魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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リテラ・ショウリンVSカバルレ…。

早くROSEのみんな、復活してくれ!!




まさかの救い人

 

 

 

 

 カバルレの凄まじい咆哮が、リテラとショウリンを襲う。

 

 

 二人は、慌てて左右に地面にダイブする勢いで、間一髪避けた。しかし、スレスレで咆哮を避けたため、咆哮による爆風を浴び、前のめりに転がって倒れる。

 

 

 「いった~~!! 膝擦り剥いちゃったじゃないですか~!!」

 

 

 「………ううううぅぅ~~~!!! ひっく…。」

 

 

 避けた結果、膝からジワリと血が出る怪我をしたリテラがカバルレに文句を言うのと対照的に、ショウリンは泣くのを必死に唇を噛んで、堪えている。どちらが大人なのかっと突っ込みを入れたいところだが、無事に難を乗り越えた事で、安堵する。

 後ろを振り返るまでは…。

 

 安堵して振り返ると、咆哮がもたらした爪痕が轟々と残っていた。

 

 コンクリートの床は抉られ、咆哮の通った道を作り上げていた。そしてその先には、大きく穴が開いた壁から外の風が舞い込んできて、地下都市が広がっていた。

 

 

 (…あれを受けていたら、跡形もなくなっていましたね…。)

 

 

 もしも咆哮を受けていた際の自分が頭を巡り、顔色が悪くなるリテラは、みんなが復活するまで持たす事が出来るかが心配になってきた。

 今更になって、身体が震えはじめる。震える身体を自分自身で抱きしめ抑え込もうとするリテラの目に、幼い子供のショウリンがカバルレに立ち向かっているのが映る。

 

 その背中がまだ震えていて、小さいけど、とても力強く真っ直ぐな背中だった…。

 

 

 「お、おまえなんかに僕は負けないぞ!!

  僕だって、ROSEの魔法師だ!! 僕にやさしくしてくれたみんなをいじめるおまえなんかに…、これ以上、きずつけるな!!

 

  ぼ…、僕が相手になってやる!!」

 

 

 足が震えながらも、仲間を守りたいという熱い思いを持ち、闘っているショウリンの姿を見て、諦めそうになっていた自分を諭された感覚を噛み締め、苦笑する。

 俯き、目を閉じ、しばらく黙考すると、目を開けたリテラの表情にはもう不安は一切感じられなかった。

 

 

 「私も相手になって差し上げます!! ここで貴方を放っておく訳にはいきませんからっ!!」

 

 

力強く踏み出して立ち上がったリテラは、腰に装着していた折り畳み式の弓を起動させ、大きく反った弓をカバルレに向け、弓を引く態勢になる。

 この弓は魔法アイテムで、弓を媒介として、魔法を放つ事が出来る。主に射撃用の攻撃魔法だが、このアイテムのメリットは、発動する起動式を弦とし、その弦を引いた強弱で魔法の干渉力を調整する事が出来る事だ。

 その弓を愛用するリテラの右手は既に起動式の弦を耳の裏まで引っ張った状態で、獲物を捕らえる瞳でカバルレと対峙していた。

 

 二人のめげない態度にカバルレが怒声を叫ぶ。

 

 すでに言葉が発せられないほど、理性を飛ばしていて、カバルレも二人を獲物としか見ていなかった。

 

 

 『”ヴォォォォォォ~~~~~~~~~!!!!!”』

 

 

 怒りの雄叫びを上げ、カバルレは腕を大きく振り上げ、『鎌鼬』を連続で攻撃する。それをリテラが放った『イレギュラー・アイ』で相対させて撃ち落とす。ショウリンも覚えたての『術式解散』を駆使して、リテラを援護した。

 しかし、次々と降り注がれる『鎌鼬』に、リテラが苦戦してきた。得意のレーザー魔法でカバルレの攻撃を相対させているが、一向にパワーもスピードも衰えない『鎌鼬』を撃ち落とすのに、リテラも同じパワーとスピードで対抗しないといけないため、予想以上の干渉力の強さでスタミナが尽きかけていた。

 

 そしてそれは必然か…。

 

 ついにリテラだけでは捌ききれなくなり、撃ち溢しが目立ち出した。

 リテラが撃ち溢すという事は、援護に回っているショウリンに負担がかかるという事。慣れない魔法に連続で対抗していたショウリンも、既に限界に近づいていた。

 

 リテラにもそれが分かり、挽回しようと力を込める。それでも足りずにとうとう二人で捌ききれず、二人に向かって撃ち溢した『鎌鼬』が迫ってきた。

 

 リテラはとっさに弓を弾いて、複数の焦点を結んで発動する障壁魔法陣を展開し、防御を取ったが、真正面に受け、しかもスタミナが少ない中での魔法行使だったため、『鎌鼬』の威力を抑えるだけで、粉々に障壁魔法陣は砕かれた。

 

 障壁魔法陣を貫いた『鎌鼬』は二人に向かい、リテラはショウリンの身体を突き飛ばす。

 

 

 「リテラさ~~~~~ん!!!」

 

 

 突き飛ばされたショウリンは、リテラが『鎌鼬』をその身に受け、後ろに飛ばされる姿を目の前にした。

 『鎌鼬』の衝撃で飛ばされ、地面に倒れ込んだリテラは、受けた所から血がうっすらと服を通して滲み出てきていた。

 

 

 リテラに突き飛ばされたことで、『鎌鼬』を受けなかったショウリンは、慌ててリテラに駆け寄ろうとした。

 

 

 「リ、リテラさん!! 大丈夫!!?………ぼくをかば」

 

 

 「!!! ショウリン君!!危ないっ!!逃げてっ!!」

 

 

 リテラは苦痛の表情の中、目を見開き、叫んだ。

 

 

 「えっ…?」

 

 

 ショウリンがリテラの視線の先を追って、後ろへと振り向くと、カバルレの尖った悪魔の尾がショウリンに真っ直ぐに向かってきて、貫かんとしていた。

 更に、カバルレの怨念が具現化したというしかない人型の亡霊が一斉にショウリンへと突進していた。

 

 

 目前にまで訪れた恐怖に足がすくみ、ショウリンは目を瞑った…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 グサッ……!!!

 

 

 

 ……………ぽたっ、…ぽたっ、…ぽたっ

 

 

 

 

 

 

 ショウリンは、自分に想像した痛みが来ない事が不思議に思い、瞑っていた目を恐る恐る目を開けた。

 

 

 すると、自分を覆っている影が床に映っていた。

 

 

 その影の正体を追って、視線を動かす。

 

 

 

 

 そこには、ショウリンが最も逢いたかった人が立っていた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「マ…、マ…………?」

 

 

 

 




ショウリンを助けた人がママだったとは!!

しかし、気になるな~~!!誰がママだ!! …でも明日はハンカチ持参する必要がある…そんな予感がする

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