魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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果たして、捕らわれてしまったサガットと鳥になる日をみんなは救うことはできるのか!!?
…もう一人いたな…。


卑怯な選択の答え…

 

 

 

 

 「…くっ!! 卑怯な事を…!!」

 

 

 RDCが歯ぎしりしそうな勢いで、怪訝な表情をし、ショウリンを強く抱きしめて、双子を睨み付ける。

 

 ほかのみんなもこの状況に、憤りと驚愕が入り混じって、双子と『アクアボール』で捕らわれてしまったサガットと鳥になる日……そして…、

 

 

 

 

 

 

 

 「……どうして、るーじゅちゃんが二人を…。」

 

 

 

 呆然とするさっちゃんが呟く…。

 

 そう、いきなりショウリンに突撃し、それを庇ったサガットと鳥になる日と一緒に飛び出し、捕らわれてしまったのは、るーじゅちゃんだった…!!

 

 

 「ぐわぁっ……!!  はぁ~…、はぁ~…」

 

 

 るーじゅちゃんの行動に驚いていたみんなは、後ろから呻き声と荒っぽい呼吸が聞こえ、振り向くと、苦しそうにしゃがんでいるミナホがいた。

 急いで、tokoが駆け寄り、背中を擦ってあげると、ようやく意識がはっきりしたミナホが辺りを見回し、そして、『アクアボール』の中で動かないるーじゅちゃんを見て、目を見開く。

 

 

 「はぁ~…、るーじゅちゃん…!!

  お、遅かったか…。」

 

 

 「ミナホさん!! 大丈夫ですか!? …どうしてこんな…!!!」

 

 

 ミナホの身体を支えながら、tokoがミナホに問いかける。この状況に仲間内で一番理解しているのは、ミナホだと思ったからだ。

 

 

 「……あの双子の、良くわからないけど…、スマイル?…、の笑みを見たるーじゅちゃんが治療中に突然、気を失って、再び目を開けた時、うちの横腹に手刀を差し込んできて…、いきなり動き出したんだよね…。うちはちょうどるーじゅちゃんの治療で背を向けていたから、視てなかったんだけど…。あ痛たたた………!!

  ヒィ~…、フゥ~…、強烈な横腹突きで、悶絶していたわ…! で、気が付いたら、あんな感じに…。」

 

 

 「……なんとなく、分かった気がします…。

  るーじゅちゃんは精神干渉魔法による催眠を受けてしまったんですね。

  それなら、不可解な行動にも納得します…。 本当に、ムカつきますね…、あの双子…!!」

 

 

 tokoは未だに薄ら笑いを浮かべ、ROSEの動きを観察する双子と捕らわれのサガットと鳥になる日、るーじゅちゃんに目を向ける。

 サガットと鳥になる日は『アクアボール』の中から脱出しようとするが、中で激しい水の流れが発生しているようで、思うように動けなくなっている。しかしそれ以上に厄介なのは、このままだと三人が窒息してしまう…!!

 『アクアボール』は水を圧縮した収束系統魔法…。水の中にいるのだ。いくら、サガット達でも日頃のギルド内戦闘の賜物(何を隠そう、NSTとのお風呂覗き録画撮影会の攻防戦で、湯船からの突撃とかいろいろあるから、ROSEのみんなは平均より息止めができるのだ!!威張れないけど…。)で、潜水時間が普通より長くいけるとしても、限りがあるのは事実。早く助けないと、三人が危ないのだ。まさに、『水牢』状態…。

 

 

 (こんな時、ホームズか、暁彰、ワイズさんがいてくれたら…!!)

 

 

 ここにいるROSEのほとんどがそう思っていた。やはり戦闘における作戦立案とか、それを可能にするための知識とか、実行力とか…等を兼ね備えているメンバーがあいにく、ここにいない事に不安を少し覚えたのだ。みんな、それなりに実力があるが、誰しも得意分野というものがある。そして、今あげた三人が最もこの展開に徹していて、状況を打破するメンバーなのだ。

 

 

 

 

 頼もしい仲間がここにいない…。

 

 

 

 どうすればいい…!!?

 

 

 

 このままだと、サガット達が…!!?

 

 

 

 「ふふふふふ!! ねぇ~、ウォン!! あの顔見てよ!! 面白い顔しているよ!! どうしたらいいか頑張って悩んでいる~~!!」

 

 

 「そうだね~、ターン!! でも、早くしないと三人とも限界になって、窒息してしまうよ~~!! 目の前で仲間が苦しんでいるのに、助けないとか本当に仲間だと思っているのかな~~!!?」

 

 

 「だよね!! ウォン!!

  ああ~~~…、所詮は見栄っ張りの集団だったんだね~~!!?

  それなら、あの子、もらってもいいんじゃない!!?」

 

 

 「いいよね!! ターン!!

  あの、僕たちを見透かすような目をした子供…。本当は一発目でその子をゲットしたかったんだけどね!! でも、大漁だったから、結果オーライ!!?」

 

 

 「あれは惜しかった~~~!! 悔しいよ~~!!ウォン!!

  でも、ほらあれは? こうして………」

 

 

 「…ふむふむ………。なるほど…。 それはいい考えだよ! ターン!!」

 

 

 「そこの子供~~!! 三人を助けたかったら、人質交換しない~~!!?」

 

 

 

 「「「「「「「はあああ~~~~?」」」」」」」

 

 

 

 

 さっきからROSEのプライドをずたずたとさしてくる双子が何やら耳打ちで会話していて、終わったかと思ったら、ショウリンと三人の人質交換を申しだしてきた。

 ROSEがそれを訝しんで、怪訝に突っ込むのも無理はない。

 

 

 

 「そんな、ばかばかしいやつに乗っかる訳がないじゃない!!?」

 

 

 「私達をバカにするのも大概にしなさいよ!!?このちび双子!!」

 

 

 「そうよ!! あんた達みたいな人を貶して、遊ぶような連中に大事なショウリンを引き渡す訳ないでしょ!!?」

 

 

 怒りが爆発して、双子に嫌味たっぷりに言い放つし~ちゃん、RDC、huka。

 

 

 しかし…、

 

 

 「うるさいな…。黙れよ、おばさん…!! 

  お前達は、まだ自分達の”立場”ってものが分かってねぇ~みたいだな!」

 

 

 「本当にな…。お前達は俺達に指図できる”立場”ではないんだぜ!!

  忘れているのか? 俺達が今何を、手中に握っているのか…。」

 

 

 突然、雰囲気が変わった(変わりすぎだろ!!)双子が手を翳すと、三人の『アクアボール』に『雷撃』、『雷童子』などの電撃を発動させる。水の中にいるため、サガット達は電撃の威力を更にその身に受ける。水中だから、悲鳴の代わりに、もごもごと空気が口から抜け、その余韻が今も『アクアボール』の球体から電撃が迸る…。

 

 

 「わかったか…。 俺達は今すぐにでも、こいつらを仕留める事もできるんだ。

  人質交換なんて、俺達の気まぐれ…、”ショー”なんだ!!」

 

 

 「仲間を囚われている段階で、お前達は既に負けているんだよ!!

  大人しくさっさとその子供をよこしな!! そして、カバルレ様から頂いたこの薬を打って、奴隷にしてやるからな!!?」

 

 

 すっかりと曲芸師のステージの笑顔が消え、悪役きっての凶悪な表情になった双子がそう切り出してくる…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ROSEのほとんどはそんな事ばかげていると思った。

 

 

 仲間を差し出すなんて、絶対にさせないと…!!

 

 

 しかし、固まっているROSEの中から、一人…、双子の方へと歩み寄る姿が…。

 

 

 

 震える足で、ゆっくり…、ゆっくりと歩き出す小さな背中…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ごめんね…。 ぼく、行ってくるよ…。」

 

 

 

 

 

 振り返って、そう仲間に告げるその顔には、一筋の涙が流れていた…。

 

 微笑みながら…。

 

 

 




やべ…。少し泣けてきたかも…。待って!!行くな~~!!


ところで、双子、やっぱり猫被っていたな~~!!

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