魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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ちょっと…、え!!
タイトルから物凄い邪悪なオーラが漂ってくる!?

カバルレ外道の域を……!!!  いや~~~~~!!!


君の隣には…!!

 

 

 

 

 カバルレの初恋の女性は、待ち人の男性に満面の笑顔を向け、楽しそうに何かを話している…。

 

 

 それを傍から見ている男性の野次馬達は彼女の笑顔でノックダウンを受け、失神したり、拝んだりする一方、その笑顔を向けられている男性には、心の中で罵り、恨めしそうに見つめたりと嫉妬の炎で燃え上がらせる。

 

 男性の方の容姿は「まぁそこそこいい感じ」というレベルの顔立ちだが、彼の纏う大人な雰囲気と安心感で、女性にとっては気になる存在として覗き見されていた。

 

 

 野次馬の二人への興味が注がれている中、カバルレは激しい怒りと執念にもなる野望を脳裏に焼き付けた。

 

 求婚をする前に、…というより声を掛ける前に、彼女に男がいる事を知った。

 

 それを目の前で見せつけられ、カバルレはショックを受けた。しかし、そのショックは実らない恋をしてしまった事に対する儚さからではない。

 

 

 (俺の前に突然現れておいて、「俺の隣に相応しい」と、認めてやったのに…!!

 

  この俺のプライドをズタズタにしやがって!!

  

  しかも、あんなどこにでもいるような平凡な容姿の奴にこの俺が負けるだと!!有り得ない!!

  彼女に相応しく、また釣り合えるのは、世界でこの俺ただ一人だけだ!!

  お前は生き埋めになるなり、八つ裂きにされるなり、海の魚のエサにでもなりやがれ!!

 

 

  ………それは、いい考えだな…。 自分で考えてみたが、これは実にいい考えだ!!

  あの男をこの世から消してしまえば、彼女は私の物だ…!!

 

 

  ああ…、”オドリー”…だったな? 

 

  オドリー…、君はもう俺のものだ…!!)

 

 

 ……勝手に一目惚れしておきながら、叶わぬ恋を自分にさせられ、プライドを傷つけられたという嫉妬と怒りでショックを受け、その反動から彼女の恋人を殺害する計画を立て、自分の恋を成就させようと思考を闇へと沈めていった。

 

 

 そんな野次馬達とは大分違った観点から見て、横恋慕の横車を成功するべく、狂気に満ちたカバルレは、少しの会話をしてから、公園を去ろうとする二人を尾行し始める。

 

 

 

 

 

 

 

 ……それからというもの、カバルレは彼女…、オドリーの身辺をうろつく様になった。生活習慣やちょっとした癖等もオドリーを尾行し、又は真向いの家を借りて、窓から細かく観察し、オドリーのあらゆる行動を常にチェックした。

 

 

 (くっくっくっく…!!! すべては俺との将来のためなんだよ、オドリー…。)

 

 

 覗きスコープで毎日、オドリーを観察し、益々オドリーの魅力のとりこになっていくカバルレ…。

 もう、ストーカーの域を踏み越えており、一歩間違えば、人を殺めかねない域にまで達していた。…いや、オドリーのストーカーになる前から、新魔法や新魔法アイテムでの実験で、データを収集するために過激な実験を何度もしているカバルレには、自分以外の人間がどうなろうと気にせず、息の根を止めることができるだろう。

 

 

 ストーカーと成り果てたカバルレは、そんな危うさが秘めていた。

 

 そして、オドリーとまだ会話をしないまま、執念の愛を深める一方、オドリーの恋人であるセイヤの存在がカバルレを身勝手な嫉妬、怒り、憎しみ、殺意…を高める。

 

 

 

 

 今、カバルレの目の前には、二人で同じテーブルにつき、紅茶とケーキを上品に口にするオドリーと同じ紅茶の入ったカップを持ち、美味しそうにケーキを食べるオドリーの顔を見て、微笑むセイヤが仲睦まし気にほののんな世界を二人で作り上げていた。

 

 

 カバルレは地団駄を踏みたいのを堪え、苦々しさを込めた鋭い視線をセイヤに向ける。

 

 

 そうしていると、オドリーが椅子をセイヤの方に近づけて、自分が食べていたケーキを一口分フォークで切って、セイヤの口元へ近づける。カバルレはその光景を見て、羨ましく感じると共に、その相手であるセイヤには殺意を募らせるのだった。

 

 オドリーにいわゆる『あ~~ん♡』をされたセイヤは仕方ないなというように微笑して、ありがたくケーキを食べた。フォークでの間接キスをして、逆にオドリーの顔が真っ赤になるのを、カバルレは拳を強く握り、身体を怒りで震えさせた。

 

 

 

 そんな二人の甘い世界を傍から見た(見せられたんじゃ!!)カバルレは…

 

 

 (殺す、殺す、殺す、殺す!!

 

  あの男、俺のオドリーに色目使いやがって!!←(使ってないから)

 

  オドリー…!!目を覚ませ!! 君の隣には、俺がふさわしいと出会った瞬間から既に決まっている!!

  今は君のすべてを知りたくて、君の浮気も寛大に見てあげているだけだからな!!

 

  いずれ、その男を君の前から永久に消して、君を迎えに行くから…。

 

  待っていなさい!!)

 

 

 

 そう、心の中でセイヤと楽しく会話して、笑っているオドリーに、狂気にまみれた殺伐とした笑顔を浮かべて、語るのだった…。

 

 

 

 




止めて!!

怖い!!

カバルレ、もう完全に逝ってるじゃん!!? 自分の都合のいい解釈しているよ~~!!
怪談話の聞くよりも怖いよ~~!!
鳥肌がやばす~~~~!!!

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