季節は春―――――。
やっと暖かくなってきて、待ちに待った桜が満開…したかと思ったら、一日待たずして雨が連日降るこの頃。その結果、花見を心から楽しみにしていた人にとっては、鬱憤が溜まる一方であったのは、言うまでもない。
それから雨が降り続いて一週間…。ようやく青空が広がり、花見ができるようになったため、今日は仕事を先送りにして、彼らが花見をするために桜が咲き乱れる庭園にやってきた。
「いや~!! よかった~! このまま桜が散ってしまって花見せずに今年は終わるのかと思って、冷や冷やした~。」
「本当だよね~。 花見をしてこそ、春が来た~!って感じるもんね。」
「こっちは別の事で冷や冷やしたよ。 花見絶対遂行派の方が毎日窓の外をブツブツ言いながら眺めていたからね。あれは…、ストレス発散で何をしでかすか分からなかったな~。」
「ああ…、あれは…ね~。 ま! それも無事に晴れた事で収まった訳だし、良かったじゃん! さぁ! 今日は待ちに待った花見なんだし、パァ~~と飲もう!!」
「そうだね~。乾杯!!」
「おい~~っす!!」
折角の花見だからと、気持ちを一身に切り替え、大量に作ってきたご飯やデザートを勢いよく食べ始め、飲みまくって、笑い合う。
しかし、その傍らではその様子を待ってましたと言わんばかりの笑みを浮かべて何やら画策する者達が……。
「よし…、みんな盛り上がり始めたみたいだね。」
「フム。これからは俺達の出番だぜ…!」
「久しぶりに我らのモットーを掲げる事ができるんだから、気合は入れとかなくちゃ!」
「新しいメンバーも入ってきた事だし、歓迎しないとね!」
「……そうそう、あわよくば私達の仲間に入れこむんだ~。」
「では…、行動を開始する!!」
「「「おおお~~~~。」」」(小声)
ひそひそと作戦会議をし、それぞれ散っていく。
…こうして、またもや暴れまくるROSEの花見が始まる。
「ええ~、みんな~! 今日はみんな集まっての花見だし、新しくメンバーになった人も多いから、久しぶりにチムイベします!」
「おお~~!! 待ってました!!」
「ナイスにゃ!」
マイクを持って進行役をするのは、チムイベ企画実行委員長のミナっち。ROSEはあの事件以来有名になったので、加入者が増えていた。そのため新しく加入した仲間を歓迎するのと同時に、しばらく多忙で行っていなかったチムイベを復活させ、親睦を深めようと考え、提案したのだった。ミナっちのこの提案には、チムイベ好きのとわっちとちゃにゃっちが歓声をあげて楽しみにしていた。
「それでは、復活記念としてファッションコンテストを開催します! お題は、『ROSEの花見』です!」
「ファッションコンテスト…、ですか? それっていったいどうすればいいんですか?」
「ふふふ…、教えてあげるね♪」
新しくメンバーになった内の一人、009さんにくろちゃんが今回のチムイベの説明をしてあげる。ミナっちも補足説明して、もう一度みんなにも聞こえるように答える。みんな納得したのを確認すると、ミナっちは合図としてホラ貝を取りだす。
「は~~い! 皆準備は出来たかな? では、ROSEチムイベ恒例のファッションコンテスト! エントリー開始!!」
ミナっちが大きく息を吸い込み、ホラ貝を吹く。渋く大きな音が響き渡る。そしてそれを合図に桜の花びらが風に乗って飛び交う。
ミナっちも司会進行役と兼ねてエントリーするために急いで着替えに行く。
観戦志望のメンバーは応援したり、酒をベロベロになるまで飲んだくれていた。その一方、参加しないヘムタイ達は隠しカメラを事細かく配置し、どこからでもエロい体の部位を撮れるようにセッティングしていた。なお、ヘムタイスレイヤーのちゃにゃっちやミナっちはエントリーするコスを選んでいて、この場にはいない。完全に狙った犯行だった。
そして一番先に現れたのは、ごまちゃんだった。
「ご迷惑をおかけした皆さん大変申し訳ありませんでした。」
大人しそうな外見に、ノースリーブの花柄のプリントがあるワンピースに、アイヌ族のヘアバンドをしたごまちゃん。それを見て、次にエントリーしてきたくろちゃんは誰かの真似かな?っと呟くのであった。
そう言うくろちゃんはというと、男装して、長袖Tシャツにジーパン、リュックを肩にかけ、眼鏡をしていた。そしてコメントはというと…
「今日天気が良くてよかったよ… 桜も満開だしね…。でも…クイッ(顎クイ)…桜よりもお前(脳内変換可)の方が綺麗だよ(微笑み)」
…という、プレイボーイな言葉を口にした。(実際に達也様がこれを言ったら、腰抜かすね!)
次に、ホームズ!
魔性の女と言った妖艶な美女…なのに! 着ているコスは水玉模様のワンピの上に黄色いガーディガン。頭には花が付いた麦わら帽子。明らかに若作り感が漂いまくりだ。
「あはは。お団子食べたら奥歯の詰め物とれちゃった……しみるぅぅぅ」
そのギャップから観戦しているみんなから笑い声が起こる。
この反応を見て、くろちゃんとホームズが互いの顔を見合って、至福の笑顔をしながら、鼻血を出す。
「ふむふむ。いいですな~。」
「そうですな~。 いいコスをしてくれたよ…!」
「花見が終わった後、録画したあれを見ましょう!」
「乗ったぁぁぁ~~!!」
固く同盟の証として、手を組み合う二人を、桜の木の影から様子を窺っていたミナっちは怖いくらいに笑っていた。目が獲物を狩るという意思を宿していた。
「やはり動くと思っていたよ…。ヘムタイ達め・・・!お前達の野望は叶えさせないぜ…!ふふふ…!」
不気味に思うくらい、狩人化したミナっちは、同志に連絡を取り合うのであった…。
―――――続く。
新たなメンバーの中にヘムタイが誕生するのか!!?
みんな~、花見するのもいいけど、飲み過ぎには気を付けてね~。
御神「既に飲み過ぎてるぅぅ~~!!」
「おいっ!!」パシッ