「これで終わりなんて思わないでよね!! お楽しみはこれから!!」
くろちゃんの言葉に、待ってましたと言わんばかりの笑みを浮かべるサガット、御神、ホムラ、ホームズ、huka達前衛チームは、ミラクルレアの魔法式を構築していく。なかなか手に入らない魔法式だけに、通常の魔法式やレアな魔法式より威力も効果も格段に高い。確実に仕留めるために、タイミングを合わせる。
『”オノレ~~~~~~~!!!!!”』
凄まじいほどの『サイクロン・レイン』に片膝を付いた形にされているカバルレは、鋭く尖った歯を剥き出しにし、咆哮となった怒声を正面に放つ。
たかがちっぽけな魔法師のくせに、そのROSEの反撃によって、自分が”膝を付かされている”状況に、絶対的存在だと自尊しきっているカバルレのプライドが、ズタズタに、斬り付けられた感覚を覚えた。その許しがたい感覚が全身に感じ取らせていた。
激しい怒りに身をまかせたカバルレは怒りの咆哮を正面に向けて放つ。
それがなんとあの『サイクロン・レイン』の突風の結界に穴を開けたのだ。すぐにカバルレは腕を差し入れ、脱出を試みた。この出来事にはくろちゃん達も驚き、慌てて威力を上げる。それにより、突風の結界の外に出していたカバルレの腕は斬られた。間一髪で難を逃れたため、くろちゃんは軽く息を吐き出す。
一方でカバルレは、腕の再生に時間を取られ、以前より治りが遅い事に気づく。腕も飛ばされてから戻ってこない。仕方ないと新たに腕を作り替える。傷口がもじゃもじゃと気持ち悪い動きで腕を再生する様は反吐がでそうだった。しかし、あいにく突風の結界でROSEは見なくて済んだが。
斬り飛ばされた腕は、カバルレの支配から外れて地面に落ちていた。
その腕にリテラが手を合わせる。すると、リテラの手が純白に光りだし、その光を宿した手でカバルレの瘴気の腕に触れる。リテラが『ピュア・シャイン』で浄化した事で、腕から数名の”魂”が天高く舞っていく。
解放されて、天国に向かって行く”魂”達をROSE達は見送り、一気に勝負をかける。
「うん!!みんな、行くよ~~~~~!!!!!」
くろちゃんの合図で、tokoとオドリーが『冷却領域を』を発動させる。
『サイクロン・レイン』を浴びていたカバルレは、全身に寒気を感じる。何か起きたかとふと足元を見ると、地面だけでなく、自身のふくらはぎまで凍りついていた。
『”コレハ…!!!”』
驚き、声を荒げると、白い息までもが自身の口から吐き出される。そして、寒気と共に、苦痛を全身に感じた。
それもそのはず、『グラビトン』の効果で鋭い雨の散弾を受けていた所に、カバルレの周囲の振動、運動エネルギーを減速させ冷却しているのだ。雨の散弾も例外ではなく、冷却されて氷柱と化した。その氷柱化とした散弾がカバルレの巨大な身体に無数に突き刺さっているのだ。
しかも、その氷柱を暁彰が『精霊の眼』で点穴を確認しながら、刺激を与える点穴に刺さるように、tokoに指示して移動系統魔法で針治療の裏バージョンで攻撃したのだった。
点穴を突かれた事で、身体が思い通りに動かないカバルレにさらに、オドリーが追い打ちをかけるように、広域冷却魔法『ニブルヘイム』を繰り出す。
それにより、全身に暴雨を受けて冷え切っていたカバルレは、領域内の物質を比熱、相に関わらず均質に冷却される事で、身体は凍りついていく。
『”クソガ~~~~~~~!!!!!”』
既に手足が凍りつき、動けない。尾も『サイクロン・レイン』での突風から身体を支えるために地面に差し込んだまま、凍りついていて、氷を叩き落とす事も出来ない。
ただ凍りつくのを黙って見届ける事しかできなくなったカバルレは最期の言葉としては笑え……、浅はかな言葉を叫び、完全に凍りついた。
もはや、氷の巨大な像と成り果てたカバルレを目で捉え、ROSEのみんなは思わずガッツポーズをとった。
ざま~~見ろ!!
コンビネーション攻撃を甘く見過ぎだぜ!! 力を合わせればお前なんか倒れるのさ!!
さてと、最後の止めを刺して…………