魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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オドリ―!!

オドリー~~~~~~~~~~!!!

(死んではいないので、安心してください。 ただオドリーってよんでみただけです!)


もう大丈夫!!

 

 

 

 

 

 

 (うぅ……複数の足音…。それに、人の温もり…、がする…。私…、どうしたの…?)

 

 

 自分の身体がうまく動かせないけど、誰かに運ばれているのは分かる…。

 

 でも、どこに連れて行かれているかはわからないけど、意外と恐怖は感じられない…。

 むしろ、安心する…。

 

 

 私はゆっくりと瞼を開けた。

 

 でも、まだ視界がぼやけて、焦点が定まらない…。そしてようやく目が慣れてきた時、私の顔を誰かが覗き込んできた。私は突然の事で、驚いた。それと同時に腹部に痛みが走る。

 思わず、痛みで顔を顰めると、私の顔を覗き込んできた誰かはまた目の前に現れた人物に拳骨を喰らって、怒られた。

 その賑やかさが耳に入り、頭に響いたけど、これも意外と苦にならない。それどころか、微笑ましくて和んでくる。

 

 そして、視界も完全に回復し、目の前で一悶着が起きていた先程の二人を見つめると、その二人はさっき敵として闘っていたROSEのくろちゃんとちゃにゃんだった。

 くろちゃんは頭に大きなこぶをつくって、痛みを和らげようと撫でていた。

 その間、そっと私に近づいてきたちゃにゃんが優しい声音で私の体調を聞いてきた。

 

 

 「おはよう…。あ、そのままでじっとしていてね! まだ傷が完全に塞がった訳じゃないにゃ!

  …うん、そうそう。 どう、どこか痛むにゃ? ごめんね~、くろちゃんが驚かしたみたいで。で、どうにゃ?気分は?」

 

 

 私が身体を起こそうとするのをちゃにゃんが止め、その時、私はホームズにおぶられている事を知った。

 申し訳ないな…っと思いつつ、ちゃにゃんの問いに答える。

 

 

 「うん…、大分痛みも消えてきたと思う。助けて、くれて、ありがとう…。」

 

 

 「そう、良かったにゃ。でも、まだ絶対安静しているにゃ。 今、私達の仲間と合流しようと思っているところだにゃ。そしたら、ちゃんと治療できるから、もう少しの辛抱にゃ。」

 

 

 天使の微笑みで安心を呼ぶちゃにゃんの笑顔に癒されていく私は、多少の心のゆとりを取り戻す事が出来た。

 先ほどの夢…、違う、現実を受け入れる覚悟は今はまだないけど、少しずつ、前に進もうかなと考える私だった。

 でもふと、部下だった親衛隊たちの事が心配になった。

 

 私がこうなった訳で、今、なぜかROSEと一緒に次へのルートを進んでいるのは分かった。でも、そんな事を親衛隊たちが認めるとは到底思えない。私のため…、はなくて、敵を先にそのまま傍観して見送る訳がない…。そう思うと、見捨てられたとはいえ、ついさっきまで一緒に生活してきた仲間でもある。そうそう、心が入れ替わる訳もなかった。

 

 

 「………ねえ?ちょっと、確認、しておきたいんだけど?」

 

 

 「うん?なに?」

 

 

 おぶってくれているホームズに聞いてみる事にした私。

 

 

 「…私の部下…、親衛隊はどうしたの…?」

 

 

 私が問いかけると、ホームズは歩くのを中断し、しばらく沈黙する。その沈黙が私を不安にしていく。やっぱり、この4人に倒されたんだ…とおもって。

 でもそれは、早とちりだった。

 

 

 「…大丈夫だぜ。 あいつらは全員生きてるから。でも、あいつらはこの先は牢送りになるだろうから、もう会えないとは思うけどな。………会いたいか?」

 

 

 ホームズが渋っていたのは、これだった。

 

 ホームズがオドリーの性格を熟知していたため、オドリーが目を覚ましたら、あんなことがあったというのに、絶対に親衛隊の安否を尋ねるだろう…と。そして生きていてほしいと願うだろうという事も読んでいた。

 ホントはROSE全員、親衛隊たちの息の根を止めようとしたが、それだとオドリーが悲しむと判断し、全員生かす事にした。…その代わり、死んだ方がましだと思うような仕打ちはたっぷりとしてきたが。

 

 一発だけじゃ、気が収まらないので、何発も鉄拳を浴びせたり、健全なドSの親衛隊員にはかなり激しい調教でドMにしてやったり、全員目隠しして…。〇〇〇させたり、男同士で〇〇〇〇させたり、錯乱魔法や幻覚をかけて、あんな事やこんな事を体験させた。そして、目が覚めた時に、自分達が何をしていたのかを理解し、身もよだつ程の恐怖と羨望と………快楽を味わう事になるだろう…。

 

 ある意味、ピンクの世界が地獄へと変わる瞬間…。

 

 

 …そんな成敗をしたため、今更会いたいと言われるのも困るな~っと自分達が仕組んだ成敗なのに、若干後悔しているのだ。ま、この内容は絶対にオドリーには言わないが。

 

 

 でも、やはり仲間とともに居たいというなら、それを窘める権利はROSEにはない。あの場所にオドリーを残す事は出来なかったから、連れてきたが、本人が望むなら、引き返そうとROSEは打ち合わせしていた。

 

 しかし、オドリーは首を振り、答えた。横に振って。

 

 

 「ううん…。もういい…。生きているなら、それで。 私はもう、彼らの求める女にはなれないから…。

  それに、自分を偽るのは、もう、疲れた…。」

 

 

 話し疲れたのか、声も弱々しくなってきたので、ホームズが言いたかった事を言う。

 

 

 「おいらは…、オドリーの声が男らしくても、オドリーだと思っているぜ。ここにいるくろちゃん、ちゃにゃん、御神もな。

  おいら達はオドリーのいいところを知っている…。

  仲間思いだし、優しいし、芯がしっかりとしている…、本当の強さを持ったいい女だぜ…。

  おいら達は、そんな人間が大好きなんだ…!

 

  そして、ROSEはオドリーみたいな連中ばかりだ。

 

  だから………、もう大丈夫!! 大丈夫だぜ!! オドリーは一人じゃない!!

 

  おいら達が傍にいてやる…!

 

  ………オドリー、おいら達のギルドに入れよっ!!」

 

 

 子供みたいな楽しそうな笑みを背中におぶっているオドリーに向けるホームズ。

 

 

 他のメンバーも同じように笑う。

 

 

 その笑顔をホームズの肩から顔を覗かせた状態で、見たオドリーの目から涙がおぼれ落ちる。

 

 

 (私…、を、見てくれているの? 私らしく、居てもいいの…?

 

  ……今まで私はみんなの望む”私”でいた…。 嫌われたくなくて…。傍にいてほしくて…。愛が欲しくて…。

 

  私…、私の本当の居場所、は…………!!)

 

 

 「………うん!! 私…、ROSEに入りたぁぁ~~い!!」

 

 

 号泣して、自分の本当の気持ちを伝えるオドリー。

 

 その顔は最初に出会ったセクシーで人懐こい笑顔ではなく、皺もでき、ぐちゃぐちゃだったが、純粋なオドリーの本音が浮かび上がった、いい笑顔だった…。

 

 

 

 

 




はい!! tokoから感想で『オドリーがどうなるか気になる!!』と言われていたので、その返事がこれです!!

オドリーは仲間にしようと決めていたのさ!!

まさにROSEらしさが出ているオリキャラだからね!!



…親衛隊たちの地獄は抽象的に表現しただけですので、皆さんで想像してみてください。

ちなみに私の妄想では、くろちゃん曰く、鼻血&萌えフィーバーですね。

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