盛り上がるファッションコンテストが行われる中、次に現れたのは進行役も兼ねているミナっちだった。しかし、若干花見とは無縁そうなものを身に付けていたが…。
お題に沿って選んだミナっちのコスはというと、頭に桜をモチーフにした和風の髪飾りに、花柄がふんだんに入ったピンクのミニスカート、白いタイツを履き、青いジャケットを着ていた。これだけなら春感も感じられるのだが、ある物が背中に背負われていて、気迫を発していた。それは……猟銃だった。
なぜそんな物を装備しているのか…。それは本人の口から知る事が出来た。
「また!桜を見ると見せかけて双眼鏡でごまさんの身体をアップで見るとは!
やはり今日もヘムタイ達の駆除が必要のようだ!
タララーーン♪[必殺仕事人のテーマ曲)
……まともな花見ぐらいさせろ!!」
目を見開いて、背中の猟銃をくるっと回転させ、構えたミナっちが獲物として捕らえた視線の先には、ギョッとした顔であたふたしているくろちゃんとホームズがいた。
「な、何のことですかな~。 我々は何もしていないけど~?」
「そうだ! 私達はまだヘムタイ行動に出ていない!」
「まだ? …って事はこれからする気満々という事だよね?」
「「ギクッ!!!」」
「ふっ、イケメンに化けても無理があるな…! ヘムタイ力は滲み出るものなり!」
「さすがくろちゃん! かっこいいぜ!!」
「人の話聞けよっ! ってそれより、これを見よ!」
そう言ってミナっちが取りだしたのは大量の隠しカメラだった。(既に破壊されていて、原形がギリギリ留まっているのがキセキなくらいだ!)
「これ…、至る所にあったんだよね~。 しかも多くがごまさんの方に集中してたし。」
「え!?」
「可愛いごまさんをヘムタイ心で傷つけようなんて…、許さん!」
「ちょっと待って~~!!」
「まだ天国に行くには心残りが~!!」
「●REC(〇_〇)…」
ショックを受けるごまさんを背中に庇って、銃の引き金を引こうとするミナっち。本気のミナっちを目にし、二人は嘆いて、助けを求める。(ホームズは反省していないのか、未だに隠し持っている盗撮カメラで録画しているけど。)まだ潜んでいる仲間に…。しかし、この窮地を助けたのは、意外な人物だった。
「まぁまぁ、ミナっち落ち着こうにゃ。」
「あれ? ちゃにゃっち!」
そう、ヘムタイを憎むハンター…、ヘムタイスレイヤーのちゃにゃんがミナっちを止めたのだった。
「私はまだコンテストに出ていないにゃ。それを待ってからでも遅くはないにゃ。」
「…そうだね! 今日は花見だし、楽しまないとね!」
「ふむふむ。 桜満開ですね~。チラチラ桜が落ちて綺麗ですね。皆でワイワイとしますか。(?? REC駄目よ。笑)」
カジュアルな服装に、花冠を頭に被ったちゃにゃっちは笑顔を浮かべて花見をする事を提案する。しかし、ヘムタイの二人にとっては、「いい加減にしろにゃ。徹底的にカメラは没収する!」…という本音が聞こえた気がした。
「ふっ…逃げろ~~!!!」
ちゃにゃっちに恐怖を感じたホームズは回れ右をして、逃げていく。それに続いてくろちゃんも。慌ててミナっちも追いかける。
「ヘムタイ抹殺隊!!隊長の命令にゃ! ヘムタイ達を狩りに行く!!行動を開始するにゃ!」
「「「いえっさ――――!!!」」」
ちゃにゃっちがHMT隊長権限を使って、他のヘムタイスレイヤー達に号令をかけ、一旦は沈静化したと思っていたヘムタイ駆除活動が開始するのであった。
しかし、既に皆は酒を飲んでいたり、食べているためか、動きが鈍くなっており、傍から見ると、完全に鬼ごっこ状態になっていた。
そんな賑やか?になっているROSEの花見を陰からこっそりと除く人物がいた。
[茎]_―)
新しくメンバーに入った009さん。大きな花を作り、その茎の陰に隠れている彼女の姿は、なんと蜂のコスで、鎖骨や腕、お腹が見えまくりの衣装だった。彼女もコンテストに参加しようと着替えていたのだ。そして鬼ごっこを始めたROSEの面々を見ながら、こう思っていた。
(〇〇〇蜂のHムタイさんは花見客を無言で突っつきたいのだ (プニョプニョ))
……こうして新たなヘムタイとして009さんはヘムタイ団の一員となったのであった。
ヘムタイ達が次々と捉えられ、制裁を受けるのを桜の木に隠れながら拝んでいたホームズ。既に同胞のくろちゃんは捕まって、土の中に埋められ、頭だけがちょきっと出ていた。そこに「おおきくな~れ~」と言いながら如雨露で水を掛けられ、シャンプーされているのが視界に入る。
決して捕まるまいと決心したホームズの肩を何者かが叩く。慌てて、飛び上がったホームズが振り返ると、そこには知り合いがいた。
「ああ~…。なんだ、レスちゃんじゃないか~! 驚かせないでくれよ~。マジビビった!!」
「申し訳ありません! ホームズ様! 御姿を拝見したため、お声かけてしまいました!」
警魔隊の隊長であるレストレード隊長は、尊敬するホームズに敬礼する。
「うん、そうだね。でも今は構わないでほしいな。今、おいらの命が危ないんだ。何としても逃げ切らない……ガシャン………と?」
ガシャン……
何か鍵がかかる音が聞こえて、自分の手を見るホームズ。そこには両手共に手錠がかけられていた。
「……これは一体何のマネなんだ?レスちゃん。」
「申し訳ありません! 実はちゃにゃんさんからホームズ様を見つけたら、ご褒美にホームズ様を連行してもいいと呼ばれてきたのです! 」
「…そんな無責任な! 仮にも帝都を護る警魔隊が何もしてない奴の手に手錠かけるか!」
「それはちゃにゃんさんから妙案が。
『酔っ払いの保護も立派な職務ですから。 それに、ホームズは盗撮してますから立派な犯罪者だから手錠かけても問題ないにゃ!』
…と言ってましたので、まったく問題ありません!」
嬉々として語ったレストレードは、手錠に結んでいたロープを掴み、そのまま犬の散歩のようにホームズを引っ張る。
「ちょ、こんなの、聞いてない~~~~~!!!!!」
ホームズの雄叫びが桜の花びらが舞う風に乗って響くのであった。
ちなみにファッションコンテストの方は、あの後観戦していたみんなやヘムタイ騒動に繰り出していたメンバーも含めて投票した結果、なんとホームズが優勝したのであった。
その結果をホームズは警魔隊の駐屯所で牢に入れられたまま、知る事になる。
「ありがとう!みんな~!! でも、おいらはこんな花見は望んでなかった~!」
「そんな事を言わずに!ホームズ様!どうぞ私めに中ってください!!」
尻を突き上げ、四つん這いになっているレストレードの尻にホームズの蹴りが炸裂し、レストレードの喘声が牢屋に響く。そしてホームズの愛用鞭がどこからともなく取りだし、解放される翌日の朝までSMプレイをしながら酒を飲む…という一風変わった(変わりすぎだろ!)花見をするのであった。
そして花見が終わった後、みんなで花見の写真を見ながら談笑するROSEのメンバー。
「あ、そう言えば、この時の花見の時、ヘムタイ達が騒いでいたけど、剣崎っちはいなかったね。」
「出ちゃった…… アッ
ぅずぅずしてたけど見て見ぬフリしてたのに…」
同じくヘムタイ三竦みに数えられる剣先兵庫が服を脱ぐと、その下にはヘムタイ衣装としか言いようがないコスで頬を染めてポーズを取る。
網タイツに、紫色のブラ、大きめのサングラス。
完全に露出度高めの危険なコスだった…。
「「「おおおおおおおお~~~~~~!!!(♥ ▽ ♥)」」」
早速ヘムタイ魂に反応し、雄叫び上げるヘムタイ達は秒殺で撃沈された…。
皆は花見だからと言って、飲み過ぎて羽を外し過ぎないようにね。…ヘムタイになってしまうから!
―――――終。
完結した~~!! 明日からはまた本編に戻りますけどね!
新たにヘムタイが生まれてしまったので、これからROSEは更に賑やかになる事でしょう!