魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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裏切りの裏切りって…、結局裏切りか!!?

誰だ?てか、なんで裏切るんだよ~~!!



裏切りの裏切り

 

 

 

 

 

 

 「おのれ~~~~~………!!!」

 

 

 怒りが溢れるカバルレ遠くからでもよく聞えるほどの唸り声を上げる。

 

 はらわたが煮えぐり返る怒りを殺意に変え、荒々しく息をして、ROSEを睨み付ける。その時、ROSEの心を更に壊す方法を思いつくのだった…。

 

 

 「 カ~~バッバッバッバ…!!!

 

  いいぞ、実にいい…!!最高だぞ!! お前たちのその仲間思いが崩れる様が目に見えるわっ!!

 

   カ~~バッバッバッバ~~~、カバババババババ!!!」

 

 

 突然笑い出したカバルレにROSEは首をひねる。先ほどまであんなに自分たちに殺意丸出しの視線をぶつけてきていたというのに、いきなり可笑しそうに笑い出したのだ。ROSEとしては真剣な表情でいつでも攻撃でき、防御もできるように臨戦態勢の準備はしているというのに、大笑いされては、カバルレみたいな外道にバカにされた気分になって、腹が立つのは言うまでもない。

 

 

 「「何笑っていやがるんだよ!!」」

 

 

 「…さっきから上からものをいう態度も気に食わない…。」

 

 

  ・        ・         ・

 「気持ち悪いから…。もうやめてほしい…。お願いだから…。」 

 

 

 くろちゃんとホムラが苛立ち突っ込みし、白い目でし~ちゃんとペンダゴンがつぶやく。他のROSEの女性陣も同様に、カバルレに白い目を向け、ドン引きする。

 

 

 

 

 

 「……キモ男だね。」

 

 

 

 

 そして、最後にミナホが止めの締めを口にする。

 

 

 カバルレはそれを聞いて高笑いを止め、カエルを見るみたいなヘビの眼で見つめる。

 

 

 「この私に、そんな口を利くとは…。

  死ぬくらいの痛い目に合わないと私の美しさと栄光がわからないと見える…。

  全く…、私は女好きだが、この私を称えない者に用はない…。

  そして、使えない者もな…。

 

  わかっているだろ?

  ……やれ!!」

 

 

 

 

 

 「誰に言っているのっ………よ……?」

 

 

 

 

 

 ドスッ!!!……

 

 

 

 

 

 突然の背後からの衝撃が伝わり、ミナホの全身に痛みが走り始める。

 

 何が起きたかよくわからなくて、ただ立ち尽くす。だけど、後ろが気になり、祖~~ッと振り向くと、目を疑うような事実が精神的にも現実的にも突き刺さる。

 

 

 

 「ごめんなさい…。あなたとはもう少し話してみたかったですわ…。」

 

 

 

 綺麗な顔をした容姿の女性が感情を失くしたかのような顔で、ミナホに背後から小太刀を突き刺していた。さらに力を入れ、奥へと差し込む。

 

 

 「っふばぁ……」

 

 

 信じられない顔をするミナホが口から吐血する。

 

 

 面識自体はまだそんなにないが、ROSEのみんなからの熱烈な紹介話や人柄を聞いていた。

 

 だから、仲間当然で背中を預けていた…。

 

 

 ミナホが刺されているのを目撃したROSEのみんなは驚愕で開いた口が塞がらなかった。

 

 そしてようやく、自分を取り戻し、くろちゃんが問いかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……どうして…? オドリーちゃん…?」

 

 

 

 

 

 

 

 そう……、ミナホを刺したのは、オドリーだった!!

 

 

 

 オドリーは小太刀を引き抜き、ミナホの血を被り、その場を大きく跳躍すると、カバルレのもとへ優雅に歩き、差し出したカバルレの手を掴み、横に密着して並ぶ。

 

 

 ミナホも足に力が入らず、倒れる。

 

 

 慌てて、暁彰とちゃにゃん、tokoが近寄り、ミナホに呼びかける。ミナホはまだ意識があるが、背中を深く刺され、血が大量に出血していた。暁彰は『精霊の眼』で幸いにも動脈や内臓に損傷がないことを確認し、安堵して、『再成』をミナホに施そうとCADをかざす。

 

 でも、それをミナホが暁彰の手に自分の手を重ね、魔法を留める。

 

 

 「……今、はぁ~はぁ~はぁ~、それを、使ってはダメ…。はぁ~…、まだカバルレとも、一戦交えて、いない状況で、相子を無駄に、してはダメ…、だよ…?」

 

 

 吐血で顔が血で汚れたままのミナホが自分の事よりも暁彰の事を心配して、『再成』の使用を断った。

 

 

 ROSEのみんなは掠れていくミナホの声に、危機感を感じ、持てる限りの治癒薬をちゃにゃんやtokoに渡す。それを受け取り、ちゃにゃんが注射でミナホに打ち込んで、痛みを緩和させていく。

 

 

 視界もぼやけるミナホはまっすぐに暁彰を見つめる。

 

 

 

 

 自分はこのままでいい…。

 

 

 『再成』の対価は精神に直接刺激させる痛み…。それを暁彰に負わせたくない…!!

 

 

 自分よりも今は暁彰の力が必要…。

 

 

 だから、自分の事はこのままでいい…。傷はいずれ塞がるから…。

 

 

 これでも、私もタツヤ族の端くれ…だから。 

 

 

 

 そう、自分の思いを必死に目で伝えるミナホ。

 

 

 確かに、タツヤ族の自己再成はすごいが、ミナホは暁彰みたいに自己再成がうまくできない。傷が治るのも、通常よりもかなり劣る治りだ。

 

 しかし、やはり一般的な『再成』を持たない魔法師よりは治りがいいので、異能は受け継いでいるともいえる。

 

 だから、ミナホは自分の事は大丈夫だと伝えたかった。

 

 

 

 

 その思いを必死にもう声も出ない口から息しか出せなくなりながらも、自分なりに伝えたミナホは睡魔に襲われ、目を閉じた。

 

 

 ちゃにゃんが麻酔薬を投与したからだ。

 

 

 ミナホが眠ったのを脈に触れ、確認した暁彰は、CADを向け、ミナホに『再成』をする。

 

 

 ミナホの身体がボウッと一瞬霞み、傷もないいつもと変わらないミナホの姿となる。

 

 

 

 「……ミナホの気持ち…、しっかりと受け取った。

 

  でも、私にとっては、ミナホにもしものことがあったら…、仲間を目の前でなくすなんてことになったら…。

 

  それを考えると、私の対価なんて安いものだから。

 

  …私を心配してくれて、ありがとう…。」

 

 

 落ち着いた呼吸で眠るミナホに暁彰が微笑を浮かべる。

 

 

 

 

 

 そして、ミナホの状態が心配の域を脱したのを確認したROSEのみんなはカバルレとオドリーに視線を投げかける。

 

 

 

 

 「カ~~~バッバッバッバ!!!

 

  実にいい、小賢しい芝居だったぞ!!

 

  どうだ!? 信頼していた仲間に裏切られる気分は!!?

 

  私の女の演技は、性別関係なく、虜にする…。

 

  まんまとはまったな!!」

 

 

 

 高笑いするカバルレの腕に抱かれるオドリーも無表情から唇を吊り上げ、ROSEを見つめる。

 

 

 

 「…仲間に手を出した奴は今まで…、容赦なく仕返ししてきた…。

 

  絶対に許さない!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 くろちゃんが怒声を上げ、単身で突撃していく…!!!

 

 

 

 

 そのあとを、くろちゃんに続いて、みんなも突撃するのだった。

 

 

 

 




まさかのオドリーの裏切りだと!!?

信じられない!!

は!! そういえば、オドリー…、すぐにさよならって言っていたような…?


どういうことだ!この展開!!

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