魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

209 / 453
原作の合間を塗って…、って思っているのに、日付の感覚が相変わらず短い!!
何とか目を盗んで…。
…なんか怪しい動きをする人みたいになっているような?


七宝の行動の裏

 

 

 

 

 

 「はぁ~…、本当に言った通りの展開になるとはな。しかもこんなに早い段階でくるときた。」

 

 

 「やはり、七草家と七宝家との確執は深いのでしょうか?」

 

 

 「いや、それというよりは、七宝が一方的に目の敵にしているんじゃないか?香澄の方は、売られた喧嘩を買っただけだ。自分の方から喧嘩を……なくはないか。」

 

 

 「?」

 

 

 七宝琢磨と七草香澄とのいがみ合いが勃発したその日の夜。

 

 

 帰宅し、服を着替え、ラフになった達也と深雪は、今日の出来事について、話をしていた。途中、達也が言葉を濁したが、達也が気にも留めていないような顔ぶりを見せたため、深雪は聞く事を止めた。

 言葉を濁した際、不意に入学式の日、真由美と戯れているとなぜか誤解され、膝蹴りを喰らわせると見せかけた寸止め攻撃を香澄に仕掛けられた時の事を思い出したからだ。あの時は、ピクシーにセキュリティ操作をさせ、魔法感知システムから記憶を取り除く事で、穏便に終わらせた。しかし、その事を今ここで話すと、深雪が「詳しくお話ししていただけますか?」と、機嫌を害してしまう予感がしたため、言葉を濁す結果となった。

 それに、今問題なのはそこではない。あくまで今日の騒動についてだ。

 話さないに越したことはない。

 

 そのため、その時の記憶を棚上げし、深雪の頭を撫でながら、話を続ける。

 

 

 「今回は穏便に事態を収拾したが、次はおそらく相応が納得する処置をしなければ、関係が激化するだろう。…まぁ、今回は深雪の言葉ですぐに鎮静化できた。よくやったな、深雪。」

 

 

 「いえ、お兄様の御手をお借りしてしまいましたし、褒められるようなことは…。」

 

 

 深雪にしては謙遜している台詞だが、表情は達也に褒められて嬉しさが隠しきれていない。頬を赤らめ、余韻に浸っていた深雪は、達也に視線を向きなおし、さっきまでとは違った表情を引き締める。

 

 

 「お兄様、生徒会室でもそうでしたが、七宝君のあの敵愾心は、危険な気がします…。上手くは言えませんが、火に油をかけている状況…とは少し違う気がして…。」

 

 

 うまく説明できないが、七宝の言動に何かが引っかかる深雪は、達也にどう答えればいいか分からず、俯く。しかし、達也も深雪の言おうとしている事は、十分に理解しているし、達也自身も思っていた事だ。

 

 確かに七宝自身、七草家に対して強い敵愾心を持っている。七宝家当主自身はどう思っているか分からないが、七草家をよく思っていないのは、これまでの態度を見れば明らかだ。しかし、七草家の令嬢である香澄に喧嘩を売るのは分かるが、生徒会室で達也に無礼な態度を振る舞った(深雪がそう思っている)のは、引っかかる。

 四葉の縁者だと見抜かれている…というのは、可能性が低いと思うが、意識の片隅には入れておいた。

 しかし、それだと琢磨が黙っている訳がない。口外はしないが、七草家を陥れるために、四葉の事を知った気で話を持ち掛けてくる。

 今の十師族は四葉家と七草家が他の十師族より突出した存在だ。その四葉と手を組めば、七草家より七宝家が十師族に相応しいことが証明できる…!

 そう、琢磨なら考えるだろう。

 

 その四葉の縁者である達也達に親の仇…とまではいかないまでも睨む必要はない。

 

 なら、達也達の秘密を琢磨はまだ知らない。だったら、なぜあのような態度を取ったのか?

 

 

 「……もしかすると、”火に油をかけられている”のかもしれないな…。」

 

 

 「何者かが七宝君に接触しているという事ですか?」

 

 

 「あくまで可能性だ。そこまで断定する材料はない。だが、考えられる。」

 

 

 「いったいどこの誰が…!」

 

 

 深雪は憤ると同時に、千秋の事も考えた。逆恨みから敵のスパイになった千秋が達也に牙をむいた事を。

 

 固く握りしめられた深雪の手に達也の手が重なる。

 

 

 「深雪、落ち着け。水波が凍る。」

 

 

 「え? も、申し訳ありません。」

 

 

 また無意識に魔法を発動させていた事に気づき、深呼吸して魔を鎮静化する。

 傍に控えていた水波は突然話に組み込まれて驚いたが、達也の言っている事は事実だったので、複雑な心境が渦巻くが、胸の内に留めた。

 

 

 「大丈夫だ、深雪。もしそうだとしても、まだ取り返しがつく段階だ。深雪が気に病む事はない。」

 

 

 「……はい、お兄様。」

 

 

 「さぁ、夕食の準備が済んだようだし、冷めないうちに食べようか。」

 

 

 優しい声色で語りかけ、水波に任せていた夕食が並べられたテーブルに座り、三人で夕食を共にする。

 

 それからは、達也の命令で夕食を水波に任せていた深雪は、今度は後片付けで水波と張り合って、キッチンが賑やかになっている声や物音をBGMとして聞きながら、達也はため息を吐き出す。

 

 

 もちろん、少女たちの家事の取り合いに対してではなく、先程話していた七宝の事だ。

 

 

 

 (もし、七宝が何者かに七草家に対する敵愾心を更に煽られ、誘導されているのならば…、また面倒事になるのは必須…か。

 

  厄介事に巻き込まれるのは避ける必要がある以上、こっちに火種が飛んでくるようなら………、その時対処すればいい。

 

 

  …………これ以上、迷惑事が俺や深雪に降りかからなければいいが。)

 

 

 

 これから先厄介な事になる予感がする。それがなぜか頭痛の原因になりそうだと思いながら、今は放置する事に決め、深雪が淹れてくれた珈琲を片手に今日も地下室で研究を行うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、同じ時刻に七草家では女優の小和村真紀が七草家を訪れ、七草家当主、七草弘一と密談していた。

 その後、弘一は九島閣下との電話で、第一高校に反魔法師主義者のマスコミを送り込む手筈を伝え、黙認させたのだった…。

 

 

 

 

 

 七宝の事とは、また違った厄介事が達也達に向かっている事を知るのは、この次の日の夜に司波家を訪れた者達の口によって、告げられる。

 

 

 




また厄介事になると分かっているけど、まだ放置する達也。
でも達也は分かっているんだろうね~、すぐに行動に起こすべきではないと。

それに達也は色々やらないといけない事があるから!たとえばアイドル訓練とか~!!ふふふ!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。