魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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 盛り上がってきたな~。

 そして、書きたい事がどんどん増えていく。

 シャーロック・ホームズになってしまったくろちゃんの活躍!!


 をどうぞ!!


リーズニングタイム~冴えたる推理~

 

 

 

 

 

 

 「くっ!! 俺はエリートだ!! 間違いなどあるはずがない!! 黙れ!!」

 

 

 よほどの自信があったのか、荒々しい呼吸をしながら自分が正しいのだと強く主張するシュン。

 

 くろちゃんは頭を抱えながら、深い溜息を吐いた。そしてこの平行線の流れにいい加減に嫌気が差し、この流れを断ち切るため、口を開いた。その開いた口元は少し吊り上っていた。

 

 

 「救いようのないバカとはこの自称”エリート”のような人のことを言うんだな~。

  勉強になったよ。 だったら…、その”エリート”の顔を崩してあげるよ。」

 

 「ふん! 素人魔法師のお前に何ができる!? 生意気なっ!」

 

 「あれ~? さっき、私の魔法で痛い目にあったのは誰ですか?

  はぁ~…。あんた、え~っと…、そう!ショータロウだっけ!?

  まだ気づいていないようだから言うけど、あんたが私の周りにいる事を知っていたから、対人魔法を発動したんだけど。…この意味わかる?」

 

 「シュンだ!! ショータロウではない!! とうとう一文字も被らなくなったじゃないか!! 何度言えば分かっ……るぅ…。 !!!!!」

 

 

 くろちゃんの言葉でようやく状況が読み込めてきたシュンは深い思考に陥っていった。

 

 

 

 (こいつは俺たちの動きを読んでいた? だから魔法を使ってきたというのか?

  ありえない! このエリートの俺が間違いなどしない…!するはずがないんだ!!

  でも、もしもだ。もしもそれがあったとしたら、この手の上で踊らされているような感覚、状況にも頷ける…。 お、俺は何か、ミス、をしたのか…?)

 

 

 自分がどこでミスをしてしまったのか?果てしない思考が永遠に続きそうになったが、くろちゃんの次の台詞に一気に現実に引き戻された。

 

 

 

 

 「最初に会った時からだけど??

  おかしいと思ったんだよね~。誰も近寄らない森の入り口で門番がいる事に疑問を持ったのが始まり!」

 

 

 「……………。」

 

 

 (何を言われた…?  最初からだと…!? じゃ、じゃあ!気づいていながら、この森に足を踏み入れたというのか!?)

 

 

 

 シュンはくろちゃんの言葉が理解できなかった。そして今まさに、動揺の渦に呑み込まれていた。

 

 激しく動揺しているのがシュンや仲間達の雰囲気で辺りに伝わり、静まり返った。

 

 くろちゃんはシュンの驚きに満ちた顔にニヤッと満足そうな笑みで返し、これからの展開に向けて、挑発という名の推理を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「えっと、何から話そうかな。あっ、そうそう。こんな森に門番なんているかな~?って疑問だったけど、旅人が足を踏み入れないようにって理由で地元の民がしていると思って最初は納得していたんだよね。でもあんたの服装や言動であっさりその考えは消えたよ。

 

 

 アウトドアな服装していたから、身体を動かすことに長けている。

 そして袖からはCADがちらっと見えたから魔法師だという事も分かった。

 

 

 でもここからが不思議でいっぱいだった。

 

 

 あの時のあんたの履いていたブーツには泥がびっしりとついて汚れていた。

 ここ最近はよく晴れていて、今日も快晴だ。雨が降っていないのに、泥が付くなんてありえない。

 この謎は森に入って、仮説から確信に変わったなぁ~。

 森を歩いていて、本当に泥沼見つけた時、あんたは地元の民ではないなとほかの情報と照らし合わせて結論した。

 地元の民でも森に入らないのに、足を運んでいるのは変でしょ!?

 それにあんただって自分から言ってたし。」

 

 

 

 

 『木の根っこに引っ掛けて転んだり、泥沼にはまりそうになったからなぁ~。』

 

 

 

 シュンはその時の事を思い出し、失言だったと今さらになって、理解した。

 

 

 

「地元の民ではなかったとしたら、森に入る前の言動も納得した。普通なら、旅人が危険に飛び込もうとするのを必死に何とか止めようとするはずだもん。森の怖さを知っている地元の民なら。でも、あんたはそれはなく、逆に選択を狭め、森に入る選択を選ぶように誘導していた。

 飛行魔法なんて、つい最近発売されたばかりなのに、使えばいいと言ってきた。帝都へ行くはずのルートへはこの森を絶対通らないといけない。でも、地元の民は森を何十年も通っていない。

 

 

 

 

 だったら、なぜ帝都でしか買えない魔法式の情報を知っているのか?

 

  

 

 そこで結びついたのが、地元の民に扮した帝都の魔法師。

 

 

 

 そうとわかれば、簡単だったわ!!

 

 こんな人気のない森だもの。用もないのに、わざわざ、地元民に変装しているのはおかしい。何か企みがあるはず。

 

 そして、帝都の魔法師なら、絶対にギルドに入っていると思って、組織的計画を練っているとも考えた。

 

 

 だから、あんたたちの誘いを受けて、ここにいるって訳!

 

 

 

 ああ!!それと、あれ!!実に面白かったよ!!あの魔法ランタン!!

 

 

 加熱系魔法に見せかけて、実は光波振動系魔法イビル・ゾーンを仕込んで、催眠効果を利用して、道に迷わせ、自分たちの思い通りの場所に誘き寄せるとは、よく考えたよね~!」

 

 

 《イビル・ゾーン》

 

 イビル・アイの光信号を周囲に発生させる領域魔法。

 

 

 「まぁ、私は自分自身に情報強化の防御フィールドを張っていたから、効き目はかなり薄かったけど。操られている振りするのは、神経が磨り減るわ。」

 

 

 

 くろちゃんの推理が終わり、シュンはいや、ここにいる人間(くろちゃん以外)は目を丸くし、あっけにとられていた。

 

 

 たったその程度の状況観察と情報だけで、俺達の企みだけでなく、正体まで見破られていたとは思いもしなかったのだ。

 

 

 

 

 シュンは本能的に直感した。

 

 

 

 この女は甘く見てはいけない…。

 

 

 ここで、息の根を止めておかなければ…!!

 

 

 

 そしてまだ感覚が麻痺している手が、意識しないまま、胸のホルスターに収めている愛用の小銃型CADにゆっくりと動かしていた…。

 

 

 






 シュンの小物っぷりが目に余る…。



 そしてくろちゃんの観察眼、やばすぎる!

 カッケぇ~…!!

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