でも、謎が一つまた明かされる~。
「……ああ、君のその感情は最もだな。俺も君と同じだから、その気持ちは理解できる。」
「そうでしょうね、なら私があなた達ROSEに憤りを持っている事も理解しているでしょ?死んでいたにしろ、あなた達はあの人の身体に傷をつけたのだから…!」
放出された相子の嵐が周りのものを消し去っていく。
「もちろんだ、だがそれと同時に君がすぐに手を下さなかった事も知っている。」
ドレーナの怒りを当然と受け止め、ドレーナに歩み寄っていく暁彰。
「あの時、君はすぐにショウリンの無事を眼で把握した。そしてそれと同時にこの状況も理解した。だから、俺達の消滅を後にし、君の夫を殺した真犯人の元へと戻り、全てを知った。
すぐに殺したいが、潜入中のため、表立って動く事が出来ない。そこで、君は賭けをする事にした。
…いずれ乗り込んでくるであろうROSEにカバルレの威厳を壊してもらおうと。
それが達成できたら、ショウリンに逢えるって。
そして、もう一つ…。もしもの場合、ショウリンの面倒を見てくれる人がいないといけないから、俺達ROSEの力量と納得、安全性を試す事も考えた。
だから、くろちゃん達を先に行かせるという俺の判断に乗ったんだ。」
「その通りよ、暁彰…。でも少し違うかしら?今でもあなた達の事は許せないわ。でも、それと同時に感謝もしているわ。
あの人は救えなかったけど、ショウリンは助けてくれたもの…。複雑な気分だけどね。
でも、今はこれでよかったと思っているわ。
私ね…? あなた達がこの本部棟に入って来る前からずっと視ていたの。そしてあなた達がどうやってトラップを乗り越えてきて、私の元へたどり着いてくるか。楽しみにしていたわ…。」
「…それで結果は?」
真剣にドレーナの話に耳を傾け、問いかけた暁彰。
暁彰の視線を受け、ドレーナも真剣な表情で、暁彰と同じく一言で返事をした。
「…あの子をお願い。」
そう言うと、ドレーナは暁彰に頭を下げ、ショウリンをROSEに預けるつもりだと態度で示した。
「…本当にいいのか? 君の唯一の感情を向ける最後の相手だぞ?」
暁彰は、ドレーナが自分達、ROSEを認めてくれたことに安堵するが、同じタツヤ族出身という視点で言うと、切なく感じる。
「いいのよ、これで。あの子には私の正体を知ってしまったのでしょ?
SAMAでは、身内に自分の正体が知られた時は、姿を消す事になっているのよ。これでも私は悪に染まりすぎた者を徹底的に排除する冷酷非情の魔法師なんだから。
あの子とこれからも一緒に暮らすなんてできないわ。」
「…ショウリンはそんな事、気にしていないと思うが?」
「ふふふ…。言わなくても分かっているでしょ?
これ以上あの子が踏み込んでいい世界ではないわ。
それに…、私にはまだしないといけない事がある…!!」
そう告げるドレーナの瞳には身を焦がすような熱い炎の幻覚が見えた。
ドレーナがショウリンを手放す事を決心しました…。
苦渋の決断の裏にある物とは…。