魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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ドレーナとの戦いが本格派!!

一体ドレーナと戦って、くろちゃん達は無事に倒す事が出来るのか!?


私は無敵でしてよ!!

 

 

 

 いよいよ最高幹部、ドレーナが参戦した。

 

 

 その纏う空気は喜びと殺気という、相反する感情が入り混じったものだった。

 

 

 その空気と同じ表情をしながら、歩み寄ってくるドレーナが腰に装着している鞭を取りだし、大きく振りかぶって、床を強く叩きつける。

 

 

 バチッ!!!!!

 

 

 その音が合図だったのか、床から突如、三体の炎獣が現れ、雄叫びを上げる。その雄叫びだけで、強力な熱風がくろちゃん達を襲う。くろちゃん達の足元には、熱風で押された時にできた後ろに引き摺った痕があった。

 

 

 「いきなり、炎獣三体従えるとか、凄すぎでしょ。」

 

 

 「雄叫びだけでこの威力か~…。これは骨が折れそうだね。」

 

 

 「……多分、言葉だけで終われない気がする。」

 

 

 「まぁまぁ、やっと手ごたえがある奴が現れたという事だ。腕が疼いてきたじゃないか!?」

 

 

 「じゃ、やりますか。

 

  ワイズさ~~ん!! 悪いですけど、サポートに回ってください。あと、オドッ………、おどおどしていないで、その子を守ってください!手当ても!!」

 

 

 危うく、オドリーと呼びそうになって、寸手で誤魔化した御神が涙を流し、地面に手をついて、蹲るワイズさんに指示する。

 ワイズさんは戦闘員たちが心を開きかけたのに、ドレーナにあっさりと一瞥され、更には、”寸劇”だと言われたのがショックで、嘆いていたのだった。

 しかし、仲間から頼られていると知ると、ガッツポーズで引き受けたと、『ファランクス』を発動し、流浪の旅で培った知識を使い、オドリーの治療に入っていく。ちゃにゃんの応急手当てに感心しながら、ブツブツと呟き、オドリーの腹部の傷を、近くで燃えている火で、持ち合わせの針を消毒し、傷口を縫っていく。

 

 懸命な治療をするワイズさんを後ろに庇い、臨戦態勢を取るROSE。

 

 お互いに準備万端であることを確認したドレーナは現れた三体の炎獣…、獅子、熊、猿に鞭を打つ。それに闘争心が煽られ、三体は牙を剥き出しにして、威嚇する。その瞳孔には、炎による凄まじい輝きが宿る。

 

 

 「さて、あなた達…、お食事の時間でしてよ。お腹いっぱいに食べておいで。」

 

 

 バチッ、バチッ、バチッ~!!

 

 

 鞭で喝を入れられた炎獣たちはそれが合図であるように、ついにROSEに襲い掛かる。

 

 先頭をきって走り込んできた獅子が尖った炎の爪を駆けた勢いをつけて、前足をくろちゃん達に振り下ろす。その際に、ドレーナが口笛を吹き、獅子に元々仕込んでいた起動式を発動させ、炎の爪を更に大きくし、炎の威力も上げて強化する。

 くろちゃん達はこの攻撃を受け止める事は不可能だと判断し、横に飛んで躱す。しかし、獅子の…、ドレーナの目的は初めからくろちゃん達ではなく…。

 

 獅子の熱爪が床面に突き刺さり、亀裂が入る。その亀裂がオドリーの治療中のワイズさんの方へと及ぶ。『ファランクス』を発動していても、あくまで耐熱・対魔法の物…。『ファランクス』が及んでいない床面からの攻撃は避けられない。

 

 大きく引き裂かれながら進む亀裂がワイズさんたちのいる床面を崩していく。そこに背後から猿の炎獣が拳を振り下ろす。獅子が突進する際に、死角から天井へと大ジャンプして、反対側の壁に着地し、その勢いを利用して、背後からワイズさんを襲ったのだ。正面にだけ『ファランクス』を発動していた事もあり、突然背後から襲ってきた猿の炎獣にワイズさんは治療を一旦ストップし、更なる『ファランクス』形成に掛かる。

 

 猿の炎獣が拳を振り下ろした、まさにその時、真正面に『ファランクス』を発動し、受け止めた。これで、前後に障壁を張った状態となったワイズさんは少し疲れを見せ始める。しかし、これで気を抜いていては自分だけでなく、オドリーまで危ない。

 猿の炎獣が一発塞がれたからといって、攻撃の手を休めはしなかった。

 

 俊敏な動きを兼ね備えた素早さで、炎の鉄拳の雨を降り落としていく。ワイズさんはその度に『ファランクス』を発動していき、ついにキューブ型の『ファランクス』を展開した。防御に徹した造りに遠くから見ていたくろちゃん達も安堵し、すぐに救援に向かおうとする。

 しかし、その間を割って入るように、獅子が行く手を塞ぐ。

 行く手を塞がれ、巨大な獅子の炎獣の身体でワイズさんたちの状況が見えない…!

 

 

 「くっ!! こいつら、連携に無駄がない。」

 

 

 「このままじゃ、ワイズさん…、ヤバいよ!」

 

 

 「…どうやら始めからこれが狙いだったみたいだな…。」

 

 

 「ええ…、その通りですわ。あなた達の性格なら、仲間を助けるため、動ける者全員で、闘いを挑んでくるだろうと確信していましたわ。

  それと…、怪我をした仲間の安全を確保したつもりのようですが、お忘れなのでは?

  ここは、私の魔法に特化した部屋…。つまり、ここは私のテリトリーだという事…。もうあなた達が抗う術はありませんのよ?すべて私の手の中で踊り続けるのです。

  ここでは、私…、無敵でしてよ!!

  さて…、フィニッシュと行きましょう…。ベック!!」

 

 

 獅子の炎獣に塞がれた後、くろちゃん達の背後に鞭を振るって挟み撃ちするドレーナの話から嫌な予感を覚えたその時、どこから現れたのか、もう一体の熊の炎獣が両手を組み、腕を力の限り、振り下ろした。猿の炎獣の素早い攻撃で場をかく乱していたため、熊の炎獣の存在を逸らしていたのだ。直前まで猿の攻撃を受けていたワイズさんは横から熊が接近している事に気づかず、猿が急に距離を取ったと思った時には、すでに遅し…。

 

 熊の炎の腕で振り下ろされた天井から、床面に入っていた亀裂の進行が早まり、とうとう床が抜け、ワイズさんとオドリーは真っ逆さまに落ちていった…。

 

 そして追い打ちをかけるように、猿と熊の口から火炎放射が放たれた。

 

 

 ワイズさんたちが落ちていった穴から、爆発が起きる。

 

 

 

 

 

 

 その結果を、観察していたドレーナは不敵の笑みを浮かべる。

 

 

 

 

 

 

 

 「うふふふふふふふ。 まずは二人…と。

  さようなら…、オドリーちゃん♡………。

 

 

 

  うふふふふふふふふふふふふふふふふ。」

 

 

 

 

 ドレーナの楽しそうな笑いが部屋に充満していくのだった。

 

 

 




ワイズ~~~~~!!!
オドリー!!!

そんな~~~!!

そして、ドレーナにバレていた!!? 

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