魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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今は原作に沿って、付則や裏側をお届けしているけど、これはキャラ崩壊?に陥っているのかな?


恋敵(ライバル)意識起動!

 

 

 

 

 

 

 「達也さん、御無沙汰しております。本日は前もってお約束をいただきもせず、このような時間に非礼なる訪問、どうかお許しください。」

 

 

 「そんな事を気にする必要は無い。再従兄弟とはいえ親戚同士、しかも俺達はお互い高校生だ。同じ高校生の親戚を訪ねるのに、いちいち約束を取り付ける必要は無いよ。」

 

 

 達也なら、気にしないだろうと分かっていても、こうしてしっかりと言って、昔のように優しく労ってくれる言葉に亜夜子は胸が温かくなる感覚を感じた。

 そのため……

 

 

 「ご寛恕、ありがとうございます。……文弥さん、何をしているの? あなたも早く達也さんにご挨拶なさい。」

 

 

 それを隠すために、気持ちの発散として双子の弟である文弥に矛先が向く。何とも人を食った言い種だ。だが基本的に真面目な質である文弥は、自分がまだ尊敬する再従兄弟に挨拶していないのは事実であると…、自分に非がある事を理解している上、それを無視できない。

 

 

 「文弥も座れ。 そう堅くなられては話ができない。」

 

 

 納得できない気持ちで立ち尽くしていた文弥に、達也が笑いながらそう言った。文弥としては救いの言葉を頂いた面持ちだった。達也に座るように促され、文弥も何とか落ち着きを取り戻したのか(達也の観点からである。実際は憧れの達也の言葉に逆らうつもりもないので、有難さを噛み締めていただけだ)、言われたとおり亜夜子の隣に腰を下ろした。

 

 

 「達也兄さん、お久し振りです。」

 

 

 文弥が簡単に頭を下げる。三か月ぶりに会う尊敬する再従兄弟を前に緊張して動きがぎこちないだけだ。更に内心は、もっとちゃんと礼儀したかったのに~~!!と緊張でうまく姉のように一礼できなかった事と、再会の感動との葛藤が沸き起こっていた。

 

 しかし、ちょうどそのタイミングで、深雪と水波が同時にリビングへ入ってきた。深雪は手ぶらで、水波はお茶を四つ、御盆に乗せて。

 そのお蔭で、達也との再会の内なる喜びを一旦リセットする事に成功した二人だった。

 

 

 「亜夜子さん、文弥君、いらっしゃい。」

 

 

 いつも通り達也に見せるために来ている家の中限定で風通しの良い(良過ぎるくらいだが)格好をしていた深雪は、急な客を迎え外用の服に着替えていたのである。

 

 

 「深雪お姉さま、御邪魔しております。」

 

 

 深雪が現れ、達也の隣にスカートを綺麗にさばいて腰かける様子を見て、いつも達也の隣に座る事に慣れているという仕草に、亜夜子はムッとした。もちろん、表情には出していない。しかし、兄妹だからと言って、達也にブラコンぶりを発揮する深雪を…、その前からも気に食わなかった亜夜子。

 自分が達也の事が好きなんだと実感した時、既に達也の心の中は深雪で一杯だった。

 それを知った時は、まるで失恋したかのような錯覚が襲った。でも、達也と深雪が実の兄妹だと理解しているから、自分が達也の嫁になる可能性は消えていない。だけど、深雪が達也を兄としてよりも異性として見ている事を感じ取っていた。だから、同じ人に恋している年の近くて、完璧少女である深雪に負けたくない!

 絶対に達也さんを私に振り向かせてみせるのだから!!

 

 

 …そんな思いで、亜夜子は深雪に負けじと、わざわざ立ち上がって丁寧に一礼した。

 

 スカートがふわりと広がったクラシカルなワンピースが彼女の動作に会わせてゴージャスに翻る。姉の見せた対抗意識(文弥はそう思っている)に文弥は「頭が痛い」という顔で首を振る。

 

 (ちなみに今日の文弥の服装は普通に男物でカツラもつけていない)

 

 久しぶりに視た二人の仕草に達也は微笑ましげな目で見ていた。

 

 

 相変わらず変わらない態度に安堵したのかもしれない。しかし、恋沙汰には鈍感すぎる達也には、自分を巡って火花が軽く散った事に気づく事はなかった。

 

 

 

 

 




亜夜子の心境を少し掘り下げてみましたよ。自分なりに。


深雪はライバル意識を向けられているとは分かっていても、それが恋敵であるとは思っていないんだよね。だって、達也は実の兄だから、そんな物にはなれないと頭では分かっているから。


……達也のアイドルストーリーが終わったら、亜夜子視点のストーリーをやろう!!ずっとやりたかった亜夜子と達也との出会い!!

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