魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

176 / 453
カバルレ~~!!これが眼に入らぬか~~~!!

「ハハハ~~~~~~!!!」

土下座するカバルレ~~!!
魅せられた紋章はROSEのギルドの紋章!!ついにこの時が~~!!!





魔物カバルレとの決戦(Final)

 

 

 『”コレデオワリダアァァ!!!”』

 

 

 カバルレが魔法式を読み込んでいく。

 

 

 「どうしよう!! このままじゃ私達は仲良く燃え滓になっちゃうよ~~!!(泣)」

 

 

 「いえ、滓が残るかも疑わしいよ。完全に消滅させられたりして…。」

 

 

 「キャ~~~~!!それは嫌~~~!!せめて名誉の死に様を伝えてもらうためにも、身体は残しておきたいよ~~!!」

 

 

 「ちょっと!!何、やられる前提で話が進んでいるの!!?」

 

 

 るーじゅちゃん、ペンダゴン、し~ちゃんが抱き着き合いながら、近い将来を予想し、嘆くが、御神が想像をストップさせる。

 

 

 

 「まだ終わってないぜ!! ……何か方法があるは…」

 

 

 

 

 

 シュッ……バリ~~~~~ン!!!

 

 

 

 

 ホームズが頭を捻って、試行錯誤する横で何かが風を切っていきながら、カバルレの元へと飛んで行った。

 そして、それは展開中の『マテリアル・バースト』の魔法式を吹き飛ばした。

 

 

 「…はぁ~、あれは『術式解体(グラム・デモリッション)』…。」

 

 

 『再成』で復活した暁彰が披露しきった顔で今のを目撃し、独り言をつぶやく。それを聞き逃さなかったホームズは、圧縮した相子弾が放たれた方向に目を向けると、そこには、右手を天に翳しているショウリンの姿があった。

 

 

 「そうか…! さっきのはショウリンの『術式解体』だったのか!」

 

 

 「偉いよ!!ショウリン!!」

 

 

 まだ幼いことが影響したかはわからないが、カバルレの攻撃から逃れたショウリンはタツヤ族。しかもドレーナの息子だ。

 何かしらの対策はとれるはず…!!

 

 

 「!!そうだ!! ショウリン、ドレーナに…、ママに接触できそう?何とかしてドレーナの”魂”に話しかけてみるとかして…」

 

 

 「…ダメだと思う。さっきからママの霊子を眼で視ているけど、全然カバルレと離れる素振りもないし、ずっと眠っている感じ。

  あの相子弾もママに伝わるかなって、撃ってみたけど、カバルレに吸い込まれただけだった…。」

 

 

 「そっか…。じゃ、『マテリアル・バースト』を止める術は…。」

 

 

 「くろちゃん、ショウリンに『マテリアル・バースト』が発動されたと同時に、こちら側も『マテリアル・バースト』して相殺すればいいんじゃない!?」

 

 

 「だめだ、それは。還って被害が大きくなる。」

 

 

 相殺案を出した御神の提案をすぐに却下したのは、ホームズだった。

 

 

 「相殺すると言っても、この地下では、衝撃を吸収できないし、逆に倍以上の威力を発揮する事になる。それにその『マテリアル・バースト』を発動するのは、他でもないショウリン自身だぜ? 不安定なままで発動できるほど戦略級魔法を甘く見ない方がいい…。」

 

 

 深刻な声色で語るホームズにROSEのみんなは黙りこくる。

 

 

 そんな中、一人だけ目を瞑り、手を合わせ始める…。

 

 

 「いったいどうすればいいの…? もう私達の相子もさっきのでほとんど使い尽くしちゃったよ…。」

 

 

 hukaの悔しそうに唇を噛み締め、掌を強く握る姿に言葉が詰まるROSE。

 

 先ほどのカバルレへの攻撃で渾身の一撃とも言える力をぶつけた。しかし、まさかの復活でそれは霧散した。

 

 

 そして今は、『マテリアル・バースト』の危機が訪れようとしていた。

 

 

 

 『”……モウセイコンツキタラシイナ!! ナラ!!コレデサイゴトシヨウ!!”』

 

 

 

 

 

 再び『マテリアル・バースト』を発動するために、展開していくカバルレ。しかし、今回は、ショウリンも『術式解体』する相子が尽きてしまい、無効化ができない。

 

 高笑いで見下ろし、勝利の笑みを浮かべるカバルレがついに戦略級魔法『マテリアル・バースト』を発動する…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ROSEのみんなは、最期の瞬間を感じ、せめてみんなと共に…と、全員で手を繋いで、心の一つにしてその時を受け入れた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ズトオオオオ~~~~~~~~~~ンンンン!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 物凄い爆発音と熱風が襲い掛かる。

 

 

 

 身を焦がすかのような暑さが肌に感じる…。

 

 

 

 

 

 …………

 

 

 

 沈黙が続く…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…………あれ? 」

 

 

 「…………生きているにゃ?」

 

 

 

 閉じていた瞼をゆっくり開け、自分が生きている事を徐々に実感していく。

 

 全身を見渡して異常がないか確認していく。

 

 

 「…どうして生きているんだ?」

 

 

 「私たち…、確かに物凄い熱さを感じたのに。」

 

 

 身体に感じた熔ける感覚ははっきりと覚えている。しかし、まったく皮膚が焼けて破れているとか、骨だけになっているとかではない。それどころか火傷一つもないのだ。

 

 不思議に思いながら、辺りを見渡し、そこが自分達がさっきまでいた現世と変わらない事を認識する。

 そこで自分達がまだ現世にいるのだと地面に足がついていると理解した。すると、なぜか上空から呻き声が聞こえてきて、顔を上げる。

 

 

 そこには、とんでもない光景があった。

 

 

 

 

 なんと自分達とカバルレとの間に大きな炎の不死鳥の姿があり、地下都市の上空に開いた大きな穴から朝日が入り込み、その朝日が不死鳥に輝きをもたらす。

 

 

 そして、その不死鳥が威嚇する先には、…炎の剣で胸を突かれているカバルレの姿があった。

 炎の剣を抜こうと腕に力を入れ、引っ張るが一向に抜ける気配がない…。

 

 

 「これは一体…?」

 

 

 くろちゃんが呆気にとられて、ぼそりと呟く。

 他のみんなも同様に、状況に理解が追い付けない。

 

 

 

 茫然自失になっていると、カバルレの炎の身体から背後に大きく炎が立体を作りだす。その姿は、ROSEも知っている、既に仲間だと思っている人物……。

 

 

 

 

 

 「………っママ~~~~~!!!」

 

 

 

 そう、ショウリンが叫んだとおり、その姿はドレーナだった。

 

 

 炎で立体になったドレーナは、愛おしそうに優しい笑顔でショウリンを見つめた後、真剣で目を鋭くし、闘いの顔になる。そして、ROSEに語りかける。

 

 

 『また逢えてよかったわ。ショウリンの相子弾のお蔭で、私は目を覚ます事が出来たのよ。』

 

 

 それを聞いて、全員がカバルレの魔法式を吹き飛ばしたあの相子弾を思い出した。

 ショウリンの願いがドレーナの”魂”を呼び起こしたのだ!!

 

 

 『でも…、あまり時間がないわ。 今はこの馬鹿を抑えるだけで精一杯なの…。

  …本当はこの馬鹿が私を吸収し、私だけに力を求めたその時…!

  道ずれに私の”魂”ごと消滅させるつもりだったのだけど…、それまでにかなりの魔力を使われちゃって…、それは叶わなくなっちゃったわね。』

 

 

 「…自分も消滅するという事は、”魂”が天に帰らないという事だぞ!?」

 

 

 暁彰がドレーナの”魂”に話しかける。その言葉に他のみんなも強く頷く。

 

 

 『…それが私の”償い”なの。私が今まで人を数えきれないくらいに殺してきたわ…、いえ、消してきたと言った方がいいかしら?人として”死”を与えるのではなく、生きていたという証も残す事なく、”存在”ごと消してきた私のは、天国に行く道は今更似合わないわよ。

  それに”魂”が導かれるのは、地獄の方でしょ。それなら、”魂”ごと消滅した方がいいわ。』

 

 

 「そんな寂しい事を言うな…。仲間が安らかに眠ってほしいと思う気持ちも抱いてはいけないのか?」

 

 

 『……その気持ちを持ってもらえるだけで嬉しい…と思うわ。私には感情というものがあまりないけど、温かみが感じられたわ。それだけで私には十分よ。

  私の最期は、私が決めるわ。それくらいの”自由”はいいでしょ?』

 

 

 そう微笑むドレーナは、辛そうでいて、縋っているような表情だった。

 

 

 それを見て、みんなは…ショウリンも含めて、もう反論はしなかった。その代わりに一言…。

 

 

 「大丈夫…、ドレーナが消滅したとしても、私達の中から消えはしないから!!」

 

 

 代表でくろちゃんがそう告げながら、涙をこぼす。

 

 

 

 『……ありがとう。』

 

 

 ドレーナが礼を言うと、再び闘いの表情になり、炎の腕をカバルレの首に持っていき、絞めながら攻略法を語る。

 

 

 『いいかしら!?

  今、私がこの剣でこの馬鹿の中核ともいえる場所を刺しているわ…。後、私が身体のコントロールも支配しているけど、長くはもたない…。

  だから、その間に私もろとも、この剣が胸に目掛けて最大魔法を撃ち込んで頂戴!!

 

  そうすれば、カバルレが原形を留める事が出来ないようになるわ!! その後、私が馬鹿の”魂”を分解する…!!』

 

 

 

 「…分かった!!」

 

 

 

 ドレーナの強い願いにくろちゃんが承諾し、CADに手を翳す。しかし、その手をちゃにゃんが掴み、止める。

 

 

 「ちょっとまってにゃ!! もう私達に力は残っていないにゃ!!

  このままでは、カバルレを倒す事は難しいにゃ!!」

 

 

 「あっ……!!」

 

 

 

 そうだったと呟き、肩を落とす。全員で力を合わせても、それほどダメージは与えられないだろう。

 

 

 困り果てたROSEにリテラが声を掛ける。

 

 

 「…大丈夫です!! そのために私がいます!!」

 

 

 

 

 リテラにみんなが視線を向けると、リテラがまた純白な光を放出し、神がいるのかと思った。

 

 

 

 「私の魔法で、皆さんに力を与えます…。みんなで一つに…。」

 

 

 

 そう告げたリテラから光が解き放たれ、ROSEのみんなやオドリーにその光が宿る。温かくて、包み込んでくる光のお蔭でみるみる力が湧いてくる…!!

 

 

 

 「これなら…!!」

 

 

 拳を握りしめ、自分達の力が一気に沸き起こる感覚を意識し、くろちゃんが大声でみんなに叫ぶ。

 

 

 

 

 

 「心を一つに…!!!!! 」

 

 

 

 

 

 

 みんなが手を繋ぎ、魔力を高め、みんなの力を結集させていく。

 

 

 みんなの頭上に大きな相子の塊がどんどんみんなの力を吸収し、更に大きくなっていく。

 

 

 そして、その相子の大きな塊が輝きを放ち、相子の花が今、咲き開く。

 

 

 

 

 

 綺麗に咲いた薔薇が朝日を浴びて、更なる力を溜め込む。

 

 

 

 

 

 

 

 そして………!!!

 

 

 

 

 「くらえ~~~~~~!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「「「「「「「「「「「「「「ROSE究極奥義『ローズ・グリッター・バースト』!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 みんなで叫び、ついに相子の薔薇がその力を解放する…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 薔薇の棘でカバルレを捕え、物凄い光のレーザーがカバルレに迫る。

 

 

 

 

 『”ヤメロ~~~~~~~~~~~~~!!!!!”』

 

 

 

 

 カバルレの悲鳴と同時に、カバルレに純白のレーザーが炸裂する。

 

 

 身を焼き尽くされながらも、消滅していきながらも…、カバルレは自分の負けを認めない。

 

 

 『”オレガマケルカーーーーッ!!!!!キサマラカトウセイブツナンカニマケルオレデハナーーーイ!!!!!

  ゼッタイニユルサンゾオオオォォォ………!!!!!”』

 

 

 

 

 そう、最後まで恨み事を口にして、身体が消滅した。

 

 

 

 

 

 そして、炎に包まれた”魂”二つが打ち上げられ、花火のように無残に散ったのであった……。

 

 

 

 

 

 

 




やったああ~~~~!!!

カバルレついに倒れた~~~!!

この日をどれだけ待った事かああ~~~!!


でも、ドレーナがカバルレを冥界へとに連れて行ったな…。うう!!

ドレーナはカバルレをこの手で仕留めたがっていたから、その願いは叶えられてよかったけど、辛いよね…。うおおお~~~~~んん!!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。