魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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目の前で裏切り宣言されたからな…。やばい、やばす!!


お前は用済みだ

 

 

 

 

 

 

 「…うん、私もみんなの事が好き…!! 

 

 

 

 

 

 

  みんなのいる場所へ、帰りたい~~~~~~!!!!」

 

 

 

 

 

 

 オドリーの本心からの想いにROSEのみんなはほっと安堵するとともに、オドリーが戻ってきてくれる嬉しさに心が躍った。大部屋が歓喜に包まれ、オドリーを歓迎する。しかし、たった一人だけ歓迎どころか強い念を持つ者がいた。

 

 オドリーがカバルレの腕を払って、みんなに手を伸ばし、駆け出そうとした。

 

 そこへ、腕を払われたカバルレの理性が完全にキレてしまい、腕を瞬時にオドリーの首に巻きつけ、引き戻し、狂気を逸した瞳と笑みでオドリーの耳元で声をかける。

 

 

 「……どうしてだ?オドリー?

  俺のもとをなぜ離れようとする?誰がそれを許した?お前は俺の女だ。俺だけのために生きていればいいのだ!!

  婚約者を失い、絶望の淵にいたお前を誰が救ってやったというのだ!!?お前からはまだ恩を返しきってもらっていないぜ!!なあ~~!!

 

  さぁ!!俺に身体全てを差し出せ!!

 

  お前は俺のものだ!!誰にもやらん!!」

 

 

 「……くっ……し、…締まる……」

 

 

 獲物を目の前にしたハイエナのような瞳でオドリーを凝視し、腕に力を入れていく。執拗な感情をぶつけるカバルレの表情が殺意を持ち始める。

 

 

 「オドリー!!!」

 

 

 くろちゃんがオドリーを助けようと駆け出すが、どこから現れたのか、さっき縛り上げたはずの彫刻達が立ちはだかり、無闇に殺すわけにはいかないと、対処に手間取る。

 

 

 「オドリーよ…。俺と一緒にいると言え。今なら、まだ間に合う…。さぁ、言え!!」

 

 

 「…お断りします。私、ようやく自分の居場所を見つけることができました。彼らといた時、にぎやかで面白くて、楽しくて…、こんなに仲間を大切にする人たちはいないだろうな~って思いました。そしてずっと私が求めていた愛情がここにあるという事も気付けました。私は…、彼らとともにいたいです!!

 

  だから、もうこれ以上、罪もない人々を殺したくはありません。

 

  …今までありがとうございました。」

 

 

 緩んだ腕をほどき、深呼吸すると、謝罪と感謝を告げる。

 

 カバルレが言ったとおり、ある時、オドリーは婚約者を亡くし、精神的ショックで途方もない生活をしていたオドリーを拾って、そばに置いてくれたのだ。その恩人が喜ぶから…、役に立てるならとこれまでいくつもの悪事に手を染めてきた。でも、裏切られてもなお自分を信じてくれる人たちに出会って、自分を大拙にしたいと思った。

 

 恩人から敵へと変わるわけだけど、オドリーの巣立ちにはこれでよかったのかもしれない…。

 

 

 だが、欲深く、執念深いカバルレは冷たい視線をオドリーに向け、言い放った。

 

 

 

 

 

 「……それがお前の答えか。

  俺の元から離れるくらい、ほかのやつらの元へ行きたいのなら、終わらせてやろう!!

  …お前は用済みだ。

 

  さよなら、オドリー…!!」

 

 

 

 

 グザッ………!!!!!

 

 

 

 

 

 オドリーを押さえつけたカバルレは素手で、思い切りオドリーの腹部を刺した。

 

 後ろから刺されたオドリーの腹部からオドリーの血で汚れたカバルレの手が生えてきたかのように見えるほど、カバルレの腕がオドリーの身体を貫通した。

 

 

 

 そのまま、腕を上げ、宙に浮いたオドリーの身体を忌々しそうに見つめ、けがれたものを扱うように、腕を大きく振り払い、オドリーは宙を飛んだ。

 

 

 手についたオドリーの血を舐め、蔑む視線を向ける。

 

 

 「…まさかお前がここまでもろい女だったとはな…。

 

  せっかく、あいつを殺して、苦労して手に入れ、愛でてやったというのによ。とんだ誤算だったな。」

 

 

 「あいつって…?まさか…!?」

 

 

 ホームズが推理する。そしてその結論に、怒りを覚える。もちろん、怒りの矛先はカバルレ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「想像通りだぜ、ホームズ…。俺は、オドリーの魅力に引き込まれ、その時、オドリーの婚約者だったあの男を殺したのさ!!」

 

 

 

 




外道の中の外道!!このカバルレめ!!いい加減にしろよ!!

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