魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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 今日は雨だな~。


 雨の時は必ずあれに遭遇する。


 しかも必ず一回は!!


 あれとは一体?  という方は、小説の後で!!


亡者VS連携攻撃

 

 

 

 

 

 

 

「おりゃ~~~!!! よくも!!よくも、私の髪をこんなにしてくれたわね~!!許すまじ~!!」

 

 

 鎧の亡者に突進しながら振動・収束・移動系魔法『バーナー』を亡者にめがけて発動した。可燃性のガスに火をつけて飛ばす魔法だから、鉄製の鎧を装備しているため、効果は抜群だと命中した時、くろちゃんは思った。

 

 

 「お、お、お、お、おおおおおおぉぉぉぉ~~~~~!!!!!」

 

 

しかし、鎧の亡者はダメージどころか鎧に傷一つもついていなかった。

空気が震えるほどの雄叫びを上げ、斧を振り下ろす。だがくろちゃんは驚いた。斧はくろちゃんではなく、亡者の前にじっと立っている少女に向かって振り下ろされていく。

 

 

 「あっ、危ない!! 避けて!!」

 

 

くろちゃんはとっさに大声で、叫んだ。しかし、少女は一歩も動かないうちに、斧がまっすぐに地面に振り下ろされた。その衝撃で、地面が割れ、爆風がくろちゃんを襲う。くろちゃんは何とか凌ぎながら、少女の安否を確認しようとした。ただ、頭の中では先ほどの光景が焼き付き、否応でも少女の哀れもない姿を想像してしまう。

 

 

 くろちゃんは唇がかみしめ、無力感を感じた。まだ、顔も名前も知らないけど、もし、『バーナー』の魔法よりも強力な攻撃魔法を使っていたら…、斧が振り下ろされる前に倒していたら…、こんな結果にならなかったのではないか?助けられたのではないか?

 そう思ってしまう。

 

 

 「くっ…。 これじゃ、立派な魔法師になんてなれない。」

 

 

 悔しさを噛み締めていたくろちゃん。そんなくろちゃんの肩をチョンチョンっと後ろからつつく者がいた。先程の思いを抱えながら、なんだ?と思い、振り返るとほっぺに指がぷくっとささった。その顔が面白かったのか、いたずら?を仕掛けた相手はふふふと笑い声を漏らした。

 

 そこにはさっき亡者の斧の餌食になった少女と同じ服装をした年はくろちゃんと同じ少女が立っていた。

 

 

 「驚いた? 私、光波振動系魔法『幻影投影』で光の屈折で作ったダミー像と入れ替わったの。さっきやられたのはそのダミー。」

 

 

 そう答えられて、もう一度さっきまで少女がいた場所へ目を向けると、確かに、想像していた悲惨な結果にはなっていなかった。

 

 

 

 「よかった~。 大丈夫? けがはしてない?」

 

 

 「うん。大丈夫。それよりもこっちも助けてくれてありがとう!

  いきなり現れたかと思ったら、襲いかかってきたから、防御魔法や幻惑魔法で攻撃を躱しつつあったけど、さすがに躱しきれなくなった時、あなたが来てくれたから命拾いしちゃった!」

 

 

 そして共闘する事になった二人は、今までの戦闘で得た情報を素早く交換し合っていた。今も『幻影投影』でダミーを相手に亡者を振り回しているけど、いつまでも続くものではないからだ。

 

 ここで、分かったのは、普通の打撃技や魔法は効果が見れないという事。くろちゃんたちよりもはるかに巨大な身体つきだから、こっちから近接戦闘してもあっさり負ける…。ここは遠距離魔法で大ダメージを与えるような強力な魔法を繰り出すしかない。ただ、意外に見た目と反して、動きに無駄がないというか、素早いのだ。それを何とかすれば…。

 

 

 「あっ、それなら私に考えがある。動きは私が封じるわ!あなたは最後の一撃に集中して!」

 

 

 「わかった。お互いくれぐれも気を付けよう!」

 

 

 そして行動を開始した。くろちゃんは徐々に鎧の亡者に近づき、魔法をかけやすい場所まで『幻影投影』で誘き出す彼女の背中を見ながら、誰かがいるってこんなにも心強く感じるものなんだな~っと実感していた。実は、さっきのブルームの戦闘の疲労もまだあるし、魔法力も後もう少しで切れるとこだった。だから、ラストの一撃だけに集中できるのはありがたかったのだ。

 

 

 彼女は『幻影投影』で誘き出した後、『蟻地獄』を発動した。

 

 

『蟻地獄』

…地中の土を下方へと押し固めることで地表に穴を掘ることなく、地中に空洞を作り、足を乗せることで陥没する落とし穴を作る魔法。

 

 

 

 それによって、見事に亡者は落とし穴に片足をすっぽりと埋まってしまい、身動きが取れなくなった。

 

 

 「「 チャンス!! 」」

 

 

そこに尽かさず、くろちゃんが『スモークボール』の要領で、大量の土石を圧迫凝固した大型鉄球並みの大きさの土石を『ロックプレス』と単一の加重系統魔法とのマルチキャストで亡者の頭上に落下させた。

 

 亡者にかかった圧力はおよそ100万トン。

 

 原形を留めることはないレベルだ。

 

 

 

 二人での連携攻撃が功をなし、二人はハイタッチして、勝利を分かち合った。

 

 

 「やったね!」

 

 

 「上手くいったね!」

 

 

 お互いで褒め合い、強敵の撃破に現を抜かしていた。

 

 

 その油断が突然のピンチへとつながった。

 

 

 あのとてつもない攻撃を受けたはずの亡者が土石を押し上げ、這い上がってきたのだ。

 

 

 先ほどの攻撃は確かに当たっていた。亡者の鎧は完全に潰れており、使い物にはならないにも拘らず、その眼光だけは獲物を捕獲したような怪しい赤い閃光をしていた。地面を這いずりながら近づいてくる動きや姿がまるでゾンビのよう。

 

 

 さすがにくろちゃんたちもあまりの恐ろしさに、声も出ず、腰を抜かし、その場に座り込んでしまった。

 

 

 そしてそんなくろちゃん達に近づく赤黒い人型をした亡者は顔をがくがく震えながら、着々と二人へと接近していった。

 

 

 

 くろちゃん達、絶体絶命!!

 

 

 

 





 猛スピードの車やトラックが水溜りをはね、私をびしょ濡れにするのだ。


 前回は5回。



 今日は左右1回ずつのずぶ濡れです…。

 訴えようかな…。 「ずぶ濡れ罪」で!!

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