魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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 破天荒で、自由気ままなギルド”ROSE”


 それが、うちらだぜ!!


ようこそ、ROSEへ!!

 

 

 

 

 城下町の中心街から歩いて30分後、

 人通りから外れ、野原が広がる場所にポツンと建物が一軒建っていた。

 煉瓦造りの3階建てで、建物の周りを赤や白の薔薇が咲き誇った草の茂みで囲っていた。そして、その入り口には金属製で作られたアーチがあり、その中央には”ROSE~薔薇の妖精~”と書かれていた。

 

 それを一行は潜り抜け、暁彰は抱えていたマサユキを落とし、玄関のドアを開ける。

 

 「ただいま。 仕事終わらせてきた。」

 

 

 「おお!! お帰り!! 待ってたよ!……マサユキは相変わらずだね。」

 

 

 暁彰がマサユキを縛るロープを引っ張りながら引き摺る様をみて、ギルドにいたメンバー皆が仕方ないって顔と暖かな目で見つめる。

 

 暁彰はくろちゃんの縄を解き、寛いでいるように言って、マサユキを引き摺って奥に向かっていった。ようやく自由になったくろちゃんは縛られていた箇所を摩りながら、ギルドの中を見回した。

 

 オープンな広さに多数の円状のテーブルがいくつも置かれ、そこには何グループか飲み物を飲みながら、団らんしている。そして、左側には大きなモニターがあり、各地のニュースや依頼書、娯楽番組等が映し出されている。そして、右側にはカウンターバーがあり、奥にはモニターよりさらに大きなステージがあった。ステージの両脇には2階へと続く階段がある。

 

 ギルド内をまじまじと観察していたくろちゃんとちゃにゃんはふと声をかけられた。

 

 

 「ん? 君達、さっき暁彰たちと入ってきた子達でしょ? どうした?

  もしかして、ギルドに入る新入り?」

 

 

 「あ、はい、一応検討しているところです。」

 

 

 「私も。」

 

 

「え? そうなの? うちで決めればいいのに。 他のギルドよりもうちらの方が絶対何倍も楽しく過ごせるよ!」

 

 

 くろちゃんとちゃにゃんの応答を聞き、さっきまで、モニターで依頼書を見つめていた女性が話に入ってきた。

 

 

 それを機に、ギルド内にいたメンバーが集まりだした。

 

 

 「まぁ、二人の思うことだってあるさ。 ああ、申し遅れてたね。私は、ホームズ。このギルドの総司令長を務めている。 何かギルドの事で分からないことがあれば、教えてあげるよ。」

 

 

 一番にくろちゃん達に話しかけた探偵衣装を身に着けたほんわかな女性が話した。そして、次に声をかけてきた元気はつらつとして話しする女性が続いた。

 

 

 「私はミナホ。 一応、このギルドのイベント企画実行委員長という役職を持っていま~す。 イベントの際はぜひ参加してね!!」

 

 

 ミナホが話し終えると、寄ってきたギルドメンバーが次々に自己紹介をする。そして、最後に

 

 

 「私が、このギルドの前衛隊長を受け持っている、御神です。主に、攻撃系の魔法が得意だから、特訓とかなら付き合うよ。 よろしく。」

 

 

 宝石が付いた緑の三角帽に、チェック柄の入った足首まで伸びたワンピースを着た女性が、にこやかに笑いながら、自己紹介してくれたところで、奥から人がやってきた。

 

 

 「はいはい。みんな~。注目!! これから重大発表します!!ステージに目線固定!!」

 

 

 ステージで鼻高になる男性をみんな、何が始まる事やらと見つめた。

 

 

 「今度は何~!! まさやん!!」

 

 

 「「えええええぇぇ~~~~!!」」

 

 

 くろちゃんとちゃにゃんは驚いた。目の前の人は男性だ。イケメンだし、体格だって男らしく腹筋が割れているしで、どう見てもくろちゃん達が知るさっきまでの女性とは全然違う。

 

 怒声を浴び、いたずらが成功したマサユキは笑いながら謝る。

 

 

 「ごめん、ごめん。私って本当は男なんだよね~。ミナっちが作った魔法薬で性別変換させてよく仕事しているからさ~。仕事中はそのことは言えないしで、黙ってたんだけど…。普通は驚くよね!」

 

 

 「まさやんの場合は、女体化して、擦り寄ってくる男共の滑稽な哀れもない姿を拝んでみたいからってだけでしょ? 薬を作るうちは大変だよ…。」

 

 

 「そ、そんなことはないから! 仕事で男が絡むときしか使っていないから!!」

 

 

 「そういえば、まさやん。カジノの入り口に正座でしかも縛られていなかったっけ?相変わらず、派手な事をしてますね~。」

 

 

 含み笑いをしながら、御神はいう。

 

 

 「そうそう。今はその話でもちきりだよ!! ”ROSEリーダー、またもトラブってる!?”ってモニターで帝国中にモニター配信されてたよ。」

 

 

 「まぁ、いつもの事だよね! 私たちは、それをいつものようにモニターで観戦してたよ~!!」

 

 

 そういうやり取りでギルド内からドッと歓声が沸く。

 

 

 「ごほん。この話を横に置くとして…、その際に出会ったくろちゃんとちゃにゃんの歓迎を行おうと思います!! では…、みんな~!! 飲んで、食べて、盛り上がれ~!!」

 

 

 「「「「「「「「「おおおおおお~~~~~!!!!」」」」」」」」」

 

 

 その雄叫びが歓迎会の始まりの鐘の如く、どこからか現れた食事とパーティーグッズで盛大に二人を祝った。くろちゃんとちゃにゃんは心の内で、このギルドなら自分らしく過ごせそうとギルド入りを決めたのだった。

 

 

 夜遅くまで続いたこの歓迎会のあとの早朝、ギルドの帝国情報が詰まった新聞が届けられる。朝になれば、モニターにでも見られるだろう。その朝、帝国中に広まる事件が一面を飾っていた。

 

 

 





 まさやん、大丈夫。

 かっこいいリーダーだよ!!

 みんな、愛してますよ、リーダーを!!

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