな達也の対応に雫は、若干の嬉しさを感じつつ、話を続ける。

 

 

 「夕方。六時頃」

 

 

 「…………大丈夫だ。」

 

 

 頭の中でスケジュール帳を開く達也。

 

 日曜日はFLT開発第三課で完全思考操作型CADの開発会議が予定されているが、その時間帯なら十分戻ってこられる。本部ならともかく開発第三課なら、予定外に長引いて拘束される事もない。

 (本部での会議となると、研究者や役員達が腹いせでどうでもいい事まで質問攻めしてきたり、それなら本部で開発を進めるべきだと要求してきたりするからだ。その分、開発第三課だと本部から派遣されてくるため、報告やら他の仕事への動きも組み込んだスケジュールをこなさないといけない。限られた時間での会議となるため、余計な話し合いを擦ればそれだけ本部のメンツに関わってくるので、踏み込んでこないのである。)

 

 だが、雫に予定を聞かれてスケジュールを確認した事で、達也は意識からはじき出していた予定を思い出してしまう。

 

 

 (確か土曜日は…………、ハァ~…、”憂鬱になる”というのは、この事かもしれないな…。)

 

 

 なぜか前日の土曜日の予定を思い出し、早くも日を通り越してほしいと願ってしまうほど、憂鬱感を感じる達也だった。

 

 

 「ちょっと遅めだけど家で達也さんの誕生日パーティーを開きたい。良いかな?」

 

 

 しかし、それも一瞬の事で、雫の言葉の意味をすぐに理解し、返答するのだった。

 

 

 「良いとも。ありがたくお邪魔させてもらうよ。」

 

 

 何を考えていたのかを見せない素振りで頷く。達也も土曜日はともかく、日曜日に自分の誕生日を祝ってくれるという好意は嬉しいものだし、気晴らしになると思った。そして、それが楽しみになったのだろうか。雫へ頷きを見せる時、無表情ではなく、優しい笑みを浮かべていた。

 

 

 (やった…! 達也さん、家に来てくれる。

  そうと決まれば、張り切って準備しないと…!

  達也さんとまた一緒にいれる。)

 

 

 頷きを返す雫は、無表情に見えるが、口元がほんの少しだけ綻んでいる。

 

 達也が誕生日パーティーに来てくれるだけでなく、雫の家に来てくれるのが嬉しいのだ。

 ほのかが達也を溺愛しているのは、友人たちの間では周知の事実。雫も応援している。でも、心のどこかでは、雫も達也と距離を縮めて、もっと一緒にいたいと思っていた。

 その気持ちに気づいているかは本人は気付いているかは分からないが、拒絶しなかった大人な達也に少しだけ素直になったのは、言うまでもない。

 

 

 だけど、達也と一緒にいたいという気持ちと同時に親友の気持ちも尊重したい気持ちもある。そして自分のまだ隠れた好意を無意識に抑えるためか、すかさず深雪と水波に声を掛けた。

 

 

 「深雪と、水波ちゃんも。」

 

 

 「ええ、大丈夫よ。」

 

 

 「御邪魔させていただきます。」

 

 

 いつも通りの態度で答えた深雪と水波に雫は頷き、日曜日に向けて達也の誕生日パーティーを華々しくお祝いしようと熱意を持つ雫だった。

 

 

 




雫もただの尊敬の好意だけではないと思うんだよね!!やっぱり気づいていないだけで達也の事が好きなんじゃないかと!!
それか、既に気づいているけど、ほのかが達也にご執心なので、なかなか言えずにいて、応援しているのどっちかだね。
…みんなはどっちだと思う?

今回は前者の方に焦点を合わせてみたけど、後者もいいよね~!…誕生日パーティーでやってみるか?

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