魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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さて!!オドリーがROSEにメンバー入りしました!!

この後、オドリーがどう引っ張っていくか、見ものだね!


移ろいゆく戦況

 

 

 

 

 ある異国のことわざにはこんな言葉があるという…。

 

 『昨日の敵は今日の友』

 

 

 意味は、昨日の敵が、事情が変わって味方になる事から、人の心や運命が移ろいやすく、あてにならないこと。

 

 

 今まさに、くろちゃん達はそのことわざとピッタリな状況に遭遇したのだ。…オドリーという敵の元・幹部を仲間にして…。

 まぁ、オドリーにとっては『昨日の友は今日の敵』になってしまったけどね。…って、まだ一日も経ってないから、あてはまるなら『半刻前の敵は今の仲間』…だね。

 

 ……別に決まったとか、考えていないんで、スルーしてくれてもいいから!!

 

 

 と、いう事で、今くろちゃん達一行はその仲間となったオドリーのお蔭で最短ルートを歩いていた。

 

 

 「ホント、オドリーの言うとおりに進むと、楽だわ~!!」

 

 

 「さっきまでとは全然違うしね!」

 

 

 「一人加わっただけで、ここまで劇的に変わるなんて…思わないにゃ。」

 

 

 「なんていうっけ?こういう事……。う~~~ん………あ!! そうそう!!まさに、『鬼に金棒』ってやつだよな!!」

 

 

 「そ、そんな事は…。 私、ホームズ様に背負ってもらっているだけのお荷物ですし…。これくらいしか、今はお役にたてないので…。」

 

 

 ホームズの背中からいじらしく答えるオドリーにくろちゃん達は癒される。内二人は更に萌えも感じている事は…別にいいか。

 

 

 「あれ? 何でホームズを”様”付けしているのにゃ? オドリー?」

 

 

 先ほどの言葉に疑問を覚えたちゃにゃんがオドリーに聞いた。

 女の子が異性に様を付ける時は、好意、憧れ、萌え……、最後は一部の人達だけだが、非常に高い好感を持っていないとそこまで言わない。

 そして、ホームズがカッコいい場面を見せたと言えるのは、親衛隊たちに皮肉だが、ヘムタイ精神を説いたときくらいだろう。でも、その時は既にオドリーは意識がなかったため、知るはずもない。

 だからか、余計”ホームズ様”と呼んだ事が気になったのだった。

 

 

 「そ、それは…、ホームズ様からそのように呼んでほしいと言われたからです。その際に、ホームズ様からどのように私の命を救っていただけたか、教えていただきました。」

 

 

 「……どういう事にゃ?」

 

 

 理解が追い付かないちゃにゃんはクエスチョンマークを頭に乗せる。

 

 

 「ホ、ホームズ様が、私のも、元・部下達が襲ってきた時、身を挺して部下達からの攻撃を守っってくれた事を話していただいたのです。その時、私は思わず、ホームズ様と呼んでしまい、『オドリーが言いたいなら、そう、読んでほしい…。』…とおっしゃってくれたので、そのように呼ばせてもらう事にしたのです。

  …それとくろちゃん様も同じように窺っています…。」

 

 

 頬をほんのり朱色にし、答えるオドリーをよそに、ちゃにゃんは表面上は笑顔を保ちつつ、くろちゃんとホームズのむこうずねを狙って、足蹴りした。その痛みに悲鳴をあげそうになるのを必死に堪え、反省するのだった。

 特に、ホームズはオドリーに振動を与えないように痛みに耐える事に、全力を注ぐ。

 

 傍観していた御神もこのお仕置きはしょうがないと納得する。

 

 この二人はオドリーの純粋な心を自分に向けさせるために、針小棒大に物事を言っているからである。

 どちらかと言えば、身を挺して守っていたのはちゃにゃんと御神の方だ。最小限の障壁魔法で守りながら、治療をしている傍ら、くろちゃんとホームズは親衛隊たちに地獄を見せに掛かっていたのだ。もちろん、楽しみながら。その姿はもう遊んでいるとしか言いようがないモノだったことははっきり覚えている。

 二人のやり口に制裁を施したちゃにゃんだけど、もう事態の収拾は断念していた。

 

 オドリーが目を輝かせて、ホームズとくろちゃんをせん望のまなざしで見ているからだ…。

 

 

 もう「それは二人が大げさに言った事だにゃ」なんて言えなくなったこの雰囲気にため息をそっと溢すちゃにゃんだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オドリーがくろちゃんとホームズに憧れを抱いたのは理解できたと思うが、そもそも何で最短ルートをすいすいと歩けているのかというと、無論、オドリーのお蔭だ。

 

 オドリーが、というより、カバルレ勢力の全員が持っている端末にマップが表示され、それを鮮明化する事で、今のこの本部棟の造りが分かるようになっている。ちなみにGPS機能もついているから、仲間や敵がどこにいるのか一目で分かる仕組みだ。

 赤色に点滅しているのがROSE、青色に点滅しているのがカバルレ部隊、そして最上階に位置している大きな紫の点滅はカバルレを指していた。

 

 

 その端末のお蔭で、くろちゃん達は敵のトラップや戦闘を回避しながら、仲間たちと合流を図っていくのだった。

 

 

 

 

 オドリーはホームズの背中で、自分が役に立てている事に安堵し、この一時の幸せを噛み締めていた。

 

 

 (ありがとう…。私を仲間にしてくれて…。

 

  でも、私は…… そう長くはいられないと思う…。だから、今、この瞬間を大事にしたいです…!)

 

 

 背中に顔を俯かせ、くろちゃん達に見られないように、オドリーは声を押し殺して、泣くのだった…。

 

 

 




今日はことわざや四字熟語を取り入れてみました!!

最近、記憶力が低下しているように感じてきたので、久しぶりに中学の時の教科書を開いてみました。
びっしりと線を引いていた教科書に思わず吹き出して笑うのでした。


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