魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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挿絵して、現場の見取り図を投稿したいのに、その取り入れ方まで分からずにいるうち。
パソコンに疎いうちでは、難しい。
ううううう…。
申し訳ありませんが、想像でお願いします!!


後日談参ノ魔書★ ホームズのドSヘムタイ事件簿⑤

 

 「亡くなられたミチビさんの死因は後頭部を鈍器で強打した事による脳内出血。

  死亡推定時刻は昨日の23時~今日の0時頃になります。

  

  致命傷を与えた鈍器もご遺体の近くに倒れていたこの天然石で造られた赤子を抱いた聖女の像です。」

 

 

 現場となった本が散乱している所に、血が付いた聖女の像が横たわっていた。

 

 

 「遺体が発見されたのは、今日の午前9時。遺体のお弟子さんがいつも通りに尋ねてきた時、既に先程の状態だったと我々に証言しています。

  遺体も棚から落ちた本に埋もれており俯せとなって、肩までが埋もれた本の山から露出していました。」

 

 

 現場保存の際に遺体を撮った時の写真を渡される。

 

 

 「今、関係者に話を聞いてきましたところ、この聖女の像はいつもこの本棚に飾られており、いつも休憩の合間に眺めるために、書斎机から見えるこの位置に置いていたそうです。

  これが、ミチビさんが亡くなられる前日に撮られた記念写真です。」

 

 

 レスちゃんから渡された写真には、数人の人と一緒に微笑ましく笑って写っているミチビさんがいた。

 この時、まさか自分が死ぬとは夢にも思わなかったに違いない。

 

 

 「以上、現場の状況を見ると、ミチビさんが握っていたこの本を本棚から取り出す際に誤って、聖女の像を落としてしまい、運悪く後頭部に命中し、息を引き取った……というのが見解でした。」

 

 

 「どこか腑に落ちない事でもあるって事? なんだかこの部屋を見渡す限り事故なのに…。」

 

 

 言葉を濁すレスちゃんに、御神が引っかかりを感じ、部屋中をもう一度見てみるが、至って、争った痕跡もないし、不自然な事はない。

 レスちゃんの見解は、間違っていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 表面上だけ見れば…。

 

 

 遺体が握っていたという本をレスちゃんから没収し、ページを巡って、その本を読んでいたホームズは本を閉じると、これまでで導き出した状況から結論を述べる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「これは殺人だな。

  しかも計画的に実行したもの。」

 

 

 「え? どうしてわかったのですか?」

 

 

 「まず、本棚から落ちてきたこの聖女の像が後頭部に当たり、それが致命傷になったっていうけどさ。

  遺体の倒れ方がおかしいんだよ。しかも傷がない…。それにその状況だと足りないものがある。」

 

  

 「倒れ方ですか?」

 

 

 「レスちゃんが話した見解だと後頭部に像が落ちてきたのなら、ミチビさんはちょうど下を向いていた時じゃないと後頭部に傷なんて残らない。おそらく本を手に持ってみた時だ。」

 

 

 「はい、本を取ろうとして、ミチビさんの身長より数段上の段から像が落ちるのなら、ホームズ様がおっしゃる通りの状況でないと難しいでしょう。

  ですが、これのどこがおかしいというのでしょう。

  それに、傷がないって…。」

 

 

 「この本を手にする際に、落ちてきたのなら、もちろん本棚のすぐそばにいたという事だよね。ほら、レスちゃん。ミチビさんの最後の行動を再現してみて。」

 

 

 「はい!! お安いご用です!! ホームズ様のお役にたてて!! 感動です!!」

 

 

 …と、説明を再開した時から、ずっと床に手と膝をついて獲物のポーズをしたレスちゃんの上にホームズがカッコよくポーズをつけて座っていたのだ。

 

 この状況に誰も突っ込まなかったのはさておき、真剣に話しながらも、快楽を感じていたレスちゃんは、ドMであることが立証できたといえる。

 

 名残惜しそうにしていたが、瞬間に警魔隊の制服に着替え、ミチビさんの役で、違う本棚に向かい、最期の状況を再現する。

 

 

 「まず、本を取る。そして、それを確認している最中に上から像が

 

 

 

  ドオ――――――――――ン!!」

 

 

 「ぐえっ!!」

 

 

 再現するといったが、上の段から一冊の本を移動魔法で取り出し、それをレストレードの後頭部に加重系統魔法をかけた本で一気に落とす!

 

 悲鳴を上げ、後頭部を手で押さえながら、顔から本棚に激突するレストレード。

 

 その衝撃で本が落ち、次々とレストレードに降りかかり、仰向けで倒れた。

 

 

 

 

 今の再現を見て、御神とオドリーは絶句する。

 

 

 

 「さて、さぁ…レスちゃんが見事に再現してくれたから、現場の写真と見比べてみろ。

  間違いさがし開始~~!!

 

 

 

 

  ……あ、レスちゃんも身を張った再現ありがとうな!!」

 

 

 写真を渡しながら、どこか不自然か、推理タイムが始まった。

 

 

 そして、思い出したかのような口調で、レストレードに話しかける。

 

 

 

 

 

 

 いやいやいやいや!!!

 

 

 

  

 

 

 それよりもいう事あるよね!?

 

 

 

 「ちょっと!! また派手にやっちゃって…!!」

 

 

 「いえ、私はホームズ様の下僕ですから!! ホームズ様のために、この身を思う存分使っていただけるだけで満足です!!

  今回もお役にたてて7とても幸福を感じています!!

  はぁ~~、天国に行ってもいいくらいです!!」

 

 

 「うん、もう天国に行けるよ、その状態なら。

  頭から大量に血が噴き出しているし、溢れ出た血が別の意味で顔真っ赤にしているし~~。

  もう天国に簡単に行けるわ!!」

 

 

 「はい、レスちゃん!! よくできました。ご褒美においらを運ぶ豚に任命してあげるぜ!!」

 

 

 「はい!!ありがたきその任務、喜んでさせていただきます!!」

 

 

 

 御神がレストレードを労わりながらも、突っ込んでいると、横からヘムタイのホームズが早速豚にやれと言って、率先して瞬時に服を脱ぎ、ドM豚に早変わりしたレストレードに、だんだん突っ込むのも馬鹿らしくなる。

 

 

 「オドリー~~。 助け………」

 

 

 「う~~~ん…。」

 

 

 一方、オドリーはホームズからの出されたお題に答えるために、写真を凝視する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はい、推理タイム終了~~~!!

  さて、分かったかな?オドリー。」

 

 

 「うん…、さっきレストレード様は、仰向けで倒れられたのに、この写真ではなぜかうつ伏せになってます。

  つまり像が落ちてきた時には、既に本棚に背中を向けていた事になります。

 

  これは、本を取りだした後に、何らかの衝撃で本と共に落ちてきたことになると思うのですけど…。」

 

 

 「それっておかしいよね?

  だって、要は目的の本を取って、本棚から離れようとしていたのだから。

  さっきのレストレードみたいに頭の衝撃で本棚に激突する事もなく、何も前振りがないで、本が大量に落ちてきて、像も見事に頭を直撃…。

  ・・・・・

  タイミング良すぎる気がする…。」

 

 

 「はい、まるでそうなるように仕組んでいたとしか……、あ!?」

 

 

 「どうしたの?オドリー。 まだ何かあるの?」

 

 

 「いえ、先程私達が導き出した行動だと、明らかに矛盾する事があるのですよ!!」

 

 

 「?? それは……」

 

 

 「致命傷の位置………、ですか!?」

 

 

 二人の推理にホームズの人間椅子となっていたレストレードが答えを言ってしまう。

 

 

 「先程私が再現した方法だと、致命傷となった後頭部の傷に像が落ちてくるのも納得できます。しかし、既に本を取り、離れようとしていたのならば、顔は真正面に…、つまり像は頭のてっぺんになければおかしい!!

  そういう事ですね!!」

 

 

 「何を勝手にしゃべってんだ? レスちゃん?」

 

 

 バシッ バシッ!!

 

 

 

 ホームズの愛用のドS鞭がレスちゃんに猛威を振るう。

 

 

 

 鞭をレスちゃんに打ち付けながら、ホームズは、二人の推理を解説し、詳細に事件の内容を話す。

 

 

 「二人の推理はよくできているよ、さすがだな。

 

  でも、まだ足りない…。

 

  レスちゃんが口走ってしまったけど、オドリーのその顔見れば、同じことを考えたのは分かる…。

  レスちゃんが言ったとおり、今の二人の推理に基づいていくと、逆に致命傷の傷が後頭部にあるのは可笑しい。

 

 

  それに、まだ3つ、可笑しな点がある。

 

 

  まずは、手に血がついていない事だ。

  さっき、レスちゃんが身を挺して再現してくれた時、頭に衝撃を受けて、レスちゃんはとっさに頭を押さえた。これは、人間なら防御しようと本能的に働いてしまう自然現象だ。

  当然、ミチビさんも同じようにしたはず。しかし、ミチビさんの両手には、血が一滴もついていなかった。

 

  これが1つ目。

 

 

  次に、顔にも傷や打撲がない事だ。

  頭に衝撃を受けた時、レスちゃんはぐらついて前のべりに目の前の本棚に激突したよな?その際にできるはずの怪我が見当たらなかった。

  それに本が衝撃で落ちてくるなら、激突するくらいじゃないとそう簡単に落ちないからな。相当目立つ怪我があってもいいくらいだ。レスちゃんみたいにな。」

 

 

 ホームズの説明を聞きながら、御神とオドリーは話に釣られるようにレスちゃんを見たが、顔が血で真っ赤になったままのレスちゃんを見ても、どこが怪我しているのが分からない…と心の中で思ったのだった。

 

 

 

 「そして最後に3つ目、聖女の像が倒れたミチビさんの顔の近くに転がっていた事だ。」

 

 

 「像が遺体の傍に落ちているのは、別に可笑しくないと思うけど?」

 

                            . .

 「ああ…、別に問題はない。問題なのは、像が転がっていた場所なんだ。」

 

 

 「え?」

 

 

 「本棚から落ちて、頭に直撃したのなら、本棚のすぐ近くに落ちるだろ?

  実際にレスちゃんの時もすぐ近くに落ちていたしな。

 

  そうすると、倒れたミチビさんと一緒に本の山に埋もれてしまうはずだ。

         ・・・・・・・・・・・・・   

  しかし、実際は倒れたミチビさんの顔の近くに落ちていた…。

 

 

  な? こんなに事故だったら可笑しな点があるんだ。

 

  

  被害者に後ろから近づき、後頭部をこの聖女の像で殴り、事故に偽装したと考えた方がじっくり来るってもんさ。」

 

 

 

 

 以上で、ホームズの推理が冴え渡り、思わず二人は拍手してしまう。

 

 

 さすが、ヘムタイ探偵を名乗るだけある。

 

 

 

 「さすがです!!ホームズ様!!」

 

 

 「別に褒める事ではないさ。 レストレードも何か引っかかるから、俺に依頼してきたんだろ?

  さっきも、『見解でした』…と過去形で言っていたし、現場を見て、何かはわからないが、事故で済ます気に慣れなくて、おいらに捜査依頼をお願いに来た…、ってとこだろ。」

 

 

 「はい!! そこまでお見通しだったとは!! やはり、我らの心強きヘムタイであります!!」

 

 

 

 「だったら、さっさと容疑者を連れてきてくれないか?

  早く終わらせて、準備しないと!!」

 

 

 「準備?」

 

 

 「そうだよ!! 早くちゃにゃん達が帰って来る前に、隠しカメラなりを設置しないと、今度こそ生全裸を拝む事は出来ないだろ!!」

 

 

 

 ものすごく必死に、(ジョジョっぽい立ち方と顔で)この後のヘムタイスケジュールを堂々と暴露するホームズに御神は呆れ果て、オドリーは含み笑いをするのだった。

 

 

 

 

 




ミステリー大好きなうちが今回の話を打ちこんでいたら、思わずめりこんで、しまった!!

でも~~!! なんだか、面白くなってきた展開に、我ながら満足だぜ!!

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