魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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ああ…、明日は母の日だ。


 プレゼント、何にするか決まっていない。


 母「明日は楽しみね~…。」


 プレッシャー感満載の笑みを向けられた。

 やばいかも…!! (汗)


初の魔法戦闘 (マジックバトル)

 

 

 

 

 得体のしれない恐怖に駆られ、愛用の小銃型CADに手をかけた瞬間、くろちゃんに向けて引き金を引いた。それと同時に、加重・移動系魔法『オペレッション・バズーカ』を発動した。

 

 

『オペレッション・バズーカ』

 

…大気の圧迫密度を限界値まで高め、その圧迫弾を対象物に向け、放ち、押し潰す魔法。

 圧迫密度を調整すれば、骨折までの威力の弾丸になる。

 

 

 

 余談だが、魔法発動には起動式を展開、それを自らに取り込み、読み込んでから魔法式を構築しないと発動はできない。並みの魔法師なら、発動までにそれなりの秒数が必要になるだろう。しかし、シュンはそれよりも断然早い処理能力で魔法発動したのだ。

 

 

 今の魔法で吹き飛ばされ、押しつぶされたと仲間の誰もが、思った。

 

 

 

 シュンも己の中に渦巻いていた恐怖や脅威が消えていくのを感じ、力の抜けた笑いを溢しつつあったが、徐々に高笑いへと変わった。その笑いには嬉しさと安心、プライドが入り混じっていた。しかし、その笑いは長くは続かなかった。

 

 

 「いや~、びっくりした!まさかあそこまでの腕前だったとは。

  三流だと思っていたけど、それなりに鍛えているだけあるわ!

  見くびっててごめんね~。」

 

 

 「なっ!!」

 

 

 くろちゃんは先ほどから一歩も動いていない状態で、立っていた。傷も見当たらない。予想外の結果にシュンは驚きを隠せなかった。

 

 

 「馬鹿な!ヤマザキ一族秘伝の”クイック・ドロー”を防いだだと!!」

 

 

 「へぇ~!! これがさっきのが”クイック・ドロー”なんだ!CAD早撃ちに優れた一族が帝都にいるって話は聞いていたけど、実物見れて勉強になったよ。ヤマザキ一族のシュン?」

 

 

 またもや、情報露呈してしまったシュンはもう開き直って自棄になった。

 

 「くっ! お、教えてやったんだ!!おい、お前ら!! 何ボザッとしている!?俺たち”ブルーム(花弁)”の力を見せつけてみろ!!」

 

 

 そういうと、シュンは手首にしたバンドを付けた腕を天高く掲げた。

 そのバンドには八枚の花弁が連なった花の紋章が描かれていた。

 

 

 今まで、あっけにとられていた仲間たちが、シュンの言葉に我を取り戻し、臨戦態勢に入った。

 そして、次の瞬間にはくろちゃんは取り囲まれていた。人数的にはシュン達”ブルーム”の方が圧倒的有利。

 

 

 「やれ! 木端微塵にしてやれ!!」

 

 

 一斉にそれぞれの得意魔法を撃ち込んできた。ある者は、加熱・放出系魔法で火炎放射してきたり、ある者は、振動・移動系魔法で土を津波のように操りしてくろちゃんにめがけて放たれた。

 

 その激しい魔法の嵐を受けて、図様しい威力の爆発が起きた。爆風で辺りの樹木の枝が折れて、人も飛ばされ、ゴウゴウっと爆風の凄さを物語っていた。

 

 

 しばらくしてから、シュンは閉じていた瞼を開け、くろちゃんが立っていた場所を直視した。そこにはまだ、パチっパチと火花が飛んでいたり、爆煙が立ち込めていた。

 仲間たちもこの現状にひどい有様になっているであろう存在を想像し、雄叫びを上げて、喜んだ。

 

 「シュン!! やったな。 これで俺たちの計画が外部に漏れる心配もなくなったぜ!!」

 

 

 「あ、ああ…。そうだな…。」

 

 

 ただ、シュンは胸に引っ掛かりを覚えた。仲間たちの攻撃魔法があそこまでの威力をもたらすものだったのか?

 

 

 その考えはすぐに証明された。

 

 

 「危ない、危ない!! ちょっと~!! 可愛いレディになんて物騒なもんを向けてんのよ!!」

 

 

 突如、声がした方向へ皆が顔を向けると、爆煙が見る見る上空に集まりだし、球体状になった後、どこからか、水滴が発生し、綺麗さっぱりと消えた。

 そして爆煙が消えたと同時に、くろちゃんがケロッとした顔で姿を現した。

 

 

 「間に合ってよかった~!『能動空中機雷《アクティブ・エアー・マイン》』があと少し遅かったら、やばかったよ。」

 

 

 くろちゃんは『能動空中機雷』を全方位のアクティブシールドとして展開し、相手の魔法と地雷源の振動の爆発で相殺していたのだった。

 

 

 ここまでの戦いで、遠距離魔法では攻撃にもならないと察し、ブルーム仲間の数人がナイフや大剣を取り出し、仕掛けてきた。

 

 集団での戦闘訓練を相当積んできているのか、攻撃する仲間の速度を後衛があげたり、防御魔法を施したりという連携攻撃ができていた。そして、その攻撃をくろちゃんは紙一重で躱すのが精いっぱいになりつつあった。

 

 

 くろちゃんは魔法力が強く、すでに魔法に関して高い素質を持っていたが、あくまで魔法だけの素質。戦闘に必要な身のこなし方や近接戦闘はまだひよこ当然だった。

 

 

 相手の攻撃をかわしつつ、『フォノン・メーザー』、『チェインスピーカー』、『レーザーライフル』などの主に振動系魔法で応戦しているが、肉弾戦を仕掛け出した彼らに少しずつ押され始めた。

 

 

 

 

 

 

 数分後、

 

 

 

 

 くろちゃんは息を荒げながらも、何とか立っていた。身体には、避けきれなかった刀傷や痣が見える限りの場所に複数あった。

 

 

 その姿を見て、シュンは攻撃をやめるように仲間たちに合図をし、くろちゃんに話しかけた。

 

 

 「そろそろ限界のようだな? どうだ? 馬鹿呼ばわりした奴らにいたぶられる気分は!? お前の最期くらいは俺が蹴り付けてやるよ…! もう体力も魔法力も底尽き掛けているお前に防ぐ術はないだろうからな。」

 

 

 そうして、小銃型CADをくろちゃんに照準を合わせた。

 

 

 ここで、くろちゃんの旅は終わるのか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

だけど、それは尚早だった…!

 

 

 

 

 「ふふふふふふふふ。 終わりなのは、ハァ~、ハァ~、あんたたちよ…!

  ホントは、使いたくなかったけど、しょうがないよね。

  ごめんね…。」

 

 

 

 そうつぶやいた直後、辺りの樹木たちが一斉に震えだした。

 

 その突然の展開に、ブルームたちは樹木たちが笑っているように感じた。

 

 そして樹木たちの震えがさらにヒートアップし、何かのマークが浮かび上がり、光り出した。

 

 それは、くろちゃんが迷わないようにと目印にしていたマークだった。

 

 

 

 「ホントにごめんね…。 樹木さんたち…。」

 

 

 

 そうして発動したのは、『共振破壊』。

 

 

 

 光り出した樹木たちが一斉に破裂し、その破裂した木片や衝撃波が辺り一帯を襲った。

 

 

 

 そして、うっすらと暗かったこの空間に太陽の眩しい日差しが一つ、また一つと照らし出した。

 

 

 




 とうとう、魔法バトル、終わった~!!


 今回はオリジナル魔法や原作魔法も含め、頑張って織り込んでみました。

 素晴らしい活躍しましたくろちゃん。


 逆に明日の私は…、どうなっているだろうか。

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