まだ子供ですが、ROSEの一員としてぼくも戦います!!
…ってことで、ここにいます。そんなショウリンの輝かしい舞台を…!!
「「そ~~れ!!」」
双子が息を合わせて、魔法を発動する。でも、何も変化はない。ただ沈黙が続く。いったい何が始まるんだろうとミナホ達が考えていると、突如ショウリンが慌てて大声で警戒を言う。
「みんな!! しゃがんで!!」
「どうしたの!? ショウリ………!!」
振り向き様に問い返したるーじゅちゃんに水の鉄砲玉が着弾する。圧縮され、高速で飛んできた玉はるーじゅちゃんの身体を貫き、再び『アクアボール』に戻っていった。
「「「「「るーじゅちゃん!!」」」」」
「しっかりしてっ!!」
「早く止血しないと!!」
「ぐわぁっ……、はあ…、はあ…、はあ……」
一瞬息を止めていたるーじゅちゃんが咳き込み、荒呼吸し出す。ミナホがるーじゅちゃんの診断をして、るーじゅちゃんの状態を確認する。幸い、急所は外れ、命には別状ないが、戦力としては厳しくなった。
ミナホはそのまま、るーじゅちゃんに治癒魔法をかけ、治療に入る。
「……ショウリン、双子の攻撃がどこから来るか、もしかして分かる?」
「え、う、うん…。この眼で一瞬だけ見れたけど…。」
るーじゅちゃんに治癒魔法をかけながら、ミナホはショウリンに聞いてみた。るーじゅちゃんが攻撃を受ける前に、ショウリンはみんなに伏せるように言っていた。
それは、ショウリンが『精霊の眼』で双子の攻撃の照準ルートを視たからだった。
ミナホはそれを確認し、るーじゅちゃんから視線をショウリンに向け、まっすぐに話す。
「ショウリン、悪いけど、今はあなたの『精霊の眼』が頼りなの!
あなたのその眼で、相手の攻撃を読んで、みんなをサポートしてくれない?」
「……う、うん!! やってみる!!」
ショウリンは初めての戦いに自分は足手まといだと思っていた。実際ここに来るまでに、何もできずに、ただ合流したみんなの背に守られてきたからだ。まだ全然魔法も使えなくて、『精霊の眼』しかコントロールできないため、ただみんなが戦う背中を見る事しかできなくて、歯がゆい気持ちとやるせない気持ちでいっぱいだった。
だから、ようやく自分の力が役に立てることができると知って、うれしかった。もうみんなが戦っている背中だけを見なくて済む。そしてみんなに一歩、近づけたと感じたショウリンは少し魔法師としての階段を上り始めた瞬間だった。
ミナホの頼みに、ショウリンは力強く頷き、深呼吸をして、『精霊の眼』を解放する。
部屋中にショウリンの世界が広がっていく…。
そして、双子は満面の笑みを浮かべて、もはやCADを使わずに、『アクアボール』の形態を変え、いろいろな形を作り出していく。
でも、ショウリンには、双子の狙いが手に取るようにわかっていた…。
「みんな…!! あれに惑わされたらダメだよっ!
……二時と七時、十時の方向から水鉄砲玉が散弾で来る!!」
ショウリンのアドバイスでし~ちゃんとさっちゃん、RDCがそれぞれの方向に障壁魔法を展開し、攻撃を防いだ。
「………上からも来る!! 今度は加重系統魔法もマルチキャストされているよ!!」
次のアドバイスにもtokoとhuka、サガットがすぐにCADから魔法を読み込み、サガットが『斬鉄』の魔法をかけた小刀を投げ、重力の乗った水の塊を真っ二つにすると、hukaは加熱系統魔法で蒸気に変え、tokoは発散系統魔法で細かく破裂させた。水飛沫が激しく飛び、辺りに散らばる。
双子は自分たちの攻撃を防がれ、訝しる。
その一方で、ROSEのみんなからは褒められる。
「…ショウリン、すげぇ~!!」
「なんだか、楽だわ!!」
「どこから来るかわかるだけで、変な気を回さなくていい分、魔法に集中できるからね。」
「ショウリン…、ありがとうです!!」
tokoが代表で、優しく微笑み、ショウリンの頭を撫でた。
ショウリンはその手の暖かさに、自分がみんなの役に立てたという実感を得て、くすぐったい気持ちになった。
(ぼく…、もっと強くなるよ…!!)
照れながらも、そう心の中で誓うショウリンの顔は、子供らしさがあるものの、芯が座った大人な雰囲気を感じる顔になっていた…。
久しぶりにショウリンを出してみた~~!!
ここで成長していくショウリン…、みんな見ているからね~!!