魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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人気者って、オーラが違うよね。


空気が違う領域

 

 

 

 

 

 それはそうと、新入生たちは声を掛ける事よりも、二人きりで食べるのかと危惧し、盗み見で、様子を見続ける。

 

 

 「あ、達也君!! 深雪~~!! こっち、こっち!!」

 

 

 すると、今時珍しく赤い髪を後ろでポニーテールした美少女が大きく手を振って、二人を招いた。

 その美少女以外にも、テーブルには、眼鏡をした巨乳のおっとりした少女に、ギリシャの像みたいに彫りのある顔をした青年、清楚な和風が似合う男子生徒も座って、二人を待っていた。

 

 

魔法科高校に入学するだけあって、美男美女が数多くいる。その中であのメンツは、高水準の域に達している。

 

 しかし、新入生にとっては、特に一科生にとっては目を疑わずにはいられなかった。注目するグループの中には、エンブレムがない…雑草(ウィード)が、一科生や今年設立された魔工科の生徒と同じテーブルを囲んでいた。

 

 なぜレベルの差があり、自分よりも劣っている者と食事をするのか。

 

 新入生の一科生達は、そんなグループの中に、あの生徒会副会長と親しげな男子生徒が席を共にすること自体間違っていると、憤りを募らせ、睨むように見続けた。

 

 

 「ああ、待たせたな。もう食べてもよかったんだが。」

 

 

 「ええ~~? 達也君、酷い!! アタシ、待ってたんだけど!」

 

 

 「俺たちもさっき授業終わってきたばっかりだし、問題ないぜ?」

 

 

 「あ、達也さん、深雪さん。生徒会のお仕事はよろしいのですか?」

 

 

 「心配してくれてありがとう、美月。ええ、今日はほのかと雫が生徒会室に待機してくれるから、問題ないわ。」

 

 

 「……ほのか、本当はこっちに来たかったんじゃない~?」

 

 

 ニヤニヤと微笑むエリカに、達也が口を開こうとしたが、一歩遅く、深雪が答える。

 

 

 「そうね、でもこれは当番で決まったことだから、たとえ昼食を一緒に食べたいといってお兄様を引き留めるのはどうかしら?」

 

 

 「……達也君が絡むと相変わらずね、深雪。」

 

 

 興味がすり落ちたような表情をしたエリカの隣に深雪が座り、深雪の正面に達也が座る。エリカの隣には、美月が座っており、達也の隣には、レオ、幹比古と続いていた。

 

 傍から見ると、合コンのセッティングに見えても仕方ないだろう。

 

 しかし合コン特有の緊張感は一切なく、気さくに話し合いながら、学食を食べていく。ただし達也だけは深雪が作った愛妻[?]弁当を食べている。

 

 

 「それにしても、進級してから一緒に食べるのが今日で初めてなんてな。去年はいつも一緒に食べていたのによ。」

 

 

 「何言ってるんだか。まだ授業が始まって三日しか経っていないってのにしんみりなっているのよ!」

 

 

 「はぁ!? なんでお前がそう偉そうに言うんだよ!」

 

 

 「あら~、気に障った? 何処に?”しんみり”?」

 

 

 「誰がしんみりしてるって~?」

 

 

 正面で座りあっているためか、どんどん身を乗り出しながら、いつものけんか腰な物言いがエリカとレオの間で繰り広げられる。美月も幹比古も二人の喧嘩にこのままにしておいていいのかと思うものの、もうこの光景に慣れてきたからか、仲裁に入るのもお手の物になっていた。

 ただし、幹比古はエリカにターゲット変更され、からかわれるが。

 

 それを止めに入らず、黙々と食べ続ける達也と微笑を浮かべる深雪。

 

 深雪は、進級や転科でそれぞれ分かれても、相変わらずの賑やかが続いていることに嬉しさを感じていた。

 

 

 

 

 

 しかし、授業が始まっても、一緒に食べていなかったのは、もちろん理由がある。

 

 達也と深雪、ほのかが生徒会役員になったことで、新入生の歓迎デモンストレーションでの下準備や運行状況の確認、万が一のトラブル対応をするため、昼休みは生徒会室で待機していたのだ。

 そして昨日は、主席の七宝琢磨を生徒会への勧誘ができなかったため、次席である七草泉美、僅差の成績だった七草香澄の双子を呼んで、勧誘していた。

 まぁ、その結果は、深雪に尊敬を通り越した信仰心を持つ泉美が生徒会入りしたのだった。

 

 だから今日は、あらかじめ当番制にしていた生徒会控え番?ではない達也と深雪が食堂に来た……という訳だ。

 

 

 

 「いよいよ新入生新歓期間だな~! 今年の一年はどんな奴がいるか、楽しみだぜ!」

 

 

 「そうだね、今年は優秀な生徒達が入学しているようだし、今年も荒れそうだ。」

 

 

 「ミキ~、『今年は』じゃなくて、『今年も』でしょ? 私たちを嘗めているのかしらね~?」

 

 

 「そんなことないだろ!? それに僕の名は幹比古だ!」

 

 

 「ふ、二人とも落ち着こうよ!」

 

 

 「確かに今年も優秀な生徒が入ってきている。だが、気を抜くなよ、幹比古。

  毎年だが、乱闘騒ぎが絶えないようだし、取り締まる側としては大変だが。」

 

 

 「大丈夫だよ、達也。僕も実力はついてきたと思っているし、君の代わりに風紀委員に入ったラッキーな男じゃないってことを証明してみせるよ。」

 

 

 「…そこまで意気込まなくてもいいんだがな。」

 

 

 「おお、その意気だぜ、幹比古! 手に付けられなくなったら、俺を呼べよな!?

  救援しに行くぜ!」

 

 

 「……お前まで取り押さえる事しかならないぞ?」

 

 

 早速拳を両手で突き合わせ、やる気マックスのレオを幹比古と達也が苦笑しながら、そうならないように願うのだった。

 

 

 

 

 

 

 そんな会話を遠くから聞いていた新入生たちは、彼らが(特にレオが)実力あると聞き、驚きと訝しみを覚える。

 

 

 

 昼食を食べ終わった後も、ワイワイと話し続ける彼らの空気はどこかほかの席より違う領域を作り出し、新入生たちは深雪に声をかけることなく、勢いにのまれてしまったのであった。

 

 

 

 

 そして、新入生新歓期間が突入するのだった。

 

 

 




やべ…、うち何を書いているのか、わからなく…。

やっぱり風邪の時は、チカチカする電気類を見るのは、だめだな…。

…でも、毎日更新を止めたくない!! ここに来て、葛藤が~~!!

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