そこで、今回はハロウィンを番外編にしてみました!!
長くなりそうな予感がしたので、前編・後編に分けていきたいと思います!!
今日は年に一度の最も大きなイベントが始まる。
それはギルドだけで留まらず、なんと帝国上げての大掛かりなフェステバルだ!!
「今日という日を楽しみにしていたんだ!!
なんだって、”ハロウィン”だからな!!」
「何を食べようかな…。色んな屋台が出てくるから迷ってしまう…。ボリボリ…。」
「みんな~~~!!! はぐれないようにね!!」
「「「「「は~~~~~い!!」」」」」
「ではみんなで、一緒に……………『トリック・オア・トリート!!』」
帝都中で開かれる事になった、『ハロウィン・フェステバル』に先生が子供達を引率しながら、祭りの中を歩いていく。
フェステバルを盛り上げるために、帝都を彩るハロウィン装飾が輝きを放つ。屋台もたくさん出ていて、色んな甘い菓子の匂いが漂ってくる。
そして、今回は特にフェステバルに参加する人たちが思い思いに仮装しているのだ。
ここは異世界の人達がいるのではないかとも思える仮装やあるオタクが好きそうな仮装をしている人もいて、中には、失神者や悶え気絶する人が早くも救急搬送されていた。
そんな雰囲気に包まれた帝都に、この物語の主人公たち…、ROSEもまたハロウィン・フェステバルを楽しむために、目いっぱい仮装して、屋台で美味しいお菓子を食べまくっていた。
「ふぁふいわふぁはいばんひいは~~(祭りはやはり楽しいな~~)」
「そんなに口に入れて、リスみたいになって…。 喉つっかえるよ。」
「うぐっ!!」
「ほら!! 言わんこっちゃない!!」
祭りの雰囲気に浮かれてお菓子を頬張っていたくろちゃんは案の定、喉を詰まらせ、ちゃにゃんに強めに背中を叩かれる。そして、詰まらせていたお菓子と共に、目玉も飛び出す。
くろちゃんの口から吐き出されたお菓子をにょきにょきが慎重に取り上げる…。
それをつまんでにょきにょきは驚くと同時に飲んでいた炭酸を吹き出し、大笑いし始めた。
「何、これ~~~~~!!!
面白すぎるけど!!
何でリンゴ飴丸ごと~~~~!!!! あははははは~~~!!!」
「………くろちゃんの口は、四次元ポケットにゃのか!?」
「ううん…、違うよ。
四次元マウスだよ!!(キリっ)」
「流し目するほどの自慢じゃないにゃ~~!!!」
いつも通りにちゃにゃんがくろちゃんに突っ込みをしながら、ハロウィンを満喫する。
他のROSEメンバーも各々に仮装し、帝都を歩いて、ハロウィンを味わっていた。
くろちゃん達も三姉妹でフェステバルを楽しんでいると、前方からSWATの仮装をしたサガットと暁彰が歩いて来ていた。
二人は、人込の中をすいすいと避けながら歩き、くろちゃん達と合流する。
「暁彰も、サガットもSWAT、似合っているね!」
「ありがとう。」
「そりゃどうも。」
「二人から迫力を感じるものね! なんていうか…、不届き者は決して逃がさんっ!!…て感じ?」
「そうだろうな、私達、帝都にある魔法師ギルドは皆、仮装して、楽しみながらも巡回するように言われているし、にょきの言った事は当たっている。」
「「え? 巡回?」」
「………まさか二人とも、巡回の事を忘れていたなんて言わないでにゃ?」
「「そのまさかDEATH♥( 〃▽〃)(///ω///)♪」」
「「「はぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~……………」」」
盛大に長くて重い溜息を吐く暁彰、サガット、ちゃにゃんは祭りで補給していた力が一気に下がっていくように感じた。
がっくりと肩を落とし、落胆を隠せないでいると、くろちゃんが暁彰の肩をチョンチョンと指で叩く。
「………何? くろちゃん。」
「あ、あのね…! 暁彰…!! お、お願いがあるの…!」
乙女のような瞳をして、上目遣いでお願いしてくるくろちゃんを通りすがりの男性達が目をハートにして、ナンパしようかと仲間同士で話し合う。
しかし、暁彰はくろちゃんのこの乙女ブリっこお願い大作戦を呆れた表情で見つめ返す。
くろちゃんは身体を捩ったり、腰を振ったりして、余計に男達の視線を集める。
そしてついに…
「”トリック・オア・トリート!!” お菓子ちょうだい!!」
「却下っ!!」
ボゴ~~~~~~~~~~~!!!!!
暁彰の掌底がくろちゃんにグリーンヒットし、くろちゃんは空へと飛んでいき、星になる。
「くろちゃ~~~~ん!!!」
にょきにょきが慌ててくろちゃんを追いかけていく。ちゃにゃんもその後を追いながら、暁彰に目礼する。
「まったく、反省も仕事もしないで、お菓子を強請るって、何しているんだ!?」
「暁彰…、よかったのか? あんなことして…。」
「いい。いつもの事だ。
それに、巡回も兼ねて、祭りで浮かれまくってゴミを路上に捨てていく人たちが多いからな。ゴミ回収も担っているし、飛ばしてよかった。治安に悪いからな。」
「くろちゃんをゴミ扱いって…。 仮にも俺達のギルドリーダーなのに。」
「そのリーダーを真っ直ぐに鍛えて、過ちに入らないように教育するのも私達の任務だ。」
★★★
「いたたたた………。目が回る~~~!!」
「亡骸だけでも回収できてよかった。」
「魂は抜けてないよ~~!!」
にょきにょきが気にぶら下がって、目を回しているくろちゃんを見つけ、回収し、そのまま再び祭りに参加する。
「う~~~~ん…、ちゃにゃん、どこに行ったかな?」
「ちゃにゃん…、はぐれた…?」
「どっちかというと、私達がはぐれたっぽい。」
くろちゃんを回収するために追いかけた時に人ごみの中ではぐれたのだ。
「どうしたものかな~~。この人ごみじゃ見つけるのは至難の業だよ。」
「逆に燃えてくるね。ウォーリーを探せ!!…みたいで。」
「ウォーリーはあちらこちらで出現しているけど、色んな人がいるしね。ちなみにちゃにゃんはウォーリーではなくて、魔女だから。」
「魔法師なのに、魔女の仮装は受けるよね~~!!」
そう言いながら、祭りで賑わう中を歩いていると、少しは慣れた所でゾンビが現れて、通行人を襲っている。
「あ!! あそこにゾンビか!!」
「ホントだ!! ゾンビだ!! それにしても、ゾンビの仮装のレベル半端ないね!!」
「逆にリアルすぎて、本物に見えて怖いんだけど~~!!」
「そこがいいんだよ! あのゾンビと写真撮れないかな…。」
「………さすがだよ、くろちゃん。」
人に襲っている…と言っても見せかけだが。
ゾンビの仮装をした人が、ゾンビらしい覚束ない歩きでくろちゃん達の所へ歩いてくる。
「あ、こんばんは~~!!」
「ええええ~~~~~!!!」
くろちゃんがあっさりとした口調でゾンビに挨拶するものだから、にょきにょきは思わず驚く。
ゾンビも動きを止め、今までの人と違った返しに戸惑いを感じる。しかし、ゾンビの演技もリアルにするプライドが奮い立たせ、再び演技を再開する。
今度はやられたフリしてまで付き合ってあげたくろちゃん達にゾンビから血のように赤い丸い飴をお礼にもらった。
「「”トリック・オア・トリート”」」
ちょうどお腹が減っていた二人は、お礼の意味も込めて、ゾンビに悪戯の呪文を大声で言い放つ。
そしてゾンビはまた人を襲いに歩き出し、赤い飴を渡していくのだった。
「この飴、美味し~~い!!」
「これは病み付きになりそう! 口の中にどろーりとした感じで広がっていくよ~~!!
ほら見て、口の中も飴が溶けて真っ赤!!」
二人はゾンビの飴にはしゃぎ、ちゃにゃんを探しながら祭りを満喫し始めた。
しかし、これがまさか帝都を巻き込むほどの混乱を招くとは思わなかったのであった。
帝都でのヘムタイ退治は今までなかったからな…。相当激しくなるぞ