魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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いよいよ今日で、マギクス・ファンタジー・クエストの第一幕が終わりを迎えようとしています!!
 
 今を思えば長い月日を毎日投稿してこれたのも、呼んでくれる皆さんのおかげです!!ありがとうございます!!

 11月からは、達也が主役の原作をもとにしたストーリーを投稿していきたいと思います!!
 今後も、励んでいきますので、よろしくお願いします!!


脅威の種が芽吹く時…

 

 

 

 

 

 

 カバルレとの戦いが終わり、帝都には活気が包まれる日々が流れていた。

 

 

 その戦いに尽力したROSEのみんなも、それぞれの日常を送り、久しぶりに満喫していたのであった。

 

 

 

 

 

 ★★★

 

 

 

 

 

 「え? それって本当なの?ホームズ!?」

 

 

 ギルドの賑やかな昼食の席で、驚愕を現した声がホールに響く。

 

 

 「どうしたんだ?御神。そんな変顔して。」

 

 

 「変顔になるのも仕方ないよ!! だって…!!」

 

 

 御神が今、何を聞かされていたのかをみんなに話し始める。その傍らで、オドリーが深刻な顔をしながら、涙が零れないように目を見開いて堪えていた。

 

 

 「この前、レストレードに依頼を受けて、ホームズがまた事件を解決したんだけど…!!!」

 

 

 「ああ~~!! あの、魔法研究の第一人者、ミチビ・クマホウ氏が殺害された事件か~!!

  でもあれって、ホームズがいつものように解決したんでしょ!?

  ほら、ニュースでも載っているように、犯人は唯一の弟子のロキっていう人だったって。」

 

 

 くろちゃんが最近お気に入りのいちごパンツパフェを食べながら、ホールのモニターを操作して、記事を引っ張り出す。

 

 

 その記事には、ホームズがどのように素晴らしく事件を解決したかを褒め称えて掲載されている。十中八九、レストレードの仕業だ。…それは横に置いといて、みんなが昼食を片手に持って食べながら、記事を読んでいく。しかし、御神が声を荒げそうな可笑しな記述はどこにも見つからない。

 

 

 「記事の内容とどこか違っているとか?でも、あのレストレードがここまでしているんだし、全て事実だと思うけど。いつもだし。」

 

 

 「うん…、そこにあるのは、全て事実だよ。でも、その事実には裏があったんだ。まだ隠された真実が。」

 

 

 「えええ~~~!!!

  それは珍しい!! ホームズ、事件は全部真実を言って、解決するのに、しなかったの!?」

 

 

 「…………」

 

 

 るーじゅちゃんがホームズに問いかけるが、ホームズはそれに答えようとはしない。

 

 

 ただ、黙っているだけだ。

 

 

 「しなかったんじゃない…。できなかったんだよな?

  ……ホームズが真実を話すのは、それで犯人が自らの罪と向き合い、更生してほしいと思うからだ。

  そんなホームズがまだ真実を伝えきれていないという事は、隠した真実がその犯人に下手したら、悪影響を及ぼすかもしれないと考えたから。……違うか?」

 

 

 暁彰が自分の考えを告げる。

 

 

 暁の言葉にホームズはため息を吐いて、みんなにその真実を聞く姿勢を見受けられたため、離す事にした。

 

 

 「実は………

 

 

 

 そう、切り出したホームズの話は、全て推測だが、事件を繋ぐのには十分なほど、筋が通っていた。

 

 そしてこれが、まさかまたROSEの壮絶な戦いへと誘うきっかけになるとは思わずに…。

 

 

 

 

 

 

 あの事件の犯人は確かに、ロキだ。

 

 しかし、犯人はロキだけではなかった。

 

 

 共犯者がいたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、それをロキは知らない。

 

 いや、誰が事故死に偽装したのかはなんとなくわかっても、なぜそんな真似をしたのかはわかっていないのだ。

 その理由には、温かい人の想いが込められているとは知らないで。

 

 

 ロキは書斎机で仕事するミチビを撲殺したと思い、暗号を残していた。

 

 わざわざ犯人をでっち上げてまで。

 

 

 そんな人間がミチビが死んだのを事故死に見せかけるだろうか?

 

 

 いや、ないだろう。

 

 

 では、なぜ遺体が移動させられていたのか。

 

 

 

 

 発想を逆転してみよう。

 

 

 

 

 被害者の部屋は解除コードを入力しないと開けられない最高級のロックシステムが扉に設置されている。

 

 部屋にはほかに侵入できる場所はない。

 

 そして、唯一の入り口の扉の解除コードを入力し、入ってこれた人物はロキだけ。

 

 いわば密室状態だったあの部屋で誰が現場を細工したのか…。

 

 

 遺体を移動……。

 

 

 

 

 頭の中で、ピースを繋げていき、分かった。

 

 

 ロキ以外に部屋の解除コードを知っていて、現場を動けた人物・・・。

 それは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 死んだミチビ本人だったんだ!!

 

 

 遺体は移動させられたんじゃない…!

 

 移動したんだ!!

 

 

 殴られても、まだ息があったミチビがロキの罪を隠すために、最後の力を振り絞り、事故に見せかけて、息を引き取ったんだ。

 

 

 その発想が生まれた時、事件の真相を話すために部屋に入ってきたロキを見て、納得した。

 なぜ、ミチビがそこまでしてロキを庇おうとしたのか。

 

 

 

 

 御神が破り捨てたエロ本…。

 

 

 あそこには、女性の写真が何枚も張りつけられていた。使い古されていて、相当年月がたっていたあのエロ本。

 その女性の顔がロキにそっくりだったのだ。

 

 まるで生き写しのように。

 

 

 ミチビが大事に保管していたエロ本に女性の写真…。家族をずっと想いつづけていたミチビを考えると、この写真の女性は、亡くなった奥さんではないかと思った。

 そしてその奥さんと生き写ししたようなロキの顔。

 

 ホームズは、ロキを見た瞬間、全てがつながったようになり、ロキがミチビの息子だと理解したのだった。

 

 

 そして、ミチビがロキを庇った理由も分かった。

 

 

 ロキは今まで生きているか分からずにいた息子だったのだ。

 その息子を守りたいと親の気持ちで、庇ったのだ!!

 

 

 それを思うと、胸が苦しくなり、真実を全て話してもよいか迷った。

 

 

 ロキは実はミチビこそが自分の父親だと知らないまま、自らの手で殺してしまった。それを伝えて、立ち直れるか、事件を解決する頭脳を持ったホームズにも分からなかった。

 

 

 そして、推理を披露しながら、この真実は言わないでおこうと決めた。

 

 ミチビ本人が言わなかった事を他人が言うのは、憚れたから。

 

 

 

 ここまでの真実を聞いて、ROSEのみんなは誰もが涙を流し、悲しみに暮れていた。

 

 

 「うう…。それは、ひっく! なんとも悲しいね…!」

 

 

 「ミチビさんは最期、どんな思いだったか…。」

 

 

 「ロキもなんだかかわいそうに思えてきた~~!!!」

 

 

 「でもさ~…! どうしてミチビさんは、ロキに『お前は私の息子だ!』なんて言わなかったんだろう?」

 

 

 「言わなかったんじゃないなくて、言えなかったんだよ。きっと…。

 

  もし話せば、それが周りにバレて、またロキを自分の所為でまた危険に晒してしまうんじゃないかって、怖くて…。

  だから、息子として愛するのは、内心だけにとどめ、弟子として迎え入れたんだよ。

 

  いろいろ話したい事もあっただろうし、一緒に過ごしたいとも思っただろうしね・・・!」

 

 

 「ミナっち…。 そうか…、ミチビさんには苦渋の決断だったんだね。」

 

 

 「そうだな、現にミチビは親子だとバレないように家に飾っていた写真やアルバムも全部仕舞ったり、オーキイさんには記憶が覚束ないからという設定をさせて、黙っておくように言ってたりしていたみたいだしな。

 

  あと、ボズには、ロキに守るために、ロキの部屋の隣にボズを配置していたから。見取り図見た時、気付いた。

  ボズはミチビの警護じゃなくて、ロキの警護だったんだって。」

 

 

 「そこまでして、まもっていたのに、何で他の人に研究全てを譲ろうとしたのかな?」

 

 

 「まだわからない?

  ミチビさんが研究全てを譲りたいと思う人なんて、一人しかいないでしょ?」

 

 

 「あ! ロキか!!」

 

 

 「そう、ロキが同じ道を歩んでくれていた事に感涙し、自分のような人生を歩まないか心配だったと思うけど、後継者として鍛えて、安心し、全てを息子に託すつもりだったんだ。

  そして多分、その時に真実を言おうとしていたのかもしれない。」

 

 

 「でも、ロキが勘違いして、事件が起こった…。」

 

 

 「何と言えばいいのか・・・。言葉が出ないや・・・。」

 

 

 「おいらは、今回の事件は、お互いに言わなければいけない言葉を言わずに食い違い、その結果がもたらしたものだと思う。

 

  だから、もっと二人で話し合うべきだったんだ…。」

 

 

 そうすれば、こんな悲劇は起きずに、今頃学会の論文発表会で二人の笑顔が視れたはずだとホームズの背中が語っていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ★★★

 

 

 

 

 

 事件の真実が話された後、これこそが重要だと言わんばかりにホームズが身を乗り出して、みんなに告げる。

 

 

 「この事件で、ロキが暗号を送った相手がこの前、判明したんだ。

 

  そいつの名は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カバルレ・サマダ…。」

 

 

 

 その名を聞いて、悲しみの空気から一転、怒気が漂い始める。

 

 

 

 既に倒した敵の名が出てくるとは思わなかったが、放っておくことはできない。

 

 

 

 皆は、これが新たな脅威の種を芽吹くきっかけになろうとは、この時は想像もしなかった。

 

 

 




まさかのヘムタイ事件簿での隠された真実がこのような結末だったとは!!

やばい!! 泣けてくる~~!!


 そして、カバルレがまた出てきた~~!!

 一体何が起きようとしているのか。

 明日はハロウィンの番外編を投稿します!!最後のヘムタイ騒動だぜ!!

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