魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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再び原作に戻りますよ。
やはり、達也とこの子の絡みは必要ですよね!? 




乙女な心

 

 

 

 

 「ああ~~…! どうしましょう!? 何で話すればいいかしら!?ああ…!!その前に………」

 

 

 私室でうろうろしながら、乙女のような表情(実際に乙女である)を見せながら、何やら悩んでいる。悩みに悩んでいる少女は、黒羽亜夜子。四葉の諜報を担う分家筋に生まれた魔法師だ。

 その彼女は諜報任務に赴き、仕事を成し遂げる際は、緊張感を持った冷静な表情と行動をするのに、今日はいつもより一段と気合が入っている。夕食を終え、席を立ち、私室に向かう時もご機嫌がいいのか、鼻歌を歌っていたほどだ。

 そんな姉の姿に一緒に暮らしている文弥は、やれやれと姉の想いを呆れつつも、陰ながら応援する。

 

 文弥が温かい眼差しで見送られた亜夜子は、悩み過ぎて今度は怖いくらいに真剣な表情である一点を見ている。

 

 何で悩んでいるのかというと…。

 

 

 「う~~~ん…、どの服を着ればいいかしら…。達也様の好まれる女性はは女性らしくお淑やかだけど、時には強い意思を持って、挑戦的な言動を見せる人…。なら、深雪お姉さまみたいな服がいいのかしら…。

  ううん、ダメよ!! それをしてしまったら、深雪お姉さまに達也様を譲ってあげたも同然!!ここは私らしくビシッと決めて、で、で、電話の時に冷静でありながら、達也様にアタックすればいいのよ!!」

 

 

 下着のままで、ベッドの上に綺麗に並べた自分の服を凝視し、どれを着るか迷っていたのだ。理由は、これから達也に電話でこの前訪問した時の話の詳細を伝えるためだ。

 

 これはあくまで任務の一環であり、報告するだけなのだが、亜夜子は電話するだけでも達也の顔が見れるのが嬉しくて仕方なかった。何より、報告するのは、亜夜子だけ。文弥がいれば、もう少し自重し、この前と同じく猫かぶりしていただろうが、文弥が学校の課題がまだ残っていたため、それを済ませるように言って、達也へ報告する権利を勝ち取った。

 しかし、気楽でいれるのはありがたいが、逆に「今がアピールチャンスでは!?」という思考が頭に浮かび、このようにはしゃいで、悩んでいたという訳だった。

 

 

 そして、結局服は、ふわりと広がったクラシカルスカートと、フリルが襟と胸にあり、大きなリボンがついたブラウスを着てみた。

 電話の際は、上半身だけだからスカートの方までは見れないが、亜夜子は頭の上から足先まで気を配り、身なりを整えた。これで外に出掛けても問題ないし、年頃の異性に呼び止められる事もできるだろう。

 髪も丁寧に梳き、いつもとは違い、リボンで髪をポニーテールにする。そして露わになったうなじや首元に軽く香水をする。アロマ効果のある花の香水をセレクトした亜夜子は、更に目力が強すぎない程度に抑え、ナチュラルなメイクをする。

 

 

 「…よし!! これで準備は出来ましたわ!! 顔はよし、服装もよし、…達也様だけに送る笑顔もよし!

  達也様が好まれるポイントを入れこんだわよ! これで達也様も私に気を持ってくれたら………!!キャ~~~~~~~!!!」

 

 

 達也にお姫様抱っこされて、優しく微笑みかけられるという甘いシチュエーションが脳裏に浮かび、夢心地を味わった亜夜子は、鏡を見て、チークがいらないほど自分の頬が真っ赤になっている事に気づき、慌てて深呼吸する。

 

 

 「落ち着いて、亜夜子…。これからは達也様に電話するけど、あくまで任務の一環よ…。絶対に羽を伸ばし過ぎたらいけない…。

  達也様に粗相のない女性だと思われてもいいの…?」

 

 

 (嫌~~~~~!!! そんなの、私が耐えられない!!)

 

 

 「……決まりね。では、行くわよ…。」

 

 

 

 深呼吸して、気持ちを落ち着かせた亜夜子は、私室のモニターに向かい、葉山さんから教えてもらっていた達也専用の電話回線に繋いだ。

 

 

 達也への想いを内に秘め、達也が出るのを待つ。

 

 

 しかし、回線に繋いで、10秒も経たない内に回線が繋ぎ、モニターに達也が映った。

 

 

 

 「やぁ、亜夜子ちゃん。…待ってたよ。」

 

 

 

 微笑を浮かべて現れた達也を目の前にし、亜夜子は早くも自分の決意と格闘する事となった…。

 

 

 

 

 

 




亜夜子~~~!! 乙女だね♪
そして、達也~~!! そんな…♥「待ってた」って!!

勘違いしていいのね!!? 

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