魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

233 / 453
カオスな雰囲気になりませんように!!



有志の協力者集め その参

 

 

 

 

 

 

 羞恥に耽っている美月をこれ以上見つめるのも悪い気がしたので、視線を逸らした達也と十三束は、なんだかんだで逸れてしまった実験の話に戻す。

 

 

 「それでどんな実験を考えているのかな?司波君は。」

 

 

 「ああ、これがその実験の内容だ。見てみるか?」

 

 

 「もちろん見させてもらうよ!」

 

 

 ウキウキ感が隠しきれていない十三束は、電子ペーパーを達也から受け取り、深呼吸を数回して、視線を落とす。そんなに緊張して読むものなのか?と達也は思ったが、教室中が一気に沈黙し、十三束の読む電子ペーパーに釘付けになっているのを感じ取った達也は口にはしなかった。

 

 そしてやっと顔をあげた十三束の顔は唇が引き攣って、笑みを作ろうとして失敗した(要は変顔だ)顔をした。そして、いきなり自分の頬を抓り、痛みを実感したような態度を取る。

 

 

 「痛い…。…って事は、これは夢じゃない? ぼ、僕はとんでもないものを目の当たりにしているのか…?」

 

 

 抓った頬を擦って、再び電子ペーパーに視線を落とす。そしてやっぱり現実だと思考が正常に働きかけてきたところで、十三束も前のめりになって目をキラキラさせてきた。達也は「もうこの体勢にならないといけないほどの衝撃なのか?」と美月やエリカに続いて、十三束まで前のめりになる現状に本格的に頭痛を感じ始めてきた。

 

 

 「司波君…!やっぱり君は凄いよ…!これだと僕たち魔法師の未来も明るくなるところか、激震な進歩の懸け橋になるよ!!

  それで…、司波君が良ければなんだけど、僕もぜひ協力させてくれないかな?」

 

 

 小柄な体に目をキラキラさせて拝むように手を合わせて頼み込んでくる十三束に達也は苦笑いしそうになるのを必死に堪える。そして、返答する。

 

 

 「十三束なら、喜んで歓迎するよ。寧ろ短い時間だから、ハードなスケジュールになるのは申し訳ないが、それでもいいなら協力してくれないか?」

 

 

 「そんなの、この実験が成功すれば、関係ない!嬉しいよ!ありがとう!!」

 

 

 達也から嬉しい言葉をもらって、歓喜に満ちる十三束は、組手の後に勝利者を称えるように、握手を求めてきた。達也もそんなに悪い感じはしなかったため、握手に応じる。

 

 

 「はぁ~…、良いですね…!」

 

 

 達也と十三束の握手を見て、ようやく羞恥心から克服して現実に戻ってきた美月が正面から羨ましそうに呟いた。

 達也は、握手がそんなに羨ましがることなのか分からなかったが、クラスメイト達も一緒になって、何度も頷くのを見て、口を閉ざす事に決めた。

 

 そして羨ましそうに見つめられているもう一人である、十三束はその理由に気づき、ニコッと美月に微笑むと、達也との握手を止めて、美月に話しかける。

 

 

 「柴田さんも司波君と握手してみたら? 同じ協力者だし、ここは結束を高めておいたらやる気も上がるかもしれないよ?」

 

 

 前者の方は美月に語り、後者は達也に語った。

 

 

 美月は驚き、無理ですと小さく手を振っているが、嫌がっているようには到底見えないし、断りきれていない。達也の方はというと、握手する事でやる気が上がるというのも思えなくないが、自分には理解しがたい感情面が関わる事なので、もう苦笑するしかない。しかし、握手自体嫌という訳ではない。それで、美月が頑張れるなら、達也にしても嬉しい誤算なのだから。

 

 

 「…美月、よろしく頼む。」

 

 

 達也が美月に手を差し伸ばし、握手を求める。その手を見て、美月ももそもそしていたが、覚悟を決め、達也の手を握りしめる。

 

 

 「こ、こちらこそ精一杯達也さんの御力に添えるように頑張りますっ!」

 

 

 握手していない手で胸を当てて、感動をしみじみと感じながら、心の中で達也に言った言葉を裏切らないように身体に刻み込んだ。

 

 

 こうして、美月と十三束が恒星炉実験の有志の協力者となってくれた。

 

 

 美月と十三束は実験に携えるという事で、満面の笑顔が止まらない。昨日のあずさと五十里がまさにしていた笑顔と同じく夢見心地気分を感じ、使命感に駆られる。

 

 

 それを窓から傍観していたエリカは頬を膨らませて、思い切り拗ねていた、のは乙女心が反応したか…?

 

 だって、膨らんだ頬には、若干赤く染まっていたから。

 

 

 

 

 

 




達也にとっては、理解しがたい感情面が多かったかな?でも二人捕まえたね!!これ書いていて楽しいのは、女子キャラの内なる乙女を解放させてあげられる事だね!!
次は、エリカの番かな?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。