魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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カバルレのくせに~~!!
そして、やっぱり外道だわ!!


カバルレとの決戦(seventh)

 

 

 

 

 「どうして……? どうして、生きているの!?」

 

 

 「あれだけの羞恥…じゃなくて、攻撃を受けておいて無事なんておかしいにゃ!」

 

 

 「……カバルレのくせに~~!!」

 

 

 「そうだ、そうだ!! カバルレのくせに~~!!」

 

 

 本来なら、実力ある魔法師でも、相当堪えるダメージを与えたのに、それを物ともしないかのように笑みを浮かべて、カバルレは経っていたのだった。

 だから、ROSEが文句を言うのは仕方ない。…カバルレのくせに!!

 

 

 『”カ~~~~~~~バッバッバッバ!!!!!

  コノオレサマニハ、センタイモノマリョクヲジユウニツカウコトガデキルノダ!!

  キサマラノコウゲキヲフセグコトナゾタヤスイワ!!

  …ナニヨリコイツハヨクハタライテクレテオルシナ!!!”』

 

 

 ニヤニヤと笑いながら、自分のお腹を擦り、意味ありげに強調する仕草に、tokoが眼を向けると、驚きを見せた。

 

 

 「あそこに…、ドレーナの”魂”がいる…。

  しかも、常時…、カバルレの引き金になるように…、相子のパイプを自分と繋げている…。」

 

 

 「それはつまり…?」

 

 

 「…つまり今、カバルレとドレーナの”魂”は連動している…。精魂リンク…、して一体化しているんです…!!

  だから…」

 

 

 「そんな…!!」

 

 

 

 悲痛な叫びがROSEの中で広がる。

 

 

 tokoの説明通り、取り込まれたドレーナの”魂”が他の”魂”より強く精魂リンクされているため、カバルレの能力を最高点にまで引き上げているのだ。

 カバルレの攻撃が正確なのも、動きを先読みできるのも、全てドレーナの能力を使用していたからだ。

 それに、ROSEの『冷却領域』で凍らせた時も、あの一瞬で体内温度をドレーナの得意の加熱魔法で冷えた身体を温め、全身に情報強化を加えた上で更に、炎の膜を張ったため、氷漬けにはならなかったのだ。

 ただ動けなかっただけである。

 そこにROSEの攻撃で氷が破壊された事で自由になったという訳だ。

 

 ちなみに、カバルレの腕が斬りおとされたりしたが、ドレーナの『再成』と元々の再生能力が合わさって、すぐに元通りに復元されていた。

 

 

 だが、まだこの話には続きがある。

 

 

 「精魂リンクしているから、カバルレとドレーナの”魂”を斬り外す事は出来ないです…。

  一体化してしまった以上、解放する事もできません。

  …だから、カバルレを倒すという事は、ドレーナの”魂”ごと倒すしかないんです。」

 

 

 「…それって、ママがあいつと一緒に地獄へ落ちるって事?」

 

 

 「………その通りです。」

 

 

 「…いやだよ~~~!! ママはすっごくカッコいい、魔法師だよ!?

  ママを返してよおおお~~~~~~!!!」

 

 

 tokoの話を聞いていたショウリンが涙を流し、カバルレに小さな瓦礫を投げつける。しかし、その瓦礫がほとんど届く前に地面に落ち、届いたとしても、弱々しく足に当たるだけで、カバルレは驚喜的な笑いをするだけだった。

 

 

 「…あの外道のカバルレが考える事だ。

  こうして、精魂リンクをしておけば、ドレーナの莫大な魔力や魔法を自由に使え、自分を有利にする一方、俺達には、ドレーナを人質に取られたものだから、下手にカバルレを倒せない…、不利にさせられる。

  …この上ない切り札って事とこか。」

 

 

 暁彰がカバルレに殺気を帯びた視線を投げつけながらtokoの説明に付け加える。

 

 

 

 「じゃあ…、どうすればいいの?」

 

 

 「このままじゃ…」

 

 

 るーじゅちゃんとし~ちゃんが乙女の涙を流して、みんなに問いかける。

 

 

 しばらく沈黙が続くが、そこを攻撃しない訳がないカバルレが追い打ちをかけるように、炎の咆哮をROSE達に解き放つ。一旦散って、カバルレの咆哮から逃げるROSE。カバルレは散ってゆくROSE達を更なる地獄へと脅かすために、地下都市全体に炎の咆哮を放ちまくる。

 辛うじて建っていた家屋たちも焼け焦げて、崩れ倒れていく。そして地下都市は炎で辺りを埋め尽くし、地獄と化した。

 

 完全に怪獣となったカバルレは、足を一歩前に出して、巨大な身体を動かす。

 

 地下都市を練り歩くカバルレの目指す場所は……、

 

 

 

 

 

 

 

 「!! まずい!! あいつ!! レストレード達がいる避難場所に向かっている!!」

 

 

 「ドレーナの『精霊の眼』で、レストレード隊長たちを見つけたんだ!!」

 

 

 「私達をどん底に落とそうって魂胆だにゃ!!きっとそうに違いないにゃ!!」

 

 

 「早く止めないと!!」

 

 

 

 カバルレが向かっていた先には、レストレード達が避難していた。

 

 

 それを『精霊の眼』で視野を広くしてカバルレの攻撃から身を守り、みんなにも合図を出していたミナホが気づき、通信でみんなに知らせる。

 カバルレの進撃を止めるため、ROSEは攻撃しながら、カバルレの足を止めようと一斉にカバルレに飛びかかる。

 

 

 しかし、カバルレの鋭いくねくねとした尾に阻まれ、なかなか近づく事が出来ない。

 

 

 

 同じ頃、カバルレの進撃に気づいたレストレードが隊員たちを動かし、障壁魔法を展開させて、一か八かの賭けに出ようとした。

 

 

 (ここであの化け物にやられてたまるモノか!!

  なんとしても、この者達…、部下達を私が守らなければ…!!)

 

 

 恐怖に支配されて、逃げ出したくなりそうになる自分を己の信念でねじ伏せ、カバルレが向かってくるのを見続ける。

 

 

 

 

 

 そして、カバルレがあと数歩で到着するという時、カバルレの後ろから雷撃を帯びたレーザーのような鞭がカバルレの身体を縛り上げる。腕も一緒に縛られ、進撃を止めた。

 

 カバルレが怨めしそうに見つめる先には、ROSEのみんなが大きな縄を引っ張っているかのように、レーザーの縄を持って、力いっぱいに引っ張っていた。

 

 雷撃も帯びていて、動きが鈍くなったカバルレは、唯一動かせる足でROSEを踏み殺そうとし、片足を踏み上げる。

 

 

 

 「今だよ!!!!!」

 

 

 

 その瞬間、くろちゃんの合図で、みんなが自分に掛けた移動系統魔法での高速疾走と軽くしたレーザー縄を思い切り引っ張り、巻きつけて縛られていたカバルレの身体が回転し始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「「「「「「「「「「それっ!!『あ~~~~れ~~~~~~!!!』」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 




ぷふふふふ!!!!!

見事に殿様あ~~れ~~に引っかかったカバルレだ!!

笑えるね~~!!

でも、ドレーナが~~!!どうするんだ!!ROSE!!

*明日は、体育の日だから、番外編だぜ!!…いつも通りまたROSEが騒ぎ放題になること間違いなしだから、存分に笑ってやってください!!

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