魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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原作を片手に見ながら、辻褄が合うように~…。




新歓週間突入!!

 

 

 

 

 

 

 

 新入生総代に生徒会入りを断られるという思いがけないアクシデントはあったが、他に大きな騒ぎもなく(深雪の”氷の女王化”がなりかける騒動があったが)、第一高校は新入部員勧誘週間に入った。

 (「今年は平和ですね……」という始まって早々呟かれたあずさのほんわかした台詞に、二年生役員揃って聞こえなかったふりをしていた)

 

 しかし例年、大なり小なり(この場合「小なり」は必要ないかもしれない)トラブルが発生している新入部員勧誘週間が平和なままで終わるはずがない。

 授業が終わり、放課後の新歓週間に入ると、早速”活気ある”という賑やかなムードはどこに行ったのやら、壮絶な部員の奪い合いが繰り広げられそうになっていた。

 

 去年、風紀委員に抜擢され、当然の仕事をこなしただけなのに、上級生に妬まれ、新歓週間の間、見回りの際に魔法攻撃を放たれる目に遭遇した達也にとって、あまり好感を持てずにいた。

 

 

 (幹比古…、上手く立ち回っているといいんだが。)

 

 

 だからか、自分の後釜として風紀委員に入った幹比古をなんとなく思い出し、心の中で呟くと、興味が尽き、すぐに生徒会の仕事に専念し始めた。

 去年は自分と同じく二科生だった幹比古が、『魔工科』の新設で不足した一科生の補充としてめでたく今年、一科生になった。しかしその事で快く思っていない連中に狙われるんじゃないかと意識が向いたのがきっかけだった。

 しかしよくよく考えても、新入生がそんな事知る訳もないし、以前と比べても幹比古は自信がついてきたと自負していたのだから、深く考えるまでもないという考えに落ち着いたのもある。

 

 

 しかし、仕事に専念すると言っても、ただ部活連本部にて深雪と待機するだけだ。勧誘活動のトラブルが発生した場合、即座に実力行使込みで対応するためである。

 

 この部屋には、部活連の治安部隊である執行部のメンバーも控えている。だが、二年生を含めて、達也とあまり接点のない生徒ばかりだった。顔と名前は知っている、程度だ。

 そんな相手と話をする…という話題も持ち合わせていないし、話すつもりもない。達也は仕方なしにお気に入りの書籍を開き、読書し始めた。

 

 深雪はというと、達也の隣で満足そうに微笑んでいたが、一緒に控えている執行部のメンバーの中には、深雪とクラスメイトもいたりしたため、話しかけられ、応対している内に深雪と話したい上級生も割って入ってきて、一気に団欒のムードに入った。

 

 

 深雪も作り笑いを浮かべて、相手の話を聞いたり、頷いたりと応対しているのを横目で確認し、達也はもし何か深雪に問題があればすぐに介入できるように、会話にも意識を向けながら、書籍を読んでいく。

 

 

 部活連本部が外の新歓週間で燃え上がる部員勧誘とは対照的なのほほんな空気に包まれる。

 そしてそのまま、今日の新歓週間は終わり、部活連の見回り報告を纏めて、生徒会室に戻り、あずさに報告する達也と深雪。

 

 

 「……以上が今日の新歓の報告です、会長。」

 

 

 「はい、ご苦労様です! 司波君、深雪さん。 部活連本部はどうでしたか?」

 

 

 「……穏やかそのものですよ。」

 

 

 「ええ、お兄様の言うとおり、何も問題はありませんでした。」

 

 

 「そうですか? ……なら、今度行ってみようかな?」

 

 

 「会長は部活連には行った事がないのですか?」

 

 

 「はふぅん!」

 

 

 まさか独り言が効かれていたとは思わなかったあずさは、達也の問いかけに動揺し、しどろもどろになる。その様子を内心、小動物のようだと思い、笑いを堪えつつ、梓の言葉を待つ。…と言っても結果は予想できている。

 

 

 「だ、だって~…、怖いじゃないですか! 部活連本部って!!」

 

 

 「はぁ~…、やはりそう言う理由でしたか。」

 

 

 生徒会室と直通階段がある風紀委員会本部にも怖さのあまりに顔を出すどころか近寄らないあずさだ。同じ理由で部活連には行かず、代わりに達也と深雪を応援に行かせたのは、言うまでもない。

 

 

 「そう言えば、部活連本部には見た事がない代物がたくさんありましたね、とても一般では見る事がない物が…。あれを見た時は、言葉を失いました。」

 

 

 「は、はうぅ~!! や、やっぱり部活連には行きません!!」

 

 

 涙目になりそうなあずさが報告書を受け取り、てきぱきと裁いていきながら、話を打ちきりにし、顔を背ける。

 その姿を見て、本心からの笑みを浮かべる深雪。

 

 

 どうやら、執行部のメンバーとの会話で相当ストレスがたまっていたようだ…。

 

 

 それを一瞬で理解した達也は、あずさを使って、発散した妹を叱る訳もなく、一緒に微笑を浮かべて、帰路に着くのだった。

 

 

 




最後にあずさが弄られる。達也もだけど、深雪もSだね。

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