時系列は達也達が2年生に進級した4月から九校戦が終わる8月までの期間をやっていこうと思います!!
その間に達也に何があったのか…!!
様々な波乱の予感
西暦二〇九六年四月八日、国立魔法大学付属第一高校入学式当日。
達也、深雪、水波の三人は、入学式開式の二時間前に登校していた。こんな時間に登校したのは、言うまでもなく、入学式の準備のためだ。
深雪は生徒会役員だし、達也も今年から風紀委員から生徒会副会長に就任した。もっとも、この人事異動は達也の意思を反映したものではなく、風紀委員長の花音と生徒会長の梓が勝手に交わした密約(本人が知っている時点で密約とは言えないが)を順守した結果だ。
本心としては、これ以上目立つような事はしたくないが、こうなってしまっては仕方がないと半分諦めを見せる達也であった。
不本意ではあるが、深雪が生徒会で共にいられるという事に嬉しそうにしているため、深雪が喜ぶならと、達也もそれほど悪くないかもしれないと思い始め、生徒会役員としての今日の仕事も誠実にこなしていくのだった。
★★★
入学式もちょっとしたアクシデントがあったが、無事に事なきを終え、ほのかたちと達也達の行きつけの喫茶店「アイネブリーゼ」でコーヒー片手の雑談をした後、達也、深雪、水波は真っ直ぐに帰宅した。
帰宅して、各々部屋着に着替えるために、自室に入る。達也は、今年度の新入生は予想通りややこしくなりそうだと制服のブレザーを脱ぎながら、ため息を吐くのだった。
入学式の前に迷っていた隅守ケントはほのかの男性生徒版だと感じるほど、対応に少々持て余していた。子犬のように熱心に見つめてくる視線は、尊敬と憧れ、好意が入り混じっていた。
今までは、恐怖や畏怖、嫌悪といった敵対心丸出しの視線が多く振り注いでいた。だから、好意的な視線をどう処理するかはいまだに少し困惑する。
しかし、これはほんの小さな悩みだ。
問題は、七宝琢磨、七草香澄・泉美の双子の方だ。
七宝家と七草家は仲が悪い。…というより、当主同士ではそこまで互いに敵愾心を表してはいない。しかし、琢磨は七宝家が十師族になれないのは七草家の所為だと思い込んでいるため、自棄に対抗心を燃やしている。
七草家に手を貸すような者にも敵意を見せる。
現に、小和村真紀の嘘も見抜けずに、達也と深雪には初対面のはずなのにぶしつけな態度の挨拶を取り、深雪を「氷雪の女王」にさせたほどだ。
その気の強さで、あの双子に喧嘩でも吹っかけるものなら、恐らくは…、いや必然的に香澄の方が売られた喧嘩は買うと、引き受けるだろう。
師補十八家と十師族の家柄の喧嘩を止めに入るとしたら、生徒会になるだろうし、その中で仲介に入るとしたら……。
そう考えると、厄介事を引き起こさないで欲しいとは思っても、少しでも騒ぎを起こしてくれた方が兄妹と水波の関係や四葉とのつながりを調べられる心配もない。
理屈の上なら正しいが、それを止める者が自分かもしれないと思うだけで、頭痛を感じてくる。
数日前にも、深雪と水波とのティータイムの時に、この話題が出たが、今日の入学式で実際にあった印象から真実味が出てきた。
もう一度ため息し、ものの数秒の考え事も消し去り、部屋着に着替え、リビングに向かう。
深雪がいつもコーヒーを淹れてくれるからだ。
深雪のコーヒーは美味しいから、今日の疲れを癒そうかと、リビングのドアを開ける。
すると同時に、既にリビングにいた深雪と水波が一斉に達也の方へ顔を向ける。
「お兄様…。」
困った表情と兄のご機嫌を伺い見る表情をする深雪と電話回線が保留のままになった近くで控えている水波を見て、なんとなく達也は察した。
達也は、深雪の頭を優しく撫でて、微笑みながら、深雪を安心させる。
「大丈夫だ、深雪。 そんなに心配しなくてもいい。」
「……はい、お兄様。」
二人の甘い空間に慣れていない水波は、居心地が悪そうな顔を一瞬垣間見せるが、すぐにメイドとしての仕事を戻る。
達也と深雪がモニターの前に立ち、視線で水波に電話を繋げるように告げる。
一礼して、水波は保留していた電話回線を繋げる。
モニターに回線がつながり、一瞬波打ってから、電話をかけてきた相手の姿が映しだされる。
「こんばんは。ご機嫌はいかがかしら?深雪さん、達也さん。」
「はい、頗る良好ですわ。お気遣いいただきありがとうございます。」
深雪は丁寧に腰を曲げて、一礼する。
「いいのよ、深雪さん。ただの挨拶ですもの。それに、深雪さんが良好なのは、疑っていなくてよ?」
「ええ、仰られる通りです。 私には、常にお兄様の守護がありますので。」
「そうね。達也さんが深雪さんの体調変化に気付かないなんてことはないですものね。」
「はい…。」
「本当に仲がいいのね、あなた達。…達也さんも御機嫌よう。」
深雪の斜め後ろでずっと控えていた達也に今気づいたような視線と口ぶりで達也に話しかけてきた。達也はそれを、一言も応答する事なく、一礼する。
『あら、達也さん、冷たいのね…。』
「前振りは結構ですので、本題に入りましょう。何か用事があってご連絡されたのでしょう? …叔母上。」
しかし今回は素直に答える達也。
無表情で話す達也を見て、叔母上と呼ばれた女性…、四葉家現当主である四葉真夜は楽しそうに真紅の唇を吊り上げ、笑みを浮かべるのだった。
お疲れ様でした!! 達也様!!
今回からは、原作本を見ながら、投稿するというハードなテクニックを駆使するという厳しい訓練を成し遂げてやったぜ!!
学校生活だけでなく、私生活でも波乱の予感が~~!!
達也様!! 頑張って~~!!