空高く舞いあがった命の炎が散り、火花が戦場となった地下都市に降ってくる。
地下都市の大きく開いた天井から夜が明け、新鮮な朝日がどんどん強く差しこんでくる。その光を浴び、火花があの時、ROSEを守ってくれていた不死鳥のように輝きを放ちながら、落ちてきた。
その火花がまるで雪のように降ってきて、ROSEのみんなは、天井をずっと見つめ続けながら、涙を流す。
「……今度こそ、何もかも終わったんだね…。」
「………勝ったんだよね?」
「…ああ、もうカバルレの相子も確認できない。…消滅した。」
「……そっかぁ~。」
しんみりと勝利を噛み締めるROSE達は、長い戦いの終結に安堵するとともに、やりきれない思いを抱えて、ただ涙を流す。
それに対照的に闘いから避難していた人たちが歓声をあげて、互いに抱き合ったり、肩を組んだりして、喜び合った。
奴隷達は、ようやく自由になった事で心からの嬉しさを表し、感動に浸った。警魔隊は行方不明者のリストと照らし合わせながら確認したり、残党たちを拘束し、身柄を留置所に拘留するために早速仕事に取り組んでいた。
周りが騒がしく動き出し始めても、ROSE達は未だに動きを見せない。
ずっと火花が降ってくる情景を目にして、思いを馳せていた。
「……ドレーナ。」
彼女の最期を見て、どうにも心から喜べそうにないのだ。
”何がを得るには、何がを犠牲にしなければいけない”
以前、暴走しかけていたリテラをホームズが自重するように忠告する時も話した事だ。
それが、こんな結果となるとはあの時は考えてもいなかった。
仲間が実際に目の前で消滅するのを、ただ見ているだけしかできなかった。
それが悔しい…。
これがドレーナの望みであっても、苦しいものだ。
やりきれない思いで、涙が止まらず、終いには、号泣してくるROSE達。
そんなROSEの耳に、聞き覚えのある、今最も聞きたい声が聞こえてきた気がした。
”悲しくなんかないわ…。”
「え…?」
「今の声…、みんな、聞いた…!?」
「うん…!!私にも聞こえたよ!!」
「ううぅぅ……、ママの…、声だぁ~~!!」
突如耳に直接聞こえてきたドレーナの声に、辺りをきょろきょろして、姿を探す。しかし、ドレーナの姿がどこにも見られない。
姿なきドレーナの声がまた聞こえてくる。
”私はいつもあなた達…、ROSEの傍にいるわ…。
だから、寂しくもない。
…ありがとう。”
みんなはふと、顔を上げる。
すると、降ってくる火花がみんなの身体や肌に当たる。
しかし、熱いとかは感じなかった。
……なんだか安心するくらいに、…温かい。
優しさの中に包まれているような……
「まったく…、本当に…、君は凄いよ。」
ぼそりと呟いた暁彰は、火花を手に取り、その手をずっと見つめながら、微笑した。
そして降ってきた火花がROSEのみんなの身体に刻まれているギルド紋章に触れると同時に、炎が沸き起こり、大きな翼が羽ばたく。
その炎の翼がみんなの体内に吸い込まれるように、小さくなっていき、最後に炎の薔薇を咲かせてから、消えた…。
御神やサガットが紋章に触れ、炎のように熱く燃えていて、すっかり馴染んでいるのを、ひしひしと感じた。
「ママが…、ここにいる…。」
ショウリンが涙を浮かべながら、自分の身体にも刻まれたROSEの紋章に視線を向け、笑っていた。
次第に、みんなの顔に笑顔が現れ始め、肩を組んだり、互いに顔を見合わせ、笑ったりと”カバルレ・サマダ大サーカス”との戦いの勝利を徐々に実感していくのだった。
そんなみんなの姿を少し離れた場所から見守っていたくろちゃんとちゃにゃんは、地下都市の大きな穴が開いた天井を見上げ、天井に向かって、手を伸ばす。
天井からどんどん朝日が漏れ出し、鳥の囀る鳴き声がここまで聞こえてくる。
朝日と共に、澄み切った綺麗な青い空が覗かせ、二人は微笑んだ。
「……いい朝だにゃ~…。」
「うん…、忘れられない…、良い空をした朝だね…!」
微笑ましく天高く伸ばした手で眩しい朝日を少し遮りながらも、見つめる青い空に、綺麗で大きな虹がかかっていたのだった…。
とうとうカバルレ・サマダ大サーカス団との戦いが終わりました…!!
まさかここまで話を盛るとは思わなかった。(自分でしたんでしょうが~~!!)はい、ごめんなさい!!
でも、書いていて楽しかったので、満足だ~~。
この後は、後日談を投稿していき、一旦話を切って、いよいよ原作キャラを起用した話を持っていきたいと思います!!