魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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ホントに吐き気がするね!!非人道過ぎるよ!!


悪趣味すぎるコレクション

 

 

 

 カバルレを殴り飛ばしたホームズは息を荒げて、肩で息をしていた。

 

 

 その後ろ姿をROSEのみんなが立ち尽くして、呆然とする。

 

 

 「す、凄すぎる…!! あんな鉄拳…見た事ないかも…。」

 

 

 「…あれなら、カバルレも相当なダメージを負っているはずだよ…。」

 

 

 ようやく意識が戻ってきたくろちゃんと御神がホームズを称賛する。でも、いつもなら称賛の言葉を送ったら、照れて嬉しがるのに、今回はそれがまったくない。寧ろ聞こえていないようにも感じる。

 

 

 「ど、どうしたんだろう…。ホームズさん…、様子がおかしい?」

 

 

 「それにさっき暁彰から聞いたけど、彫刻達を倒してはいけないってどういう事なの?」

 

 

 ホームズのカバルレへの鉄拳の衝撃で忘れてしまっていたが、敵の操り人形を壊してはいけないと伝言が回ってきて、疑問に思っていた事が引っかかり、訝しく感じ始めるROSEのみんな。さっちゃんが心配そうにホームズを見つめ、hukaが説明してくれそうな暁彰とミナホを見つめると、今まで口を閉じていた暁彰が重く閉ざしていた目を開き、みんなに告げるのだった。

 

 

 

 「…この彫刻達を倒させ、正体を理解させることがカバルレの最大の仕掛けで、”最高のショー”だったんだよ…。」

 

 

 「ああ…、ROSEの心を折るために…な…。」

 

 

 歯軋りする音が聞こえ、悔しがる暁彰と、気落ちし、嘆いた顔をするミナホ。

 

 その二人の発する雰囲気で、何か自分達にとって良からぬ事だという事が理解できた。そして、それがホームズが怒りを爆発させたのだという事も…。

 

 

 つばを飲み込み、暁彰たちの次なる言葉を覚悟して、待つ…。

 

 

 みんなの表情で真実を受け止める覚悟ができたと理解した暁彰がミナホと目を合わせ、ついにその真実を口にする。

 

 

 

 

 

 「………こいつらはただの彫刻や甲冑ではない。」

 

 

 

 

 

 

 

 「……元人間だ。」

 

 

 

 

 

 暁彰の口から発せられた驚愕の真実に覚悟をしていたとはいえ、みんなは目を見開き、縛って取り押さえた彫刻達を凝視して、距離を置く。

 

 

 あまりにも想像できなくて、唖然となるみんなに、暁彰は説明する…。

 

 

 「…こいつらは元々人間で、俺達と同じ”生きていた”。

  カバルレの手に掛かるまでは。」

 

 

 「”生きていた”…だにゃ?」

 

 

 暁彰の不可解な言い方にみんなの代表で、ちゃにゃんが問いかける。

 

 

 「…なぜあいつが使えるのかは知らないが、その人物の”精神”を凍らせ、人間としての生きる手段を断った…。 そして、その後『パラサイト』を入れて、操っていたんだ。元々の”精神”がなくなれば、意のままに動かせる『パラサイト』の”精神”が命令通りに動いてくれるもんな…。

  まったく…、良く考え付いたもんだ…。」

 

 

 「あの『パラサイト』を!! それって、以前実験した結果、万が一の制御起動式が働かなかった場合、甚大な被害になると言われて、戦闘実験する寸前でプロジェクト廃止した『パラサイトドール』実験じゃない!!?

  何でそんな物をここで!!?」

 

 

 極秘のプロジェクトである『パラサイト』を知っていたかはさておき、暁彰の説明で驚きを隠せず、鳥になる日が声を荒げてしまう。それを暁彰は苦笑して、横に被りを入れる。そして説明を続ける。

 

 

 「何もおかしくはない。

  極秘裏に進められて、もう少しという所でプロジェクトが廃止になれば、それに携わった研究者が苦虫を噛み締めたのは容易に想像できる…。何としてもこのプロジェクトの素晴らしさを理解してもらいたいと思うものさ。だから、極秘裏に進められてきたことを逆手に取り、闇に流通したとすれば、その闇が集まる中枢のあいつの元へ転がってきても不思議ではない。

  あいつも、この実験にかなりの興味を持っていたはずだ。…ここまで卑劣な事をするくらいだからな…。」

 

 

 暁彰が憎らしく未だに壁に埋もれているカバルレを敵視丸出しで睨みつける。

 暁彰の後に続く形でミナホが続ける。

 

 

 「…それに、鳥になる日っち!!

  これは『パラサイトドール』プロジェクトを応用したものだよ。」

 

 

 「??それってどういう事なの?」

 

 

 「あくまで、『パラサイトドール』プロジェクトは人型機械人形に『パラサイト』を取り入れる事で、意思を持った人形となった。

 

  人型機械人形がその時の器だった…けど、今回の器は正真正銘の”人間”なんだよ…。」

 

 

 「え!?」

 

 

 「器となる”人間”の血と内臓を抜き、綺麗に洗って保存が効く状態にし、陶器人形…、彫刻にした…。そしてその中に『パラサイト』を入れ、操り人形にしたのよ。

  甲冑の中身も同じ方法でされて、手足だけの物にも『パラサイト』が入り込んでいる…。

 

  本当に…、悪趣味すぎる…!!」

 

 

 

 

 

 

 真剣に説明を聞いていたROSEのみんなだけど、ミナホと暁彰が説明し終えるころには、顔色が悪く、吐き気をもたらす仲間がいた。

 

 

 

 

 「カバババババ……。悪趣味というのは褒め言葉として受け取っておくよ…。

 

 

  でも、私の人体収拾(コレクション)はなかなかの物だろう?」

 

 

 

 

 

 不気味な笑いと共に、今まで壁に埋もれていたカバルレが意識を取り戻し、ROSEに話しかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「さて…、お前達に心を保つ事は出来るのかな…?カババババババババ!!!」

 

 

 

 

 

 

 カバルレの狂気にまみれた笑いが広間に響く…。

 

 

 




カバルレの非道もそうだけど、カバルレに実験を横流しにした奴も許せんな!!

まぁ、自業自得で実験が完了した後、カバルレに殺されてますが…。彫刻となってますよ。はい…。

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