魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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犯人がついに明らかに!!

誰だ~~!!

みんなは、前回の暗号で示された人が誰かわかってますかな?


後日談参ノ魔書★ ホームズのドSヘムタイ事件簿⑦

 

 

 

 

 

 「この中に犯人がいるって!!」

 

 

 「もう分かったの!!?」

 

 

 御神とオドリーが声を荒げる。

 

 

 無理もない、まだ時間が経っていない状態で、ダイイングメッセージを見破ったのだから。

 

 

 「ああ…、全て分かったぜ!! 

 

  メッセージが示す相手も…、犯人も…、そしてこの事件の真相がな!!」

 

 

 カッコよくポーズを決めるホームズ。

 

 

 片足を踏み台に置き、顎に手を当てて、流し目でこの部屋に集められた全員に向ける。

 もちろん、踏み台は自ら豚になったレスちゃんだ。

 

 

 

 

 シ-――――――――――ン…………

 

 

 

 

 見事に滑った。

 

 

 部屋に吹雪くらいに寒げが襲ってくる。

 

 

 

 「ゴホン…、え~~、ではまあ、今回の事件について話す前に、ちょっと聞いておきたい事があるので、皆さんに質問させてもらうぜ!

 

  まずは…、被害者に家族は?」

 

 

 いよいよ推理が始まると思っていた矢先に被害者について話してほしいと注文してきたホームズに関係者たちは訝しく思う。

 

 

 「何をいまさら…、そんな事を聞くために僕たちを呼び出したというのですか。悪いですけど、僕は忙しいのです。学会に発表する論文がまだできてませんのでね。」

 

 

 「そうですわ、私もさっきからこびりついたこの皿の汚れを綺麗に磨き上げるので手一杯ですわ。」

 

 

 「…別に俺は話してもいいぜ? ミッチーを守れなかった俺は既に職なんてなくなってしまっているしな。何のための警備だったんだかな~…、俺は。」

 

 

 ロキは話しながらも論文の資料をぺらぺらと廻りながら、呼んでいたり、高そうなお皿の汚れと真剣勝負していたり、ごっつい顔をしているのに、溜息ついてめちゃくちゃ落ち込んで、前髪をくるくると指で絡めている。

 

 

 「そこを何とか。それがあれば、犯人も自首してもらえそうなので。」

 

 

 全員が驚愕する。

 

 

 被害者に関する何かが犯人につながるというのか。

 

 

 沈黙が続いたが、仕方なしに関係者たちが話し始める。もっとも今目の前のものを止めるつもりはないが。

 

 

 「ミチビ様の事でしたら、私の方が一番詳しいと思いますわ。

  昔からずっとミチビ様にお仕えしておりましたから。

 

  ミチビ様には、奥様とまだ生まれて間もない御子息がいらっしゃいました。

  ですが、ミチビ様が学会の方々の会合という名のパーティーに捕まっている間に、奥様とご子息様はミチビ様の研究資料を盗もうとこの家に入り込んだ悪徳研究者の手に掛かり、拉致されてそのまま……。

  奥様の遺体が発見された時は、ミチビ様はもう息をしない奥様の身体を抱いて、それはもう酷く泣き叫んでました。後にも先にもミチビ様が酷く悲しみに暮れたのはこの時だけです。

  ご子息の遺体はありませんでしたが、ご子息の血痕が発見されたため、殺されて別の場所に遺棄されたと当時の警魔隊の方達は、見解を示しました。

 

  この事件をきっかけにミチビ様は学会に属する研究者やスポンサーとは一切関係を持たないとこの家に引きこもり、一人で研究を続けてきました。」

 

 

 「オーキイさん、それはいつの事…」

 

 

 「確か……約30年ほど前でしたかしら。 ごめんなさいね、最近記憶が曖昧になってきて、特に年数や人の顔は所々抜け落ちているのよ。でも、時間の感覚は大体合っているはずよ。」

 

 

 「そうですか…、そのような事が…」

 

 

 「そんな過去があったら、一人になりたいのは、無理がないな。

  同じ志を持っていたはずの研究者にそんな事をされたら…。」

 

 

 「なるほど。では、ここ数年で、何か変わった事は?」

 

 

 「変わった事ですか?え~~と…」

 

 

 「その頃は、私達もこの家に居ましたな。あの事件以降、ちょくちょくと声を掛けに来ていたんだが、いつも悲しみに暮れていて、そして時に怒りをぶつけていたな。

  結局、犯人は誰かは未だに分からないままだから。

 

  だが、数年前に突然、ミッチーから珍しく俺に電話がかかってきたんだ。

 

  いつもは俺からアクション取るのによ。だから、深刻な事かと聞いてみたら、敬語として働かないかって、誘ってきたのさ。

 

  まぁ、俺も実戦魔法師としては、既に年老いてきたからな。若い者に後を継がせて、ミッチーと一緒に老後を味わってみるのも悪くないと誘いを引き受けて、こうして警護についたのさ。

  しかし、結果はご覧のとおり…。

  友を守る事が出来ない、ただのジジイさ。」

 

 

 「僕は、その頃に訪問しました。自分の論文に自信が持てずに魔法開発・研究の権威であられるミチビ先生に一度見てもらおうと思い切って、尋ねたところ、論文を高く評価してくれて、それからは弟子としてもったいない奉仕を受けさせていただきました。

  今の僕があるのは、全てミチビ先生のお蔭です。

  そのミチビ先生がお亡くなりになるなんて…。

  ミチビ先生のために、今回の学会には、絶対にこの論文を世に出して見せる!!」

 

 

 「………あ、思い出しましたわ。

  そう言えば、二人がこの家に来るようになってから、家の中から消えてましたの…」

 

 

 「例えば、写真やアルバム……とかだったり?」

 

 

 「そうです!! どうしてそれを?」

 

 

 三人の供述を聞いて、ホームズは笑みを浮かべて、オーキイの言おうとしていた事を当てて見せた。

 

 

 御神とオドリーは、既に心の準備をしている。ホームズが誰が犯人だと言っても、受け入れられるように…。

 多分だけど…、この事件はその約30年前の事件とつながっている気が…。

 

 

 

 「はい、分かりました。もう結構だ…です。

 

  これですべてが繋がりました…。

 

 

 

  では、そうだな~~。

 

  まずパソコンの履歴に残されていたメッセージですが、簡単に言うとあなたたち三人の中にいるある人物を指しています。

 

   先ほど、私達の見解で、被害者は本棚から落ちてきたこの聖女の像が頭に落下して来たのではないという話をしたんだよ。

 

  でも、そうすると、わざわざ被害者がこの本棚の前に来る必要がなくなるじゃないか。なら、なぜ被害者が本棚の前で倒れていたのか…。

 

 

  書斎机と被害者が握っていたこの本を見て、分かった。

 

 

  被害者が聖女の像で殴られたのは、本棚の前ではない…。

  この、書斎机に座っている時に後ろから殴られたんだ!!」

 

 

 「「「何だって!!」」」

 

 

 「死亡推定時刻のほんの数分前に、メッセージを送っている。そして、キーボードにまでコーヒーが零れている。

  殴られた時にでも、カップを倒してしまったんだろう…。

 

  実際に、被害者の袖には、コーヒーのシミが飛んでいたしな。」

 

 

 「それで、犯人は!! あのダイイングメッセージは誰を犯人だって言っているんですか?」

 

 

 ロキがキリットした目でホームズに答えを求める。

 

 

 レストレードはすぐにでもひっ捕らえられるように三人の背後で目を光らせて、手錠を構えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そうだな…。 いいだろ。

 

  このメッセージに記された、数字とその横にある○…

 

  これは、名前を分解したもので、丸は誰が負けなのかを記しているんだ。」

 

 

 「名前を分解…?どういう事なの、ホームズ?」

 

 

 「三人の名前をローマ字にしてみてくれ。ただし、ボスさんだけは普通に…」

 

 

 「え~~と…、ROKI、OKII、BOZZ……だよね?

 

  これが何?」

 

 

 「三人の名前を引きはがしてみるんだ。

  例えば、ロキさんならROKI… Rを真ん中で切って、Kも真ん中を切る…。そして少し形を補正すると…」

 

 

 「……う~~んと…。

  12014……。あ!! 12014!! メッセージにあった数字と同じだ!!」

 

 

 「そう。この三人の名前はみんな、数字で表現できるんだぜ。www

  そして丸は、星を指していて、黒星はあるスポーツでは、”負け”を意味しているんだ。」

 

 

 「なるほど…。それは相撲と呼ばれるスポーツの勝敗の呼び名でしたね。

 

  なら、他の二人も数字に置き換えてみて…。

 

 

  オーキイさんは、0141…。

 

  ボスさんは、13022…。

 

 

 

  …って事は!!」

 

 

 「このメッセージが差していたのは、”0141 ●”と記されていた、オーキイ様!!

  オーキイ様が犯人様なのですか!!」

 

 

 オドリーが悲鳴に近い驚愕の表情で叫んだ。

 

 

 それがこの部屋の全員に緊張をもたらす。

 

 

 関係者の3人は、激しく動揺している。

 

 

 ロキは、持っていた本のページを破りまくって、慌てて元に戻そうと空を舞うページの欠片を飛んで集める。

 

 オーキイは、驚きで持っていた高そうな皿を落として割ってしまい、割れたのを隠そうと持ち合わせていた米粒に唾をつけて、糊代わりにし、くっつけて背中に隠す。

 

 ボスは、驚きで、ずっとくるくるしていた前髪…というか髪が天井まで飛び上がる。大事そうに髪を弄っていたから、薄々感じていたが、カツラだったか…。

 再び頭でキャッチしたカツラを修正し、何もなかったように口笛を吹く。

 

 

 オドリー達は笑いそうになるのを堪えて、話を続ける。

 

 

 

 

 

 

 「あなたが!! ミチビ先生を殺したのですか!!」

 

 

 「あんなにミッチーが信頼していたのにか…?」

 

 

 「わ、私は…」

 

 

 「やっぱりお金ですか!!? 家計が苦しいからとミチビ先生を手に掛け、家族がいない事をいい事に、ずっと寄り添ってきたから遺産をもらえる…とそう思っていたのですね!!

  怪しいと思ってました。 ただの主従関係には見えませんでしたからね!!」

 

 

 「あ、あの、そそそそそれは…」

 

 

 ロキがオーキイを罵倒し始めた。

 

 

 信頼する人が身近な人に殺されたから…。

 

 

 涙を浮かべ、オーキイを問いただす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 無事にダイイングメッセージを解き、全て解決した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………かに見えたけど、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      ・・・・・・

 「おいら、まだ犯人の名を言っていないけど?」

 

 

 

 一人だけケロッとした顔で、爆弾発言をする。

 

 

 

 「え?オーキイさんが犯人じゃないのか?」

 

 

 「どういうことですか?」

 

 

 一斉に視線がホームズに集まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はははははははは!!!

  

  おいらの推理はまだ続きがあるのさ!!

  こっからが真相だぜ!!」

 

 

 高笑いした後のホームズは余裕があるように見せていたが、御神とオドリーには分かっていた。

 

 

 心の中では、悲しんでいるという事を…。

 

 

 そう、感じていた…。

 

 

 

 

 




暗号をついに解読~~!! 正解はオーキイでした!!

キーボードを見ていたら、閃いちゃって…!!

でも、これを妹に話したら、「それ、コナンで見た事ある。」と爆弾発言され、ショックを受けるうちでした。

既に使用済みだったとは…!!

ここは、有名な青山剛昌様に土下座を!!「ごめんなさい!! 知らなかったとはいえ、使ってしまいました!! 申し訳ありません!!」

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