魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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ドレーナと戦うには、まだ先になりそう。

でも、炎獣たちも厄介だよ!!
それこそ、幹部クラス!!


三体の炎獣対ROSE

 

 

 

 

 

 

 

 「「「「ワイズさ~~~~~~ん!!!!! オドリ――――!!!!!」」」」

 

 

 深い穴に落ちていったワイズさんとオドリーの名を叫ぶくろちゃん達。慌てて穴に駆け寄っていく。炎獣たちはドレーナの指示を受け、ドレーナの元へ戻る。左右と背後に炎獣たちを従えたドレーナの視線はくろちゃん達の動揺する姿を捉えていた。

 そして、闘いの巻き添えにならないように部屋の隅で耐熱性の障壁魔法をかけ、控えていた戦闘員たちがくろちゃん達が叫んだ名前に驚きを見せるのだった。

 

 

 「え? あいつら、今…、なんて言いやがった?」

 

 

 「確か、『オドリー』って言っていたような…?」

 

 

 「俺の聞き間違いか…?」

 

 

 「いや、俺にも、そう聞こえてきた…。…どうなっているんだ?」

 

 

 戦闘員たちがざわつき始め、くろちゃん達は自分達の過ちに気づき、みんな一緒にしまった!!…という顔で罰が悪そうな雰囲気を醸し出す。

 

 両者を見ていたドレーナは曲芸の種がバレてしまった時の表情にそっくりだとくろちゃん達の表情でそう思い、戦闘員たちに種明かしを披露する。…真実ともいうが。

 その時のドレーナの顔は悪戯が成功した時の無邪気な笑顔を浮かべていた。

 

 

 「そうですわよ。あなた達がよく知る、快楽幹部のオドリーの事ですわ。

  どうやら、ROSEがここに来る前に、オドリーの部隊と鉢合わせした後、オドリーは裏切って、仲間を見殺しにして、ROSEの仲間になったみたいね。

  残念だわ~。あの子には、最高幹部候補として目をつけていたのに。こんな形で恩を返されるとは思わなかったわ。」

 

 

 「オドリー様が!!? 謀反を起こしたというのですか!?」

 

 

 「信じられません…!?」

 

 

 「そうですわね…。ですが、彼らとの接触で、心の隙を作り、そこに付け入られたようです。……彼女は、誰にも言えない秘密を抱えていましたしね。

  それに、あなた達も同じようにされたでしょ? これが彼らの手口ですわ。」

 

 

 ドレーナの言葉で、自分達がワイズさんの熱血な接し方に心を打たれかけた事を思い出し、頷く。人の心を弄ぶ連中…。くろちゃん達は戦闘員たちに完全に、そう認識されてしまった。

 

 

 「おい!!ドレーナ!! お前はなぜ、オドリーの事に気づいたの!?答えて!」

 

 

 くろちゃんが険しい顔をして、ドレーナに問い詰める。その表情をドレーナは正面で受け止め、微笑を浮かべる。

 

 

 「そんなの、視ていればわかる事ですわ。 それとも何か理由をかこつけるべきですか?敵であるあなた方に?」

 

 

 確かに、敵に理由を離せと言っても、教えてもらえるなんてわけはない。くろちゃんは反論する事も出来ず、唇を噛む。

 

 

 「これで、邪魔者と裏切り者を処分できましたし、残りもさっさとお片付けしてしまいなさい。」

 

 

 気怠そうに炎獣たちに命令し、鞭を振るうと、三体の炎獣たちが再び襲ってきた。

 

 

 まず獅子が突進してきて、炎の腕を振り下ろす。

 

 

 くろちゃん達は跳んで躱すが、底を獅子は振り向き様に炎の尻尾で打撃を与える。吹き飛ばされ、壁に激突するくろちゃんとちゃにゃん。御神と火龍人、ホームズは何とか躱したが、くろちゃん達の心配する暇もなく、着地した途端に、猿が高速の鉄拳雨攻撃をしてきた。それはもう隕石と言えるレベルでさすがに避けきれないと判断し、攻撃魔法を打ち続けて対抗する。防御に徹していると、不意打ちを食らうのは、さっきのワイズさんとオドリーの件で、苦しくも理解していた御神とホームズは『フォノンメーザー』『破城槌』『雷童子』『這寄る雷蛇』等の遠隔魔法を発動する事で、完全に守りに入るのを止めた。火龍人は二人の魔法力を高める補佐魔法を発動。

 

 

 「”攻撃は最大の防御”だからな!!」

 

 

 「ホントは決定的な魔法が使えたらよかったんだけど…。」

 

 

 「相手に有利なフィールドだから。」

 

 

 そう…。炎といえば、水と相対するもの。炎獣も炎で作られた化成体の一種のようなものだ。すなわち、”水”を使った魔法で攻撃すれば、炎獣を倒す事が出来る。

 しかし、この部屋に着いたときに使った水道管の水はもうない。炎の壁にすべて使い切ってしまっていた。そして、大気上の水分から水を得ようとするが、それでも炎獣を倒せるほどの物ではない。作れたとしても、この炎が蔓延る熱さから解放されるための飲み水1人分くらいの量が確保できるだけだ。

 こういった状況で、闘わざる得ないROSEにとっては、決定打に欠け、持久戦に持ち込まれていた。

 

 これ以上、長期戦になれば、誰もドレーナと戦えないとホームズは猿の火炎鉄拳を防ぎながら作戦を練っていた。そこへ、熊の炎獣がホームズの背後に立った。大きな太い両腕を横から挟み込む形で振り下ろす。

 

 しかし、ホームズはその動きを読んでいたため、御神と火龍人に声を掛け、熊の股にできた隙間からこの場を脱しようと図る。

 

 だが、突如として地面に縫い付けられたかのように動かなくなり、逃げられない。

 

 

 

 そこへ、熊の炎獣の腕がホームズ達三人の床面に包み込んだ状態で深く食い込んだ。そして熊の炎獣は雄叫びを上げると、腕に力を入れ、床面の下からホームズ達を振り上げ、天井へと思い切り飛ばした。

 

 予想外の攻撃にホームズ達は目を丸くし、防御魔法を発動する前に、天井に衝突した。

 

 

 「ぐあっ!!」

 

 

 「うっ…!!」

 

 

 「がはっ!!」

 

 

 その衝撃にホームズ達は口から血を吐き、怪我を負う。身体が動かず、重力に逆らう事ができず、落下する三人に炎獣たちが口から火炎放射のタイミングを狙って準備している。

 

 

 

 

 

 

 

 これを喰らえば、無事では済まない…。

 

 

 

 それが落下するままの三人が思った事だった…。

 

 

 

 

 そして、三体の炎獣たちによる火炎放射が解き放たれた……。

 

 

 

 

 

 




やばい!! みんなが追い込まれている!!

なんと連携のとれた炎獣さん達だ!! 

ここまで怪我を負うみんなは今までなかったな。(うちがそうしてしまっているが)

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