真夜の手によって、アイドルとしてデビューしてしまった達也は、ネット配信直後から視聴者数がうなぎ上りするほど、まだデビュー一日にもなっていないにも拘らず、女性中心で人気を勝ち取っていた。
朝には、芸能ニュースで検索ワードランキングに名を連ね、達也についてのコメントが止む事がなかった。しかし、どんなにコメントや連絡をしてもコンタクトは取れず、ただテレビ局やラジオ局にいつの間にか映像が届いているという現象が起きていた。どうやって入手したのかを確認しようにも、誰も答えられる人はいなく、戸惑いを見せるが、間違いなく今使うべきネタだとは理解していたので、惜しみなく流し始めた。
こうして、昼ごろになるとその影響が人々に浸透してきたのか、人々の間ですっかりと話題となってしまっていた。
「ねぇねぇ!! このMV、見た~~!!?」
「あああ~~~!!それ知ってる!! うんうん、見た~~!!」
「今日アップされた謎のアイドルMVだよね!!?」
「そうそう!! もう私、これを見た瞬間、この人のファンになっちゃった!!」
「私も!!」
「ああ~~~!!私も! 学校に来る時にも何回も見てね!!ほら、早速曲をダウンロードしちゃった!!」
「それ私もしたわ!! 音楽ダウンロードアプリにも登録されていて、今だけこのアイドルの生ボイスが付属としてついてくるんだよね!!」
「えええええ~~~~!!! そうなの!!? 私も、欲しい!! どうやったらもらえる!!?」
「えっとね~~…、こうして…、登録して…、専用のフォルダで保存……っと。はい!これで聞けるはず…。」
「………………はあぁぁ~~~♥ 耳元で囁かれている感じで、背筋が~~!!」
「分かる!! もう立っているのもできなくなるくらい、萌えさせてくれるのよ~~!!」
「声もいいし、歌詞もいいし、顔も…よし! こんな人が芸能人って言われると納得するね!」
「でも、今日デビューって説明書きにあるわよ? こんな人、もっと前から注目受けててもいいのにね。」
「本当だね! どんな人だろう?」
「アイドル名以外は全て非公開だって~~。謎に包まれたアイドル…。」
「でも、私それでもいい!!ミステリアスな部分も彼の魅力だと思うもの!!」
「「彼?」」
「あ、いえ、その~~…。」
「もしかして一目ぼれ?」
「そ、そんな訳じゃ!!」
「そうなの?じゃ、私彼にアタックしちゃおう♥」
「ええええ~~!!」
「抜け駆け禁止!!みんなで愛するのがアイドルを応援する基本でしょ?」
「でも、彼とお近づきになりたいとは思わない?」
「…それは思う!!」
「なら、決まりね!!ほら! ここにファンクラブ会員登録があるから、一緒に会員になって、応援しましょう!!」
「ええ!!」
「もちろん!!」
「……よし!!これで私達もファンになったし、一歩夢に近づいたんじゃない!?」
「ファンになれば、特典も色々あるって書いてあるし、生で逢えるかもしれないね!!」
「あああ~~♥ 早く逢いたいね~~!!」
「ね~~!!」
「そうだね~~………一体どこにいるのかしら~~♥
RYU(リュウ)様~~♥」
………こんな乙女な会話が全国で繰り広げられ、若い女性中心に更に存在が広まっていき、瞬く間の人気を得ていく。そしてたった一日でファン会員数がなんと5万人という、ドームでのコンサートが行えるファン数を獲得していたのだった。
……そんな事になっているとは、当の本人の達也は全く知らず、いつも通りに学校に通い、明日の議員視察を控え、放課後に最終リハーサルを行い、順調に終了し、己が夢の第一歩を冷静に見つめ、集中していた。
女子の会話って大体こんな感じだった気がする。
共通のアイドルの話のときは、テンションMAXだから。
では、実験の方はささっと終わらせて…、色んな人の反応を見ていきましょう!!でも、達也の誕生日だから、荒れるかもしれないけど!!(汗)