魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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RPGではお約束の展開ですね~~。

勇者たちよ!! 剣を取れ~~~い!!


囚われの姫

 

 

 

 

 

 ワイズさんの言葉とその行動に自分達と真っ向から向き合ってくれているという懐の深い思いに戦闘員たちも感激し始める。

 

 このカバルレの下で働いてきたが、そんな風に接してくれる人はいなかったため、人間の温かさを感じていく戦闘員たちは、構えていたガンマ・オクタゴンを次々と下ろしていく…。

 

 その様子をワイズさんの後ろで火龍人からおすそ分けしてもらったポテチを食べながら、このドラマ的展開を涙ぐんで鑑賞していたくろちゃん達一行。これで敵が減って、こちらについてくれれば、戦力差も埋まっていけると考える。しかし今一つ、何かを忘れているような…。

 

 その答えは、ドレーナからもたらされる…。

 

 

 

 

 

 「………あなた達、先程から何の寸劇をしているのかしら…?

  私が…、いつ『ガンマを下ろしなさい。』と命令したかしら?本当に困った人たちね…。

 

 

  それと…、ROSEの皆さん、何かお忘れなのではありませんこと?

 

  此方には、あなた方の大事な、お仲間さんを預かっているのですけど。」

 

 

 先ほどまでのドラマ的展開を冷たい視線と不快感を表した雰囲気で一瞥し、部下達を正気に戻す…。戦闘員たちは自身の身体を震え上がらせ、肝を冷やす。

 そして、話しかけられたROSEくろちゃん一行は感動の涙を流し、腫れた瞼のまま、ようやくなぜここに来たのか、その理由を思い出し、気を引き締めた。

 

 

 「…無事でいてくれればと思っていたけど、やはりか…。」

 

 

 「その仲間になった子、捕まっていたみたいね。」

 

 

 「あら、やっと思い出しました? この子も御可哀想に…ね~?

  助けを待っていたお仲間から存在を忘れられるなんて…。いっその事、こちら側に尽きませんこと?リテラさん?」

 

 

 ドレーナはくろちゃん達とは反対側の部屋の隅にある多数のモニターが設置されている操作機器に腰を下ろし、足を組んで、哀れそうにくろちゃん達を見つめる。そのまま、横にある赤いボタンを人差し指で押すと、操作機器の隣の壁が左右に開き、床から天井まで届くほどの大きな全長10メートルくらいの鉄製の鳥かごが現れ、部屋の中に入ってくる。

 

 

 その中に、一人の少女が瞳に強い意志を持ち続けながら、そこにいた。

 

 

 「悪いですけど、私はあなた達みたいな人を物としか思わない冷酷な人達の仲間になんてなりません!! 私には、既に友達になってくれた心強い人たちがついてくれていますから!!

 

  絶対にこの籠から外に出て、私をここに押し込めた事を後悔させてあげますっ!!」

 

 

 ずっと壁の向こうから状況を知っていたリテラは、忘れられていたのに、それを物ともせず、仲間だと、友達だと主張したのだった。

 

 この中で唯一、リテラと面識があるホームズはずっと姿が見えなくて、ここにはいないか、本部棟改変の時にどこか別の部屋へと移動されてしまったか、この部屋の安全な場所で隠れているかと思っていたため、目の前の窮地に意識を受けてしまって、無意識に忘れていた。

 今は、強い意志を表す事で、立ち向かっているリテラでも、内心は不安でいっぱいに違いない。助けに来てくれた友達が実は、忘れていたなんて聞いたら、ショックに陥るだろうに…。

 それを感じさせない明確な信じる心にホームズは罪悪感に包まれた気持ちが空いてくる。

 

 

 安堵の表情を見せ、絶対にそこから出して見せるという熱意の視線をホームズから受け取ったリテラは、大きく頷く。

 リテラは、ホームズが自分の存在を忘れていたのは、寂しくて、悲しかった…。

 でも、入ってきた時の炎に囲まれながらも、誰かを探すホームズの姿を壁の裏に併設されたモニターで見ていたため、その気持ちより、嬉しさと無事でいて!!という気持ちが勝っていたのだ。あの状況で自分を見つけ出すのは困難だったはずだし、先頭の場数を積んできていない自分には、なおさら難しかっただろうと理解していた。

 だから、リテラの口からあの言葉が出たのだ。自分の今の本音を…。

 

 

 「…うふふふふ。その自信満々に宣言しても大丈夫なのかしら。…まぁ、いいわ。その意気込み、空回りしないで頂戴ね。せっかく脂の乗った美味しい肉をみずみず、萎れさせて、美味しさ半減にさせる真似はしたくはありませんから。」

 

 

 リテラの抵抗も子猫がじゃれているようにしか感じていないドレーナは甘やかすような口調でそう言うと、くろちゃん達に向き直って、目を細め、微笑みを向ける。

 その微笑みは人を惑わす力を持っているような感覚を与えるくらい、妖艶な笑みでくろちゃん達の内からに秘める直感が語っている。

 

 この女は、今まで戦った奴らみたいにはいかないと…。

 

 

 「さて、皆さん。私…、少々退屈してきましたの。お相手願えるかしら…?」

 

 

 

 

 再び鷹の炎獣を自分と一体化させたドレーナはギラギラとした目を向け、真紅の唇を舌なめずりして前へと躍り出た。

 




リテラ…。

なんていい子なの~~~!!! よしよし、いい子~~~!!

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